業界初のASP型IVR決済ソリューションを実現 CASE STUDY
課題と解決方法
コンタクトセンターに潜む危険なクレジットカード決済リスク
オンライン決済代行の大手として多彩なサービスやソリューションを提供してきたベリトランスは、日本におけるECの黎明期からその成長を支えてきた。
リアル商取引から電子商取引へ、大きな流れの中でも、5兆円規模と言われる通信販売の半分は現在でもコンタクトセンター受注やFAX受注でまかなわれている。そこに潜む危険性について、ベリトランス営業企画部の山中 隆治氏はこう指摘する。
「コンタクトセンターでクレジットカード決済をする場合、ほとんどのケースでオペレータが消費者からカード番号などの聞き取りを行っています。これは非常に危険な状況ですが、それに対する有効なソリューションはまったく存在していませんでした」
聞き違いや入力ミスなどの事故だけでなく、カード情報が不正利用される悪質な事件も発生し、その件数は増加しつつある。
「とくに近年顕著な『オペレータがカード番号を暗記してしまう』ケースは防ぎようがなく、発覚した事件は氷山の一角に過ぎないと言われています。これは通販マーケットの半分におよぶ大問題です。対策しなければ、コンタクトセンター受注からクレジットカード決済が敬遠され、マーケットが縮小してしまう事態にもなりかねません」
こうした事態を解消するために生み出されたのが、業界初のコンタクトセンター利用事業者向け、IVR(音声自動応答)決済ソリューション「スマートプラン」だ。コンタクトセンターのシステムや設備とは切り離されたASPサービスなので、オペレータや通販事業者はカード情報にいっさい触れる必要がなく、国際的な業界基準PCI DSSに準拠したクレジットカードの決済システムを容易に導入することができる。そして、このソリューションで大きな役割を担っているのが、メディアリンクのIVRパッケージ「MediaVoice」である。
※ PCI DSS:5つの国際的なクレジットカードブランドによって策定されたセキュリティ基準。クレジットカード情報を保管・処理・伝送するシステムを持つすべての事業者が準拠する必要がある。
コンタクトセンターに本当の安全性と信頼性を
カード情報はコンタクトセンターを通過させず、持たせないというのがカード会社のセキュリティ基準だ。「スマートプラン」は、IVRシステムを活用することで、その方針に応える。消費者がクレジットカード決済を希望すると、オペレータはその通話をベリトランスのIVRシステムに転送する。クレジットカード決済のやりとりは、消費者とIVRシステムとの間で行われるため、オペレータはカード情報にいっさい触れることなく取引を完了させることができる。カード情報はベリトランスのハイセキュリティなサーバに保管されるので、通販事業者が保管する必要もない。利便性を損なうことなくカード情報の漏えい・不正利用というリスクをなくすことができるので、消費者、通販事業者、コンタクトセンターベンダーのそれぞれにとってメリットは大きい。長年放置されてきたコンタクトセンターの巨大なセキュリティホールを解消する、まさに革命的なサービスと言える。
IVRシステムのコアエンジンとして利用されている「MediaVoice」は、オープンソースをベースに開発されているため、低価格で高機能なIVRを実現できるのが特長だ。月間600万コールという過酷な負荷にも耐える卓越した安定性にも定評がある。
「MediaVoiceなら、ベースとなるIVRシステムを低コストで運用できるので、IVR決済ソリューションを安価に導入できるASPサービス「スマートプラン」として提供することが可能になりました」と、ベリトランス営業企画部の平本 幸氏は語る。
「『スマートプラン』の初期設定費用は席数に関係なく30万円。月額費用は3万円。チャネル利用料は100席でも月額30万程度。従来の数百万~数千万というスケールと比較すると、破格の安さですね」
柔軟な発想力で導入障壁を取り除く
コンタクトセンターにおけるクレジット決済のリスクが明らかであったにもかかわらず、対策がほとんど進まなかった大きな理由は「コスト」の問題だ。山中氏はこう語る。
「業界には既存のシステムや設備に組み込まなければいけない、という強い固定観念がありました。そうすると、PBXまわりで数千万円、基幹システムとの連携で数千万円というスケールで開発コストがかかってしまう。大規模なコンタクトセンターベンダーでも、これは大きすぎる負担です」
発想の転換が必要だった。目標は、すべてのコンタクトセンターからクレジット決済のリスクを取り除くこと。1~2席の小さなコンタクトセンターでも容易に導入できるサービスでなければ意味がない。
「完璧なASPサービスにする必要がありました。コンタクトセンターのシステムや設備に手を加えることなく、安価に、容易に、PCI DSSに準拠したセキュアな決済環境を整えられる。さまざまな規模や組織に柔軟に対応できる。インターネットと外線があれば、明日からでも利用できる、などなど。いろいろな開発ベンダーにアイデアを持ちかけましたが、どうしてもスクラッチ開発の発想から抜け出せないんですね。コストが高くなって、汎用性に欠けてしまって、サービス化するにはどうしても無理がでてしまう」と山中氏。
そんな時に紹介されたのがメディアリンクだという。平本氏は次のように評価する。
「設備ベースとASPベースの発想の違いですかね、メディアリンク社は従来のPBX系開発ベンダーからは生まれない柔軟な発想があって、わがままなアイデアを技術的な裏付けをもって実現してくれましたし、思いもよらなかったアイデアを提供してもらうこともありました」
数兆円規模のマーケットに提供するサービスともなれば、それは社会インフラの構築に等しいこと。導入後の不具合は許されない。
「その点、メディアリンクさんには、コンタクトセンター関連でたくさんの実績とノウハウがありましたし、机上の空論というものもありませんでした。例えば、オペレータの電話とパソコンを連動させるという困難な仕組みも、事前にデモを見せて、問題なく稼働することを証明してくれたんです」
山中氏の評価も高い。
「非常にロジカルな会社という印象ですね。オペレータとIVRをつなぐ仕組みは複雑になりがちなんですが、コンタクトセンターの席ごとに割り振られた外線番号にコールするだけという、至ってシンプルなアイデアを提供してもらいました。電話回線のプロによる裏付けと斬新な発想を得て、IVR決済ソリューション『スマートプラン』はより優れたサービスにレベルアップしたと思います」
User Profile | |
---|---|
会社名 | ベリトランス株式会社 |
本社所在地 | 〒150-0022 渋谷区恵比寿南3-5-7 デジタルゲートビル5F |
URL | https://www.veritrans.co.jp/ |
概要 | クレジットカード決済やコンビニ決済などの決済手段をはじめ、セキュリティ支援・集客支援といった多彩なソリューションを提供し、EC事業者を支援する総合決済プロバイダー。日本における電子決済のパイオニアであり、総合的なECインフラサービス事業者としての活躍が期待されています。 |