コールフローとは?
効率的なコールセンター運営の鍵を徹底解説
UPDATE :
コールセンターの効率と顧客満足度を高める鍵、それがコールフローです。適切に設計されたコールフローは、顧客の問い合わせを迅速かつ的確に処理し、オペレーターの負担を軽減します。
本記事では、コールフローの基本から設計の手順や注意点まで、効率的な運用を行うために必要な知識を解説します。顧客対応の質を向上させたい方々の参考になれば幸いです。
目次
1.コールフローとは
まずは、コールフローの定義やその必要性など、概要を理解するための基本情報を確認しましょう。
コールフローの基本的な定義
コールフローとは、顧客からの電話問い合わせを効率的に処理するための体系化されたプロセスです。具体的には、顧客の発信から適切なオペレーターへの接続、問題解決までの一連の流れを最適化したものを指します。このフローを実現するのは、IVRとACDという2つのシステムです。
一般的には、電話をかけてきた顧客に対して、IVRが事前に設定した自動音声ガイダンスを案内します。顧客はその案内に従いつつ、提示されたメニューに対してプッシュボタン操作を行います。その結果に対応させ、ACDが、問い合わせ内容に応じたオペレーターに電話を振り分ける仕組みです。
適切なコールフローの設計は、顧客の要望を迅速に理解し、最適な対応ができるスタッフへと効率的に導くことを可能にします。
コールセンター運営におけるコールフローの必要性
コールセンターの運営を効率化するうえで、コールフローは不可欠な要素と言えます。その必要性は以下の点から明らかです。
リソースの最適配分:
コールフローを適切に設計することで、各オペレーターのスキルセットや稼働状況に応じた通話の振り分けが可能になります。これにより、人的リソースを最大限に活用できるようになり、待機時間の短縮や対応品質の向上につながります。
標準化された顧客対応:
体系化されたコールフローを設計することで、オペレーター間での対応の質のばらつきを最小限に抑えられます。これにより、一貫性のあるサービス提供が可能になります。
パフォーマンス分析の容易さ:
構造化されたコールフローを通じて、問い合わせの種類や頻度、解決にかかる時間などの定量的データを容易に収集できます。これらのデータは、サービス改善や業務効率化のための重要な指標となります。
2.コールフローの主要構成要素
設計したコールフローを実際の業務で実現するためには、「IVR」と「ACD」という2つのシステムが必要です。それぞれの機能や役割を理解し、コールフローにおけるどの工程を担うのかを把握しておくことで、よりコールフローを設計しやすくなるでしょう。
IVR(Interactive Voice Response)の機能・役割
IVR(自動音声応答システム)は、電話をかけてきた顧客に音声ガイダンスを案内することで電話の一次対応を行うシステムです。顧客のプッシュボタン操作に応じ、問い合わせ内容の分類を行います。
IVRの主な機能と役割は以下のとおりです。
問い合わせ内容の振り分け:
自動音声ガイダンスによるプッシュボタン操作の案内(メニューの提示)によって、顧客の問い合わせ内容を分類します。
簡易的な情報提供:
営業時間や簡単な問い合わせへの回答など、基本的な情報を自動で提供します。
24時間対応:
人手を介さずに基本的な対応ができるため、営業時間外でも一定のサービスを提供できます。
IVRを効果的に活用することで、オペレーターの負担を軽減しつつ、顧客への迅速な対応が可能になります。ただし、メニューが複雑すぎると顧客の不満を招く可能性があるため、シンプルで分かりやすい設計が重要です。
ACD(Automatic Call Distribution)の機能・役割
ACD(自動着信呼分配システム)は、IVRによって問い合わせ内容を分類した電話を最適なオペレーターに振り分けるシステムです。
ACDの主な機能・役割は以下のとおりです。
スキルベースのルーティング:
オペレーターの専門性や経験に基づいて電話を振り分けます。これにより、顧客の問題を最も効率的に解決できる人材に接続できます。
負荷分散:
通話を均等にオペレーターに分配することで、特定の人員に負担が集中するのを防ぎます。
優先順位付け:
VIP顧客や緊急性の高い問い合わせを優先的に処理することができます。
データ収集:
通話時間、待ち時間、解決率などの重要なデータを自動的に記録し、分析に活用できます。
ACDを導入することで、コールセンター全体の効率が向上し、顧客満足度の改善にもつながります。また、オペレーターの作業負荷を適切に分散させることで、スタッフの働きやすさも向上します。
IVRとACDの連携によって円滑な顧客対応が実現する
上記でご紹介したIVRとACDが適切に連携することで以下のような利点が生まれ、コールセンターの対応力が飛躍的に向上します。
スムーズな案内と接続:
IVRで収集した情報をもとに、ACDが最適なオペレーターに通話を振り分けます。これによりオペレーターは顧客の問い合わせ内容を把握した状態で電話対応を開始でき、通話時間を短縮できます。顧客も再度オペレーターに用件を説明せずに済みます。
データの統合活用:
両システムから得られたデータを統合分析することで、より精度の高い顧客サービス改善が可能になります。
このように、IVRとACDの連携は、顧客満足度の向上とコールセンターの業務効率化を同時に実現する強力なツールとなります。
ただし、これらのシステムを効果的に運用するには、定期的な見直しと調整が欠かせません。顧客のニーズや問い合わせの傾向は常に変化するため、それに合わせてシステムも変化させていく必要があるのです。
3.コールフローの設計のメリット
ここからは、コールフローを設計することで得られるメリットをご紹介します。上述した内容と重複する部分もありますが、コールセンターの運用効率から顧客に提供するサービス品質面まで含めた「総合的なメリットをまとめた情報」としてご覧ください。
オペレーターの業務負荷軽減と生産性向上
効果的なコールフローの設計は、オペレーターの業務負荷を大幅に軽減し、生産性を向上させます。具体的には以下のようなメリットがあります。
専門性の活用:
オペレーターは自身の専門分野に関する問い合わせに集中できます。これにより、より効率的かつ質の高い対応が可能になります。
不要な転送の削減:
適切な振り分けにより、顧客を何度も転送する必要性が減少します。これはオペレーターの時間を節約するとともに、顧客満足度も向上させます。
準備時間の確保:
IVRで事前に情報を収集することで、オペレーターは顧客対応の準備を整えられます。これにより、より効率的な対応が可能になります。
ワークフローの最適化:
定型的な問い合わせに対する標準的な対応手順を設けることで、オペレーターの判断負担を軽減し、対応時間を短縮できます。
顧客の問い合わせ解決時間の短縮
適切に設計されたコールフローは、顧客の問題解決にかかる時間を大幅に短縮します。以下が、顧客視点の具体的なメリットです。
迅速な振り分け:
顧客の問い合わせ内容に基づいて、最適なスキルを持つオペレーターに素早く接続されます。
効率的な対応:
IVRシステムを通じて事前に必要な情報を伝達することで、オペレーターとの会話時間を短縮できます。また、コールセンター側が頻出の質問に対する回答を準備し、それにオペレーターが迅速にアクセスできるようにすることで、解決時間を短縮できます。
一次解決率の向上:
問い合わせ内容に適したオペレーターにつながることで、問題が一度の対応で解決される可能性が高まります。
人件費削減とリソースの最適配置
効果的なコールフローは、コールセンターの運営コストを削減し、リソースを最適に配置することに貢献します。具体的なメリットは以下のとおりです。
効率的な人員配置:
コールの種類や量に応じて、必要なスキルを持つオペレーターを適切に配置できます。これにより、過剰な人員配置を避けられます。
トレーニングコストの最適化:
オペレーターの専門性を活かすことで、広範囲のトレーニングの必要性が減少し、専門的なスキル向上に集中できます。
自動化の促進:
簡単な問い合わせはIVRで処理することで、人的リソースを複雑な問題解決に集中させられます。
データ分析による最適化:
コールフローから得られるデータを分析することで、ピーク時の人員配置やスキルセットの調整など、リソース配分を継続的に最適化できます。
以上のように、適切に設計・運用されたコールフローは「オペレーターの生産性向上」「顧客満足度の改善」「運営コストの削減」という3つの重要な側面で大きなメリットをもたらします。
4.コールフロー設計の手順
コールフローを効果的に設計するには、計画的なアプローチが必要です。以下に、具体的な手順を説明します。
手順1:スタッフと部署の役割分担の明確化
まずは関係部署を特定し、その役割や関係性を整理します。
1.現状の組織構造の把握:
まず、コールセンター内の各部署とその役割を明確にします。顧客サポート、技術サポート、セールスなど、各部門の機能を整理します。
2.スキルマトリックスの作成:
各オペレーターのスキルセットを評価し、どの種類の問い合わせに最も適しているかを特定します。これにより、効率的な振り分けが可能になります。
3.エスカレーションルートの設定:
複雑な問題や特殊なケースに対応するため、部門間やスキルレベル間のエスカレーションルートを明確に定義します。
4.クロストレーニングの計画:
特定のスキルに偏りがある場合、クロストレーニング(異なる部署・役割の業務を行うことによるスキルアップ)を計画し、柔軟な人員配置を可能にします。
手順2:対応内容の詳細な分類と優先順位付け
次に、問い合わせ内容の分類と、その優先順位付けを行います。
1.過去のデータ分析:
過去の問い合わせデータを分析し、頻出する質問や問題を特定します。これにより、最も需要の高い対応内容を把握します。
2.カテゴリー分類:
問い合わせを大まかなカテゴリーに分類します(例:技術的問題、請求関連、一般的な質問など)。
3.サブカテゴリーの設定:
より精緻な振り分けが必要な場合は、各カテゴリー内でさらに詳細なサブカテゴリーを設定します。
4.優先順位の決定:
緊急度や重要度に基づいて、各カテゴリーやサブカテゴリーに優先順位を付けます。これにより、重要な問題を迅速に処理できるようになります。
手順3:論理的な顧客対応フローの構築
問題なく顧客対応を行うためのフローを設計します。
1.メインフローの設計:
IVRで顧客に提示するメニューは最上位レベルの選択肢から始め、段階的に詳細な選択肢に進むよう、フローを設計します。
2.分岐点の明確化:
各段階で顧客の選択に基づいて、次のステップがどのように分岐するかを明確にします。
3.デッドエンドの排除:
フロー内にデッドエンド(行き詰まり)がないか確認し、必要に応じてエスカレーションや代替ルートを設定します。
4.フィードバックループの組み込み:
問題が解決しなかった場合や追加の支援が必要な場合のフィードバックループを設計し、顧客が適切なサポートを受けられるようにします。
手順4:ExcelやPowerPointを使用したビジュアルフロー図の作成
必要に応じて、コールフローを可視化した資料を作成します。
1.ツールの選択:
ExcelやPowerPointなど、使い慣れたツールを選びます。
2.基本構造の作成:
最上位の選択肢から始まり、主要な分岐点を表す図形を配置します。
3.詳細の追加:
各分岐点から派生する選択肢や行動を追加し、フローを詳細化していきます。
4.コネクタの設定:
矢印や線を使用して、各ステップ間の関連性や流れを明確に示します。
5.注釈の追加:
必要に応じて、各ステップに説明や注意点を追加し、フローの理解を助けます。
6.レビューと修正:
完成したフロー図を関係者と共有し、フィードバックを基に修正を加えます。
これらの手順を丁寧に実行することで、効果的で効率的なコールフローを設計することができます。また、実際の運用を通じて得られるデータやフィードバックを基に、定期的にフローを見直し、改善していくことが重要です。
5.コールフロー設計時の注意点
効果的なコールフローは業務効率化や顧客満足度の向上に貢献しますが、顧客にとって「わかりづらい」「使いづらい」ものだと、反対に顧客満足度の低下や離脱を促してしまうこともあります。
以下では、そうした事態を回避し、適切なコールフローを設計するために注意したいポイントについて解説していきます。コールフローを設計する過程では、ぜひこれらの視点を取り入れてください。
適切な選択肢数の設定と顧客の混乱防止
コールフローを設計する際、顧客に提示する選択肢の数は慎重に検討する必要があります。以下の事柄に注意しましょう。
選択肢の最適化:
一般的に、一度に提示する選択肢は3〜6個程度が適切とされています。これ以上多くなると、顧客の記憶力や判断力に負担をかけ、混乱を招く可能性があります。
論理的な構造化:
選択肢は顧客の視点に立って論理的に構造化します。最も一般的な問い合わせから順に配置し、特殊なケースは下位層に設定するのが効果的です。
エスカレーションオプションの用意:
自動応答システムで解決できない場合や、顧客が人間のオペレーターと直接話したい場合のためのオプションを必ず用意します。
定期的な見直し:
顧客の問い合わせ傾向は時間とともに変化します。定期的に利用状況を分析し、必要に応じて選択肢の追加、削除、順序の変更を行います。
簡潔で分かりやすい音声ガイダンスの作成
効果的な音声ガイダンスは、顧客の理解を助け、スムーズな対応につながります。具体的なポイントは以下のとおりです。
明確な言葉遣い:
専門用語や複雑な表現を避け、一般的で分かりやすい言葉を使用します。必要に応じて、簡単な説明を加えることも効果的です。
適切な速度とトーン:
ガイダンスの速度は聞き取りやすいペースに設定します。また、顧客に与えたい印象に応じて、音声のトーンも調整しましょう。
簡潔さの重視:
必要最小限の情報を提供し、冗長な説明は避けます。ガイダンスがながければ顧客が離脱する可能性が高まります。
選択肢の繰り返し:
選択肢を一度だけでなく、最後にもう一度繰り返すことで、顧客の理解を助けます。
柔軟な操作オプションによる顧客ストレスの軽減
顧客の多様なニーズに対応するため、柔軟な操作オプションを提供することも重要です。
バックトラック機能:
誤った選択をした場合に、前の段階に戻れる機能を設けます。これにより、顧客のストレスを軽減し、正しい選択肢にたどり着きやすくなります。
スキップオプション:
リピーターや急ぐ顧客のために、ガイダンスをスキップして直接選択できるオプションを用意します。
オペレーター直通オプション:
複雑な問題や緊急の場合に備えて、どの段階からでもオペレーターに直接つながるオプションを設けます。
言語選択機能:
多言語対応が必要な場合、最初の段階で言語を選択できるようにします。
これらの注意点を考慮してコールフローを設計することで、顧客の満足度を高めつつ、効率的な問題解決が可能になります。
6.効果的なコールフローを手軽に設計するなら「MediaVoice」
繰り返しになりますが、効果的なコールフローの設計は、コールセンター業務の効率化と顧客満足度の向上に大きく貢献する取り組みです。
一方で、IVRやACDの活用には専門知識が必要なうえ、コールフローの設計や音声ガイダンスの作成には手間がかかるため、ハードルは決して低くありません。
そこでおすすめなのが、メディアリンクが提供する「MediaVoice」です。ACD機能を搭載したIVRなので、それぞれのシステムを個別に導入する必要はなく、直感的な管理画面で誰でも簡単に操作できます。
もちろん、コールフローの設計や音声ガイダンスの作成は専門チームがサポートします。さらに、100%自社開発だからこその低価格でご提供しているほか、トライアル期間を利用して製品の効果・使用感をお試しいただくことも可能です。
IVRを導入したことがない方でも安心してご利用いただけますので、興味をお持ちいただけましたら、ぜひ以下のページより「MediaVoice」の詳細情報をご確認ください。