クレーム電話対応の基本手順とポイント【例文付き】
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どんなに顧客を大事にしている企業であっても、クレーム電話はかかってくるものです。大事なのは顧客に寄り添うことですが、迅速で繊細な対応が求められることから、クレーム電話に対応する方にとっては負担の大きい業務と言えます。
そこで本記事では、円滑なクレーム電話対応を行うために押さえておきたい「手順」と「ポイント」について解説します。電話口で使える例文もご紹介していますので、クレーム電話の処理でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
なお、以下の記事では電話対応全般に関わるマナーやコツ、例文を解説しています。網羅的に学びたい方は、ぜひそちらもご覧ください。
目次
1.クレーム電話対応の基本手順とポイント
クレーム電話への対応手順は、基本的に以下の4ステップに分けられます。
・ステップ1:心情を理解して傾聴する
・ステップ2:クレーム内容を確認する
・ステップ3:解決策を提示する
・ステップ4:謝罪と感謝を伝える
以下では、各ステップにおいて重視すべき「対応ポイント」と、電話口で使用できる「例文」もあわせてご紹介します。
ステップ1:心情を理解して傾聴する
クレームの理由が何であれ、まずは顧客を不快にさせたことに対して謝罪し、ひたすら話を聞くことに徹するのが重要です。この段階でクレームの理由が明らかであれば、謝罪の理由も添えることで、単にポーズとして謝っているような印象を与えずに済みます。
▼対応ポイント
・真剣に聞いていることを伝えるため、適度に相づちを打つ
・顧客の気持ちや話題に合わせて、声のトーンを調整する
・顧客が話し終えるまで、自分からは話さない
上記の「相づち」に該当するのは「はい」「なるほど」「ええ」「おっしゃる通りです」などの表現です。これらの相づちを適度に用いることで、コミュニケーションを円滑に進められます。
ただし、過度な相づちは逆効果になる可能性があるため注意が必要です。目安としては、顧客の発言に対し、半分程度の割合でリアクションするとよいでしょう。
▼例文
「このたびはご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした」
「お忙しいところをお電話を頂戴し、申し訳ございませんでした」
ステップ2:クレーム内容を確認する
双方の認識にズレがないかを確認しつつ、クレームの原因を特定するためのヒアリングを行います。後にクレームに対する解決策を提案することになるため、この段階では必ず「メモを取る」「通話録音をする」などして、話の内容を忘れないように工夫しましょう。
▼対応ポイント
・解決策を検討するために、トラブルの内容や発生時期などをメモする
・こちらが発言する際は「クッション言葉」を使う
「クッション言葉」とは、話す内容の印象を和らげるために用いる表現のことです。例えば、「恐れ入りますが」「お手数をおかけしますが」「差し支えなければ」といった言葉が当てはまります。
▼例文
「差し支えなければ、トラブルが発生した日にちをお教えいただけませんか?」
「恐れ入りますが、詳細なトラブル内容をお教えいただけませんか?」
ステップ3:解決策を提示する
クレームの原因が特定できたら、解決策や代替案を提示します。すぐに解決策を提示することが難しければ、具体的な回答期日を示しつつ、後日連絡する旨を伝えましょう。もちろん、すぐに解決策を示せない場合は謝罪も忘れてはいけません。
▼対応ポイント
・解決策の内容に誤解が生まれないよう、顧客が理解できる言葉で伝える
・補償を行う場合は、「行き過ぎた誠意」に注意する
・お断りの際は顧客の心情に寄り添い、慎重に言葉を選ぶ
誠意を見せた対応を取る場合は、口コミや噂による情報拡散の可能性に留意し、過度な対応とならないよう注意が必要です。他の顧客との公平感を損なえば、新たなクレームが発生する原因になりかねません。
また、顧客の要望に応えられずお断りする場合は、「会社の規則なので」「法令で決まっているので」などと表現しないよう注意しましょう。顧客の怒りがエスカレートし、二重クレームに発展する恐れがあります。顧客の気持ちに寄り添いつつ、「なぜ要望に応えられないのか」をわかりやすく丁寧に説明することが重要です。
▼例文
「◯◯の対応をさせていただきたいのですが、いかがでしょうか?」
「多大なご迷惑をおかけしたにもかかわらず恐縮ですが、◯◯には対応できかねます」
ステップ4:謝罪と感謝を伝える
最後に再び謝罪し、お礼を伝えます。クレームは商品・サービスの改善につながるヒントになり得るため、貴重な意見をいただいたことに対しての感謝は必ず伝えましょう。クレームに真摯に対応することで顧客が会社に抱く印象が変わり、リピーターになってくれる可能性もあります。
▼対応ポイント
・貴重な意見をいただいたことに対し、お礼を伝える
・再発防止の対策を具体的に伝える
再発防止の対策については「具体的にどのような手段で取り組むか」を伝えるとよいでしょう。できれば後日、「対策に取り組んだ結果」もお伝えできるとなおよいです。これによってクレーム対応に対する顧客の満足度や、会社に対する信頼性を高めることが期待できます。
▼例文
「このたびは貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました」
「頂戴したご意見は次回の◯◯会議にて社員に共有したうえで、再発防止策を検討してまいります」
なお、本記事の下部でもご紹介しますが、IVR(自動音声応答システム)を導入することで、電話でのクレーム対応の負担を軽減することができます。IVRは電話の一次対応を自動化するツールであるため、これを活用することで上述のステップ2まで自動化できます。
また、クレームを処理できる担当者に直接転送できるほか、相手に用件を吹き込んでもらい、それを音声ファイル化・テキスト化する機能も備えているため、取次ぎや伝言の手間も削減できます。
2.【ケース別】クレーム電話への対応方法
前章ではクレーム電話対応の基本的な手順と対応ポイントについて解説しましたので、ここでは、より具体的なケースを想定した対応方法をご紹介します。
以下の4つのケースは実際の電話クレームでもよく見られるため、事前に対応方法を押さえておくとよいでしょう。
・ケース1:「上司を出せ」と言われたとき
・ケース2:担当者が不在だったとき
・ケース3:自社に非がなかったとき
・ケース4:悪意あるクレームだったとき
ケース1:「上司を出せ」と言われたとき
クレーム電話においては、開口一番「上司を出せ」「責任者に代われ」と言われることがあります。この場合、顧客の要望であってもすぐ上司に取り次ぐべきではありません。理由は大きく2つあります。
1つ目の理由は、すぐ上司に代わったとしても当の上司が状況を把握できていない可能性が高いためです。上司が対応するからといって即座に問題が解決できるとは限りませんし、状況把握のために再度ヒアリングを行うことで顧客に手間をかけ、余計にストレスを与えてしまう恐れもあります。
2つ目の理由としては、簡単に上司に取り次いでしまうと無責任な印象を与えてしまったり、「すぐに責任者を呼び出せる会社」と思われ、顧客による行き過ぎた要望を助長する恐れがあるためです。
ただし、頑なに「絶対に上司には代わりません」と断ってしまうと「話を聞いてくれない」という印象を与えるため注意しましょう。このケースにおいては、電話を受けた自分が責任を持って対応する旨を伝えることが大切です。
▼例文
「私◯◯が責任を持って担当いたします。差し支えなければ、トラブルの内容をお教えいただけませんでしょうか?」
ケース2:担当者が不在だったとき
自分ではない担当者宛にかかってきたクレーム電話を取った場合でも、まずは顧客を不快にさせたことに対する謝罪を伝えましょう。クレーム電話をかけた顧客にとって、電話に出たのが担当者であるかどうかは関係ないためです。
ただし、このケースにおいては安易にクレームの解決方法を提案するのは避けましょう。通常は解決方法の提示までを行うのがセオリーですが、クレームに至った背景を理解していないことで無用なトラブルを生んでしまう恐れもあるため、この場合は、担当者に折り返してもらうのが望ましいです。
このとき、折り返す旨を一方的に伝えるのではなく、「担当者から電話を折り返してもよいか」を顧客に確認することで、丁寧な印象を与えることができます。
▼例文
「あいにくですが、ただいま◯◯は外出中でございます。戻り次第、◯◯より折り返しお電話を差し上げてよろしいでしょうか?」
電話を折り返す際のマナーやポイントについては以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方はあわせてご覧ください。
ケース3:自分や自社に非がなかったとき
顧客からクレーム電話を受けたものの、担当者である自分や自社に非がない場合もあります。このケースにおいても、まずはお詫びの言葉を伝えるようにしましょう。
ただし、「クレームの内容を全面的に認めた」と認識されてしまうと、以後のやり取りでこちらの立場が不利になってしまうこともあります。
自分や自社に非がない場合の謝罪は、「不快な思いをさせたこと」に対するお詫びであることがわかる言い回しをすること、そして「何に対する謝罪なのか」がわかるよう範囲を限定することがポイントです。
▼例文
「このたびは、ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした」
「◯◯に関するトラブルにつきまして、お手間をおかけしたこと、お詫び申し上げます」
ケース4:悪意あるクレームだったとき
上記のケース3でご紹介した「自分や自社に非がないクレーム」の多くは「顧客の勘違い」から起こりますが、中には悪意を持って電話をかけてくるクレーマーもいます。嫌がらせを目的とした、いわゆるモンスタークレーマーと呼ばれる存在です。
この手のクレーマーに対応すると無駄に時間を奪われてしまうため、毅然とした態度で電話対応に臨む必要があります。例外的な対応ではありますが、モンスタークレーマーに出くわした場合は、以下のポイントを念頭に、慎重に対応していきましょう。
▼モンスタークレーマーへの対応ポイント
・こちらに非がない指摘に対しては謝罪しない
・カスハラ(カスタマーハラスメント)に該当する要求には応じない
・精神的負担を考慮し、自分ひとりで対応しない
・通話内容を録音またはテキスト化して記録する
3.クレーム電話対応における5つのNGポイント
クレーム電話への対応を誤ってしまうと、二重クレームに発展することもあります。余計な手間を発生させないために、以下のようなNGポイントは避けましょう。
・NGワードを使ってしまう
・顧客の話をさえぎってしまう
・顧客をたらい回しにしてしまう
・冷静さを見失ってしまう
・小さすぎる声・大きすぎる声で話してしまう
NGワードを使ってしまう
顧客の発言に対して否定的な態度や突っぱねるような言動は絶対に避けましょう。たとえ顧客の勘違いによるクレームであったとしても、否定的な反応を示すと感情が相手の爆発し、建設的な会話ができなくなることがあります。信頼関係の損失や企業イメージの低下につながることもあるため、顧客の気持ちに寄り添い、共感を示す言葉遣いや表現を使うことが大切です。
クレーム対応においては「お言葉ですが」「前例がないため」といった言い回しがNGワードにに当たります。これらの表現は、顧客のクレームを軽視しているように受け取られる可能性があるため、使用は控えましょう。
顧客の話をさえぎってしまう
顧客が話をしている間は、静かに耳を傾けましょう。話をさえぎってしまうと顧客の要望を聞き取り切れないばかりか、「私の気持ちを尊重していない」と受け取られる可能性があります。その結果、不満がさらに膨らみ、状況が悪化する恐れがあります。
自分の見解を述べたり説明したりするタイミングは、顧客がひと通り話し終わってからです。クレーム対応では聞き手に徹する必要があります。
顧客をたらい回しにしてしまう
クレーム対応は迅速に行うのが基本です。「私の担当ではないので」とたらい回しにするのは絶対に避けましょう。顧客の不満が長引くだけでなく、より不快な思いをさせてしまいます。そうなれば顧客との信頼関係が壊れ、製品・サービスの利用停止につながることもあります。
もちろん、すべてのトラブルがすぐに解決できるわけではありませんが、「早く問題を解決したい」という顧客の心情を無下にせず、可能な限り迅速かつ真摯に対応することが重要です。
冷静さを見失ってしまう
クレームを入れる顧客の中には攻撃的な表現を使う方や、怒鳴るように話す方もいます。クレーム電話に対応する人によっては萎縮してしまったり、自分も気を悪くして語調を強めそうになってしまったりすることもあるでしょう。
しかし、こちらが感情的になれば関係が悪化することは明らかです。顧客の雰囲気につられないよう、冷静さを意識した対応を心がけましょう。クレームの内容が製品やサービスに対する不満であればなおさら、顧客の発言は「自分に向けられたものではない」と理解し、落ち着いて対応することが大切です。
小さすぎる声・大きすぎる声で話してしまう
電話でクレーム対応を行う場合は、はっきり、ゆっくり、話すことを心がけましょう。声が聞き取りづらければ話は進みませんし、大きすぎると威圧的な印象を与えてしまうため、特に声のボリュームには注意が必要です。
クレーム電話をかける顧客は問題の解決や謝罪を急ぎ求めており、すでにある程度の苛立ちを感じているわけですから、その感情を助長しないためにも相手が聞き取れる音量・スピードで話すことを意識しましょう。
なお、声の大きさは顧客の通話環境によって調整することも大切です。例えば、相手が携帯電話などで外出先からかけている場合はより聞き取りづらくなるため、普段よりも大きめのボリュームで話すなど工夫するとよいでしょう。
4.そもそもクレーム電話はなぜ発生するのか?
ここまでクレーム電話対応におけるポイントをご紹介してきましたが、顧客に寄り添った対応を行うためには、「なぜクレーム電話をするに至ったのか」「どのような目的で電話をかけているのか」を理解することも重要です。
以下では、クレーム電話が発生する主な「原因」と、クレーム電話をかける顧客の「心理」について解説します。
クレーム電話が発生する3つの原因
理不尽なクレームや悪意のあるクレームを除くと、原因は大きく以下の3つに分類できます。
・原因1:商品やサービスに不満がある
・原因2:従業員の対応に不満がある
・原因3:企業の対応に不満がある
原因1:商品やサービスに不満がある
商品・サービスの品質や使用感などに対する不満がクレームの原因となる場合です。顧客が商品やサービスに不満を感じる具体例としては、以下のようなケースがあります。
「想像していたものと違った」
「説明書を読んでも使用方法がわからない」
「商品が故障していた」
原因2:従業員の対応に不満がある
商品の営業や販売に携わった従業員の対応や態度に対する不満が原因となる場合です。顧客が従業員とのコミュニケーションを通して、以下のような経験をしたことが背景として考えられます。
「質問したのに回答してくれなかった」
「接客時の態度が悪かった」
原因3:企業の対応に不満がある
商品の購入やサービスの利用に付随して発生する企業の対応への不満が原因となる場合です。例えば以下のように、顧客が企業の特定の対応について「不十分」「不適切」と感じているケースが考えられます。
「アフターサービスを期待して購入したが、フォローが雑だった」
「費用面を重視して契約したのに、何の予告もなく利用料金が上がった」
クレーム電話をかける顧客の心理
顧客に寄り添った対応を行うためには、クレーム電話をかけた顧客の目的を理解することも大切です。顧客の心理としては、以下の4パターンが挙げられます。
・パターン1:問題を解決してほしい
・パターン2:謝罪してほしい
・パターン3:返金してほしい
・パターン4:改善してほしい
パターン1:問題を解決してほしい
「商品が壊れている」「サービス利用中にトラブルが発生した」「操作方法がわからない」といった特定の問題があり、それを解決してほしいと思っているパターンです。こうした顧客は、問題を解決するための具体的な解決策を求めています。
パターン2:謝罪してほしい
商品の不備や不具合、従業員の対応や態度に対する不満から不快な気持ちになっており、「何よりも先に謝罪してほしい」と思っているパターンです。クレーム対応の手順でもご紹介したように、たとえこちらに言い分があったとしても、まずは不快にさせたことに対して謝罪することが大切です。
パターン3:返金してほしい
商品やサービスを実際に購入し、利用してみたものの、購入前に想像していたほどの価値を感じられず、「代金・料金を返してほしい」と思っているパターンです。激しく怒って不快感をあらわにする方もいれば、返金を受けるための証拠や言い分を理路整然と揃えてくる方もいるため、冷静な対処が必要です。
パターン4:改善してほしい
商品・サービスの機能や従業員の対応などに対し、改善を求めているパターンです。「自分が困っているから改善してほしい」という思いでクレームを出す人もいますが、正義感や親切心から改善策を提案する人もいます。このケースにおいては、顧客からの改善提案を受け入れるかどうかは別として、意見をいただいたという事実そのものに対して感謝を伝えることが大切です。
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