電話対応が苦手な理由とは?
従業員の苦手意識を克服する方法
UPDATE :

ビジネスの場で電話対応は避けて通れません。しかし、内向的な性格の方や人見知りの傾向がある方、特に新入社員や職場に慣れていないスタッフにとって、電話対応は大きな壁になることがあります。
この記事では、なぜ従業員が電話対応に苦手意識を感じるのかを説明しつつ、克服するための実践的な方法、電話対応ですぐに使えるフレーズを紹介します。
なお、以下の記事では電話対応全般に関わるマナーやコツ、例文を解説しています。網羅的に学びたい方は、ぜひそちらもご覧ください。

1. 電話対応が苦手な理由とは
電話対応に苦手意識を持つ理由としては、その人が持ついくつかの特徴が関係しています。これらの特徴は適切な対策を講じることで改善が可能です。電話対応の苦手意識を克服してもらう第一歩として、まずはなぜ従業員が電話対応を苦手と感じているのか、その理由を理解するところから始めましょう。
理由1:人見知りや内向的な性格
人と接することに緊張を感じやすい方は、電話対応にも苦手意識を持ちやすいものです。特に見知らぬ人との会話では、より強い不安を感じる傾向があります。
これは、お互いの顔が見える状態でのコミュニケーションと比べて、相手の表情や反応が見えない電話では、より顕著に現れます。
理由2:緊張しやすい傾向がある
緊張のあまり声が震えたり、言葉につまったりする方もいます。「電話が鳴った瞬間から心拍数が上がり、手に汗をかいてしまう」といった身体的な反応は、電話対応への苦手意識が強い人によく見られます。
これらの反応は本人の意思とは関係なく起こってしまうため、身体的な反応を自覚することで、さらに不安を助長させてしまうこともあります。
緊張や焦りの背景には、下記のような原因があることが多いです。
・準備不足のため
・責任感が強すぎるため
・周囲の目が気になるため
・過去の失敗経験があるため
・マルチタスクに対応しているため
特に「電話対応でテンパりやすい」という方には、こうした傾向が見られます。
以下の記事では、電話対応でテンパってしまう原因と対策をご紹介しています。「電話が苦手なわけではないけれど、緊張しやすい」という場合の対策について知りたい方は、そちらもあわせてご覧ください。
理由3:とっさの対応に不安を感じやすい
電話では、相手の質問や要望にその場で対応しなければなりません。「事前に準備していた内容から外れた話題が出る」「予期せぬ展開に発展する」ということも頻繁に起こります。
こうした不測の事態への不安は、電話対応を苦手と感じさせる要因の一つです。この「とっさの対応力」の不足は、経験を重ねることで徐々に改善されていく部分でもあります。
理由4:声だけのやりとりに苦手意識がある
電話でのコミュニケーションは、声だけが頼りです。相手の表情や身振り手振りといった非言語コミュニケーションが欠如しているため、意思疎通が難しく感じられます。そのため以下のように、自分の言葉が正しく伝わっているかどうか不安になりやすいのです。
・「今の説明、ちゃんと伝わっているのかな……」と不安になる
・相手の沈黙の意味がわからず、焦ってしまう
・「この人、怒っているのかな?」と声のトーンだけで推測してしまう
対面であれば、相手の微妙な表情の変化や頷きなどのリアクションから、自分の説明が伝わっているかどうかを確認できます。しかし、電話ではそれが不可能です。このような視覚情報の欠如による不確実さが、電話対応への苦手意識につながっているのです。
理由5:プレッシャーを感じやすい
電話は相手の顔が見えないぶん、言葉のやり取りでコミュニケーションを取ろうとするため、どうしても会話のスピードが上がります。このスピード感が、次のようなプレッシャーを生み出すのです。
・考える間もなく返事をしなければという焦り
・適切な言葉を瞬時に選ばなければという緊張感
・「ちょっと待ってください」と言いづらい雰囲気
特に専門的な内容を扱うこともあるビジネス電話では、こうしたプレッシャーはより強くなります。「相手を待たせてしまっている」という心理的負担もストレスの一因です。
なお、本記事の最後のセクションでもご紹介していますが、IVR(自動音声応答システム)を導入することで、会社にかかってくる電話の受付や取次ぎを自動化できるため、電話対応を苦手とする方の不安を大幅に軽減することができます。
2. 電話対応の苦手を克服するための8つの方法
電話対応に苦手意識を持つ従業員をサポートするには、組織としての体制づくりとともに、個々の従業員に合わせた段階的なアプローチが重要です。ここでは、会社として実践できる8つの効果的な方法をご紹介します。
電話対応の基本資料を整備する
電話対応の品質を向上させる第一歩は、基本となる資料の整備です。マニュアルやフォーマットを用意することで、従業員が自信を持って電話対応に臨める環境を作ることができます。
▼基本資料を整備するときのポイント
・電話応対の基本的な流れをまとめる
・社内外の重要な連絡先リストを作成する
・電話メモの標準フォーマットを用意する
・電話前の確認事項チェックリストを準備する
・よくある問い合わせとその対応例を整理する
これらの資料は新入社員研修での配布はもちろん、ベテラン社員でも必要な時にすぐ参照できるよう、デスク周りやイントラネットなど、アクセスしやすい場所に置いておくことをお勧めします。
また、定期的に内容を見直し、必要に応じて更新することで、より実践的な資料として活用できます。
ベストプラクティスを共有する仕組みを作る
電話対応が得意な従業員の工夫、特に緊張への対処法など、ベストプラクティスを組織全体で共有することは非常に効果的です。
▼共有を促進するポイント
・緊張を和らげる呼吸法や準備の仕方を共有する
・ベテラン社員の具体的な対処方法を文書化する
・実際の成功体験に基づくノウハウを蓄積する
・定期的な情報共有の場を設定する
特に実際の成功体験は具体的でイメージしやすく、他の従業員の参考になりやすいものです。共有された工夫を基に、各従業員が自分に合ったやり方を見つけられるよう支援しましょう。
段階的なトレーニングプログラムを実施する
電話対応の上達には段階的な練習が効果的です。従業員の習熟度や不安要素に応じて、適切なステップを設定することが重要です。
▼トレーニングの段階例
・基本的なビジネスマナーを確認する
・ロールプレイングによる実践練習を実施する
・実際の電話を聞きながらシャドーイングを行う
・簡単な用件から実地研修を開始する
トレーニングの際は、一度に多くのことを求めすぎないよう注意が必要です。各段階での成功体験を積み重ねることで、自信を持って次のステップに進めるよう配慮しましょう。また、定期的なフォローアップを行い、課題や不安点を把握することも大切です。
心理的安全性を確保する
電話対応の失敗を過度に責めたり、プレッシャーをかけすぎたりすることは、かえって苦手意識を強めてしまいます。
▼心理的安全性を高めるためのルール設定
・些細な言い間違いは指摘しない方針を定める
・新人期は失敗を学びの機会として扱う
・建設的なフィードバックの仕方を管理職で共有する
・ハラスメントにつながる叱責は明確に禁止する
特に電話対応に苦手意識がある従業員には、まず安心して練習できる環境を整えることも重要です。失敗を学びの機会として捉え、前向きな改善につなげられる雰囲気づくりを心がけましょう。
電話以外の連絡手段も積極的に活用する
すべてのコミュニケーションを電話で行う必要はありません。従業員が状況に応じて適切な連絡手段を選択できるよう、以下のようなガイドラインを設定しましょう。
▼連絡手段の使い分けのガイドライン例
・事前調整可能な案件はメールの使用を推奨する
・社内の簡易な確認事項はチャットツールの使用を認める
・即時の回答が必要な案件は電話対応とする
・クレーム対応は必ず電話で行う
これらのガイドラインを明確に示すことで、従業員は必要に応じて適切な連絡手段を選択できるようになります。
電話応対の担当制を導入する
電話応対の負担を特定の従業員に集中させないよう、適切な役割分担を行うことが重要です。時間帯や案件の種類によって担当者を決めることで、業務の効率化と従業員の負担軽減を図ることができます。
▼担当制導入のポイント
・時間帯ごとの当番制を設定する
・得意分野による担当を振り分ける
・バックアップ体制を整備する
・担当者の定期的な交代を実施する
担当制を導入する際は、各従業員の経験や得意分野を考慮しつつ、全員が徐々にスキルアップできるような配慮も必要です。また、特定の従業員に負担が偏らないよう、定期的に担当の見直しを行いましょう。
周囲のサポート体制を整える
電話対応中の従業員を周囲が具体的にどうサポートするか、明確な行動指針を定めることが重要です。
▼具体的なサポート体制の例
・対応に困った際の「ヘルプサイン」を決める
・サポート担当者を必ず配置し役割を明確にする
・難しい案件の引継ぎ基準を設定する
・定期的なフィードバック面談の機会を設ける
特に電話対応に不安がある従業員には、必要なときにすぐサポートを得られる環境があることを明確に伝えましょう。ただし、過度な介入は逆効果となる場合もあるため、従業員の成長に合わせて徐々にサポートの度合いを調整していくことが大切です。
基本フレーズの定着を促す
電話対応では、状況に応じた適切なフレーズを使用することでスムーズなコミュニケーションが可能になります。基本的なフレーズを習得することは、従業員の不安軽減にも効果的です。
▼フレーズ習得の支援方法
・場面ごとの基本フレーズを整理する
・フレーズ集を作成し配布する
・朝礼などで実践的な発声練習を実施する
・自社の雰囲気に合わせたアレンジ例を提供する
具体的なフレーズ例や使い方については、次のセクション「状況別:すぐに使える便利フレーズ集」で詳しく解説していますので、ぜひ従業員の指導にご活用ください。
これら8つの方法は、組織の状況や従業員の特性に応じて適切に組み合わせることで、より効果的な結果が期待できます。一度に全施策に取り組む必要はありません。自社で求められる電話業務のレベルに応じて取捨選択しつつ、優先度の高いものから段階的に実施していくことをお勧めします。
3. 状況別:すぐに使える便利フレーズ集
ここでは、電話対応のさまざまな状況で役立つ便利なフレーズをご紹介します。これらを活用してもらうことで、より円滑で自信を持った電話対応が可能になるでしょう。
以下で、状況別の基本フレーズをご紹介していきます。
電話の冒頭
・「お電話ありがとうございます。◯◯会社の△△でございます」
・「いつもお世話になっております。◯◯会社の△△と申します」
これらのフレーズを使うことで、相手に良い第一印象を与えることができます。電話の冒頭では、会社名と自分の名前を明確に伝えることが重要です。また、声のトーンを明るくすることで、親しみやすさも演出できるでしょう。
相手の確認
・「恐れ入りますが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
・「失礼ですが、◯◯様でいらっしゃいますでしょうか?」
相手の名前を正確に聞き取ることは、その後のコミュニケーションを円滑にするために重要です。特に初めての方の場合は、名前の漢字を確認することもポイントです。
聞き取れない場合
・「申し訳ございません。もう一度お願いできますでしょうか?」
・「恐れ入りますが、お電話が少々聞き取りにくいのですが……」
聞き取りにくい場合は、遠慮せずに確認することが大切です。話対応が苦手な従業員の中には、このように確認することが「失礼ではないか」と感じる方もいますが、相手の立場に立って丁寧に伝えることで、多くの場合、快く繰り返してくれることを伝えてください。
担当者不在時
・「申し訳ございません。担当の◯◯はただいま席を外しております」
・「恐れ入りますが、◯◯は本日外出しておりまして……」
担当者が不在の場合は、状況を簡潔に説明し、適切な対応(例:伝言を承る、折り返しの電話を提案するなど)を提案してもらいましょう。また、相手の要望をしっかりと聞き取ることも大切です。
以下の記事では、担当者が不在で、さらに「戻り時間がわからない」場合の対処法について解説しています。
電話を切るとき
・「他にご質問はございませんでしょうか?」
・「ご連絡ありがとうございました。それでは失礼いたします」
電話を終える際は、相手の用件が全て解決したかを確認し、丁寧に締めくくることが大切です。感謝の言葉を添えることで、良い印象を残すことができます。
なお、以下の記事では電話の切り方に関するマナーを解説していますので、詳しく知りたい方はあわせてご覧ください。
4. 電話対応の省人化で「電話が苦手」な従業員の負担を軽減する方法も!
今回は、電話対応に苦手意識を感じる理由を明らかにしつつ、克服するための組織的な取り組みをご紹介しました。
このほかにも、電話対応を自動化・省人化することで、従業員の方の心理的・時間的負担を削減する方法もあります。それは、IVR(自動音声応答システム)の活用です。
メディアリンクが提供する「DXでんわ」は、電話の一次対応や取次ぎを省人化し、電話対応業務を大幅に効率化するIVRです。
社外からの電話にはシステムが自動で対応するほか、電話相手のメッセージが自動で録音・テキスト化されるため、電話対応を行う方の「聞き間違い」に対する不安や、「伝言メモ」を作成する負担も軽減できます。
「DXでんわ」の詳細は以下のページでご紹介しておりますので、ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひご覧ください。
関連記事

知らない番号からの電話への対応方法:迷惑電話の見分け方も解説

+(プラス)番号からの不審な着信は要注意!安全な対処方法を解説
