ビジネス電話対応の基本:
初心者でも使える接客テクニック
UPDATE :
ビジネスの世界で欠かせない電話での接客。しかし、初めて電話応対を任されると、緊張して何を言えばいいのか戸惑ってしまうものです。
そこで本記事では、ビジネス電話対応の基本から実践的なテクニックまで、初心者の方でも理解しやすく解説します。マナーや言葉遣いはもちろん、顧客のニーズを適切に聞き取る方法、クレーム対応の基本、さらにはCRMシステムやIVRなどの最新ツールの活用法まで、幅広い情報をお届けします。
目次
1.接客の基本:電話対応に限らない一般的なマナー
ビジネスにおける接客の基本は、電話対応に限らず、あらゆる場面で重要です。ここでは、良好な顧客関係を築くための基本的なマナーについて解説します。
ビジネスマナーの重要性を理解し、良好な第一印象を作る
ビジネスマナーは、企業の顔として顧客と接する際の基本となります。良好な第一印象を作ることで、その後のコミュニケーションがスムーズになります。
特に電話のような非対面のコミュニケーションを取る際は、以下のポイントに注意しましょう。
・笑顔で接する:笑顔で会話をする(声も明るくなるため)
・挨拶を欠かさない:元気よく、はっきりとした声で挨拶する
・時間を守る:約束の時間より少し早めに行動する
これらの基本を押さえることで、顧客に好印象を与え、信頼関係の構築につながります。
正しい敬語と丁寧な言葉遣いの基本を習得する
ビジネスシーンでは、適切な敬語の使用が不可欠です。正しい敬語を使うことで、相手への敬意を示すとともに、プロフェッショナルな印象を与えることができます。
敬語の基本的な種類と使い方は以下の通りです。
尊敬語:
相手の行動を直接敬う言葉(例:「いらっしゃる」「おっしゃる」)
謙譲語:
自分や自社の行動を低めて表現する言葉(例:「伺う」「申し上げる」)
丁寧語:
文末を丁寧にする言葉(例:「です」「ます」)
これらを適切に使い分けることが重要です。また、過剰な敬語使用は逆効果になる場合もあるため、状況に応じた適切な言葉遣いを心がけましょう。
顧客志向の姿勢と態度を身につける
顧客志向とは、常に顧客の立場に立って考え、行動することです。この姿勢は、長期的な顧客関係の構築に不可欠です。
顧客志向の姿勢を身につけるためのポイントは以下の通りです。
傾聴する:
顧客の話をしっかりと聞き、ニーズを理解する
共感する:
顧客の感情や状況を理解し、適切に対応する
迅速に対応する:
顧客の要望や問い合わせに対して、素早く対応する
柔軟性を持つ:
状況に応じて柔軟に対応し、最適なソリューションを提供する
これらの姿勢を日々の業務で実践することで、顧客満足度の向上につながります。
2.電話対応における基本的なマナーとルール
電話対応は、顧客との重要なコミュニケーション手段の一つです。適切な電話対応は、企業のイメージ向上や顧客満足度の向上につながります。ここでは、電話対応に特化したマナーとルールについて解説します。
電話の受け方と切り方の基本
電話の受け方と切り方は、ビジネスマナーの基本中の基本です。適切な対応で、良好な印象を与えることができます。
電話を受ける際のポイント:
1.素早く対応する(3コール以内が理想的)
2.はっきりとした声で挨拶する
3.社名と自分の名前を名乗る
4.相手の用件を確認する
電話を切る際のポイント:
1.要件が終わったことを確認する
2.お礼の言葉を述べる
3.相手が電話を切るのを待つ
4.静かに受話器を置く
これらの基本を押さえることで、プロフェッショナルな印象を与えることができます。
電話特有の言葉遣いと声のトーン調整
電話では相手の表情が見えないため、言葉遣いや声のトーンがより重要になります。
電話対応での言葉遣いのポイント:
・「はい」ではなく「承知しました」など、丁寧な表現を使う
・「ちょっと」「すぐ」などのあいまいな表現を避ける
・相手の名前を適度に使用し、親近感を出す
声のトーン調整のコツ:
・明るく、はっきりとした声で話す
・適度なスピードで話す(相手に合わせる)
・語尾まではっきりと発音する
・適度に抑揚をつけ、単調にならないようにする
これらに注意することで、電話越しでも相手に好印象を与えることができます。
電話での自己紹介と社名の伝え方
電話での自己紹介は、コミュニケーションの出発点です。明確で簡潔な自己紹介を心がけましょう。
効果的な自己紹介の手順:
1.会社名を名乗る
2.部署名(必要な場合)を伝える
3.自分の名前を名乗る
4.挨拶をする
例:「〇〇株式会社の△△と申します。いつもお世話になっております。」
社名や自分の名前は、相手にとって聞き取りやすいスピードで、はっきりと発音することが重要です。必要に応じて、聞き取りづらくないか相手に確認を取っても良いでしょう。
電話対応時の禁句と使うべき丁寧な表現
適切な言葉遣いは、スムーズなコミュニケーションの鍵となります。特に避けるべき表現と、代わりに使うべき丁寧な表現を知っておくことが大切です。
避けるべき表現の言い換えの例:
・「わかりません」→「確認させていただきます」
・「できません」→「申し訳ございませんが、〇〇の理由により難しい状況です」
・「忙しいので」→「ただいま別件の対応中でして」
・「知りません」→「申し訳ございません。詳しい者に確認してお答えいたします」
また、以下のような丁寧な表現を適切に使用することで、より良い印象を与えることができます。
・「かしこまりました」
・「〜させていただきます」
・「恐れ入りますが」
・「申し訳ございませんが」
これらの表現を状況に応じて使い分けることで、プロフェッショナルで丁寧な電話対応が可能になります。
3.初心者のための電話接客テクニック
電話接客は、対面での接客とは異なる難しさがあります。しかし、適切なテクニックを身につけることで、効果的な電話接客が可能になります。ここでは、初心者の方々に特に重要な電話接客テクニックについて解説します。
顧客のニーズを適切に聞き取る技術
顧客のニーズを正確に把握することは、満足度の高い対応につながります。電話では相手の表情が見えないため、より注意深く聞き取る必要があります。
効果的な聞き取りのポイントは、以下の通りです。
積極的傾聴:
相手の話に集中し、適切なタイミングで相槌を打つ
オープンクエスチョンの活用:
「はい」「いいえ」では答えられない質問をすることで、より詳細な情報を引き出す
パラフレージング:
相手の言葉を自分の言葉で言い換えて確認する
感情の読み取り:
声のトーンや言葉の選び方から、相手の感情を推し量る
これらのテクニックを使うことで、顧客のニーズをより正確に把握し、適切な対応につなげることができます。
分かりやすい説明と情報提供の方法
電話では視覚的な補助がないため、言葉だけで相手に理解してもらう必要があります。そのため、分かりやすい説明と適切な情報提供が極めて重要になります。
効果的な説明のテクニックは、以下の通りです。
構造化:
説明の全体像を先に示し、その後詳細に入る
具体例の使用:
抽象的な概念を具体例で補足する
専門用語の言い換え:
業界用語をできるだけ平易な言葉に置き換える
要点の繰り返し:
重要なポイントを適度に繰り返し強調する
また、情報提供の際は、相手のニーズや知識レベルに合わせて、提供する情報量や詳細さを調整することが大切です。
効率的な電話の取次ぎ方と伝言の受け方
電話の取次ぎと伝言の受け方は、ビジネスの円滑な進行に欠かせないスキルです。
電話の取次ぎのポイント:
・相手の名前と用件を確実に確認する
・取り次ぐ相手の在席状況をすぐに確認できるようにしておく
・スムーズに取り次げない場合は、理由と対応方法を丁寧に説明する
伝言を受ける際のポイント:
・伝言内容を正確に聞き取り、メモを取る
・伝言の優先度や緊急性を確認する
・伝言内容を復唱し、間違いがないか確認する
・伝言を確実に伝達する手段を確保する(メモの配置場所、システムへの入力など)
これらの基本を押さえることで、効率的な業務遂行につながります。
なお、本記事の最終セクションでもご紹介しますが、IVR(自動音声応答システム)を導入すると、担当者や担当部署への電話の取次ぎを自動化できて便利です。また、相手に吹き込んでもらった用件をAIが自動でテキスト化し、担当者に自動で通知してくれるので、伝言の手間を省くことができます。
基本的なクレーム対応と謝罪の仕方
クレーム対応は難しい場面ですが、適切に対応することで、むしろ顧客との信頼関係を強化するチャンスとなります。
以下は、クレーム対応の基本ステップです。
1.傾聴:相手の話を最後まで聞く
2.謝罪:状況に応じて適切に謝罪する
3.確認:問題の詳細を確認する
4.解決策の提示:可能な解決策を提案する
5.フォローアップ:解決後も状況を確認する
謝罪する際は、以下のポイントを意識しましょう。
・誠意を持って謝罪する
・具体的に何に対して謝罪しているかを明確にする
・謝罪の言葉と共に、今後の対応や改善策を伝える
適切なクレーム対応は、顧客満足度の向上につながる重要なスキルです。以下の記事では、クレーム電話対応の手順やケース別の対応方法をご紹介していますので、詳しく知りたい方はあわせてご覧ください。
電話対応中の適切なメモ取りと情報管理
電話対応中の適切なメモ取りは、後のフォローアップや情報の正確な伝達に欠かせません。
効果的なメモ取りのコツ:
・重要なポイントを簡潔に記録する
・日時、相手の名前、連絡先は必ず記録する
・自分だけでなく他の人も理解できる表現を使う
・対応すべきタスクを明確にする
また、取ったメモを適切に管理することも重要です。デジタルツールを活用したり、共有フォルダを使用したりすることで、チーム全体での情報共有が容易になります。
なお、電話対応時にメモすべき項目や、効率的にメモを取るコツについては、以下の記事で詳しく解説しています。
4.電話対応・接客スキルの向上方法
電話対応と接客スキルは、日々の実践と意識的な努力によって向上させることができます。ここでは、これらのスキルを効果的に磨くための方法について解説します。
効果的な電話応対トレーニングを実施する
電話応対スキルを向上させるためには、体系的なトレーニングが有効です。以下に、効果的なトレーニング方法をいくつか紹介します。
ロールプレイング:
実際の電話対応を想定したロールプレイングは、実践的なスキルを身につける上で非常に効果的です。同僚や上司と協力して、さまざまな状況を想定したシナリオを作成し、実践してみましょう。
録音と振り返り:
自分の電話対応を録音し、後で聞き直すことで、客観的に自分の話し方やトーンを分析できます。改善点を見つけやすくなり、具体的な目標設定にもつながります。
ケーススタディ:
過去の電話対応事例を分析し、どのような対応が効果的だったか、あるいは改善の余地があったかを検討します。これにより、さまざまな状況での適切な対応方法を学ぶことができます。
これらのトレーニング方法を組み合わせることで、より総合的なスキル向上が期待できます。
先輩社員からのフィードバックを積極的に取り入れる
経験豊富な先輩社員からのフィードバックは、スキル向上の貴重な機会となります。以下のポイントに注意して、フィードバックを効果的に活用しましょう。
オープンな姿勢:
批判を恐れず、建設的なフィードバックを歓迎する姿勢を持ちましょう。
具体的な質問:
「どうすればもっと良くなりますか?」といった漠然とした質問ではなく、具体的な場面や行動について質問することで、より有用なアドバイスを得られます。
即時の実践:
フィードバックを受けたら、すぐに実践してみることが大切です。実践を通じて、アドバイスの効果を確認し、さらなる改善につなげることができます。
定期的なフォローアップ:
一度きりではなく、定期的にフィードバックを求めることで、継続的な成長が可能になります。
先輩社員の経験から学ぶことで、自分一人では気づきにくい改善点を見つけ出すことができます。
自己評価と継続的な改善のためのチェックリストを作成する
自己評価は、自身のスキルレベルを客観的に把握し、改善点を明確にするために重要です。
以下は、効果的な自己評価を行うための、チェックリスト作成の手順です。
1.評価項目を設定する(以下は一例):
・声の明瞭さ
・敬語の適切な使用
・傾聴スキル
・問題解決能力
・顧客満足度
2.評価基準を明確化する:
各項目について、1〜5段階などの明確な評価基準を設定します。
3.定期的な自己評価を行う:
週単位や月単位など、定期的に自己評価を行います。
4.改善計画を立案する:
評価結果に基づいて、具体的な改善計画を立てます。
5.進捗を記録する:
改善の進捗を記録し、成長の軌跡を可視化します。
このようなチェックリストを活用することで、自身のスキル向上の過程を客観的に把握し、効果的な改善につなげることができます。
電話対応スキルを磨くための日々の習慣を形成する
スキル向上のためには、日々の継続的な取り組みが欠かせません。以下に、日常的に実践できる習慣をいくつか紹介しますので、対応できそうなものから、ぜひ取り組んでみてください。
声出し練習:
毎朝、発声練習を行い、クリアな声で話せるようにします。
敬語の復習:
日常会話の中で使用する言葉を、意識的に敬語に置き換える練習をします。
積極的な傾聴:
日常のコミュニケーションにおいても、相手の話をしっかりと聞く習慣をつけます。
業界知識のアップデート:
関連ニュースや専門書を定期的にチェックし、最新の業界動向を把握します。
ストレス管理:
リラックス法や呼吸法を学び、ストレスフルな状況でも冷静に対応できるよう備えます。
これらの習慣を日々の生活に取り入れることで、電話対応スキルの継続的な向上が期待できます。
5.ツールとテクノロジーを活用した電話接客
現代のビジネス環境では、さまざまなツールやテクノロジーを活用することで、より効率的で質の高い電話接客が可能になります。ここでは、初心者の方でも活用しやすい基本的なツールとテクノロジーについて解説します。
CRMを活用した顧客情報の基本的な管理方法
CRM(顧客管理システム)は、顧客との関係性を管理し、より良いサービスを提供するためのツールです。電話接客においても、CRMの活用は非常に有効です。
CRMの基本的な活用方法は、以下の通りです。
顧客情報の一元管理:
・顧客の基本情報(名前、連絡先など)を登録
・過去の対応履歴や購買履歴を記録
・顧客の要望や好みなどの特記事項を入力
情報の即時検索:
・電話対応中に、顧客の情報をすぐに呼び出せるようにする
・過去の対応履歴を参照し、一貫性のある対応を心がける
フォローアップの管理:
・次回のアクションや連絡予定日を記録
・リマインダー機能を活用し、適切なタイミングでフォローアップ
顧客分析:
・顧客の問い合わせ傾向や購買パターンを分析
・分析結果を基に、より適切な対応や提案を行う
CRMを効果的に活用することで、個々の顧客に合わせたきめ細かな対応が可能になり、顧客満足度の向上につながります。特に、アウトバウンドコールを専門的に行うコールセンターのオペレーターにとって有用なツールと言えるでしょう。
IVRと人による対応の基本的な使い分け
IVR(自動音声応答システム)の導入が進む中、人による対応との適切な使い分けが重要になっています。それぞれの特性を理解し、状況に応じて適切に活用することが求められます。
IVRとは、会社にかかってきた電話に自動音声ガイダンスを流すことで、電話の対応を自動化するツールです。主に、以下のようなことを実現します。
基本的な問い合わせへの自動対応:
・営業時間や所在地の案内
・商品の基本情報の提供
・よくある質問(FAQ)への回答
初期対応の自動化:
・顧客の問い合わせ内容を事前に分類
・適切な部署や担当者への振り分け
24時間対応の実現:
・営業時間外でも基本的な情報提供や受付が可能
IVRは電話対応を自動化するツールですが、以下のように、人による対応が適している場面もあることに注意が必要です。
複雑な問い合わせや相談:
・個別の状況に応じた詳細な説明が必要な場合
・製品やサービスのカスタマイズに関する相談
感情的な対応が必要な場面:
・クレーム対応
・重要顧客との関係構築
高度な判断や交渉が必要な場合:
・特別な条件や例外的な対応の検討
・新規サービスの提案や契約交渉
IVRと人による対応を適切に組み合わせることで、効率的かつ質の高い顧客サービスを提供することができます。IVRを活用する際に重要なのは、システムに頼る部分と、人間的な温かみや柔軟性を活かす部分を分けることです。
なお、IVRの仕組みや機能、具体的な活用シーンについては、以下の記事で詳しく説明しています。「IVRとは何か?」から知りたい方は、あわせてご覧ください。
6.重要な電話接客に集中できる環境を構築するならIVRがおすすめ
顧客と良好な関係を構築するためには、電話での接客スキルを高めることが重要です。ただし、会社にかかってくる電話は、不要な営業電話であるケースも多いです。もちろん、どんな相手であっても最低限のマナーは必要ですが、その対応に時間を取られてしまえば生産性は低下します。
また、自分の担当ではない顧客からの電話を取り次いだり、担当者に折り返しを依頼したりすることも、受電対応者が本来対応すべき業務とは言えません。
そこでおすすめなのが、IVR(自動音声応答システム)です。メディアリンクが提供する「DXでんわ」は、会社にかかってきた電話に自動応答するだけでなく、下記も実現します。
・担当者に直接自動で転送されるから、取次ぎの手間がなくなる
・自動音声ガイダンスを流すから、不要な営業電話に出なくてもよくなる
・音声がテキスト化され、担当者に通知されるから、伝言やメモ作成が不要になる
このように、DXでんわはムダな電話対応を省人化し、人が対応すべき電話や業務に集中できる環境づくりに役立つIVRです。以下のページで詳しくご紹介しておりますので、ご興味のある方は、ぜひご覧ください。