電話対応フローチャートの作り方:
新人教育・業務効率化に役立つ見本付き
UPDATE :
電話対応業務の効率化と標準化を実現するフローチャート。基本的な受け答えから、クレーム対応まで、様々なシーンで活用できるこのツールを導入することで、新人教育の効率化や顧客満足度の向上が期待できます。
本記事では、フローチャートを作成するポイントと実践的な活用例を解説します。
目次
1. 電話対応フローチャートとは
電話対応業務を円滑化するためのツールとして、フローチャートは非常に効果的です。適切に作成されたフローチャートは電話対応の手順を視覚的に示し、スタッフが迷うことなく対応できる環境を整えます。
フローチャートの基本的な概念
フローチャートとは、業務の流れを図で表現したものです。電話対応の場合、受電から終話までの一連の流れを、矢印や図形を使って分かりやすく図示します。特に「開始」「判断」「処理」「終了」といった要素を、決められた図形(長方形、ひし形、など)で表現することで、誰が見ても理解しやすい形式となります。
電話対応業務におけるフローチャートの役割
電話対応業務においてフローチャートは、単なる手順書以上の重要な役割を果たします。例えば、お客様からの問い合わせ内容に応じて「どの部署に取り次ぐべきか」「どのような回答をすべきか」といった判断の指針となります。また、クレーム対応などの緊急時にも、冷静に次のステップを確認できる重要なツールとなります。
なお、電話対応におけるマナーや言い回しのコツなどは、以下の記事でご紹介しています。基本のマニュアルとしてご活用ください。
標準化・マニュアル化の重要性
電話対応の品質を組織全体で維持するには、対応の標準化が不可欠です。フローチャートを活用したマニュアル化により、以下のような効果が期待できます。
・対応品質の均一化
・業務手順の明確化
・誤った対応の防止
・新人教育の効率化
特に大規模な組織では、部署や担当者によって対応にばらつきが生じやすいため、フローチャートによる標準化は重要な意味を持ちます。
なお、本記事の下部でもご紹介していますが、IVR(自動音声応答システム)を導入することで対応品質を均一化しつつ、電話の「一次対応」「転送」を自動化できるため、大幅な負担軽減・業務効率化を図ることができます。
2. 電話対応フローチャートのメリット
電話対応フローチャートは、特に人材育成と業務効率化の観点から多くの企業が導入を進めています。電話対応の品質向上に向けて、具体的にどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
業務の効率化と標準化を実現できる
フローチャートの導入により、電話対応業務の流れが明確になります。これにより、スタッフは迷うことなく適切な対応を選択できるようになります。例えば、お客様からの問い合わせ内容に応じて、「すぐに対応すべき案件か」「他部署への確認が必要な案件か」の判断がスムーズになります。また、部署や担当者による対応のばらつきが減少し、組織全体として一貫性のあるサービスを提供できるようになります。
新人の教育期間を短縮できる
新入社員やアルバイトスタッフなど、電話対応に慣れていない従業員の教育において、フローチャートは非常に効果的なツールとなります。視覚的に手順が示されているため、電話対応の基本的な流れを理解しやすく、実践的なトレーニングにも活用できます。研修担当者の負担も軽減され、以下のような効果が期待できます。
・基本的な対応手順の早期習得
・実践的なロールプレイング研修への活用
・研修期間の短縮化
・教育コストの削減
ミスやトラブルを防止できる
標準化された手順に従って対応することで、よくあるミスやトラブルを未然に防ぐことができます。特に以下のような場面で効果を発揮します。
・お客様情報の確認漏れ防止
・適切な部署への取次ぎ
・必要な情報の聞き取り
・約束事項の確実な記録
顧客満足度を向上できる
フローチャートに基づいた的確な対応により、お客様との円滑なコミュニケーションが実現します。これにより、以下のような効果が期待できます。
・応対時間の短縮
・正確な情報提供
・スムーズな問題解決
・一貫性のあるサービス提供
特に、お客様からの問い合わせ内容に対して迅速かつ適切な対応ができることで、企業への信頼度が高まり、結果として顧客満足度の向上につながります。
3. 電話対応フローチャートを作成するポイント
効果的な電話対応フローチャートを作成するには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、実務で活用しやすく、かつ効果的なフローチャートを作成するためのポイントを詳しく解説していきます。
シンプルで分かりやすい表現を使用する
フローチャートの最大の目的は、電話対応の手順を誰もが理解できる形で示すことです。そのため、以下のような点に注意して作成します。
・専門用語や略語を避け、平易な言葉を使用する
・簡潔な文章で表現する
・曖昧な表現を避け、具体的な行動を示す
・重要なポイントは太字や下線で強調する
実践的な分岐点を設定する
電話対応では、状況に応じて適切な判断が求められます。フローチャートには、以下のような実践的な分岐点を明確に示すことが重要です。
・お客様の用件による振り分け
・担当者の在席状況による対応の違い
・クレームレベルに応じた対応方法
・緊急度による優先順位の判断
図形や文字の体裁を統一する
視覚的な統一感は、フローチャートの理解のしやすさに大きく影響します。以下の点に注意し、作成のルールを設けることが大事です。
・同じ機能や並列の機能を表したい場合は、同じ図形で作成する
・フォントの種類やサイズを統一する
・矢印の太さや形状を揃える
・色分けを効果的に活用する(白黒でも判別できるように配慮するとなお良い)
定期的な更新とメンテナンスを実施する
業務内容や組織体制の変更に合わせて、フローチャートも適宜更新する必要があります。以下のポイントに留意しましょう。
・定期的な見直し時期を設定する
・現場からのフィードバックを反映する
・新しい対応ケースを追加する
・古くなった情報を修正する
具体的な例を用いて解説する
必ずしもフローチャート内に記載する必要はありませんが、具体例を示す資料を用意することで、フローチャートがより実践的なツールとなります。例えば、以下のような対応の具体例があるとよいでしょう。
・よくある質問とその回答例
・クレーム対応での具体的な言い回し
・取次ぎ時の伝え方
・メモの取り方のサンプル
なお、具体的な言い回しを示す資料としては「トークスクリプト」も有用です。以下の記事ではトークスクリプトの作り方や活用法を解説していますので、詳しく知りたい方はあわせてご覧ください。
4. よくある電話対応シーンのフローチャート例
ここでは、電話対応によくあるシーンを例に挙げ、フローチャートの見本を示していきます。
なお、これからご紹介するフローチャートの例は、以下のルールで作成しています。
・緑色の長方形+白文字:電話対応者に求められる作業(=処理)
・黄色のひし形+黒字:フローの分岐が発生するポイント(=判断)
・矢印:電話対応の流れ
・緑色の文字:重要なポイント
・「」:言い回しの例
・波線:重要なポイントや言い回し例との接続
※分かりやすさを重視し「開始」と「終了」は設けない
基本的な電話の受け方
まずは、基本的な電話応対のフローチャート例です。以下の見本では、電話に出るところから、用件を伺うところまでを示しています。
クレーム対応
次は、クレームレベルに応じた適切な対応を示すフローチャートの例です。先ほどの「基本的な電話の受け方」で示した「用件を伺う」の後に続くものとイメージしてください。
以下の見本では分岐をあえてシンプルにしていますが、現場に委ねている範囲やエスカレーションのルールによっては、より細かく設定する必要があるでしょう。
担当者不在時の対応
最後に、担当者への取次ぎを依頼されたときのフローチャート例です。以下の見本では、「担当者が在籍しているか」と、「担当者から折り返す必要があるか」の2点で、分岐が発生します。
こうしたフローチャートは、エクセルやパワーポイントなどで簡単に作成できます。ただし、複数人で作成したり、作成者と更新者が別々になったりする場合は、表記ルールや色使いなどがバラバラにならないよう注意が必要です。
誰が見ても対応手順や内容を理解できるよう、あらかじめフローチャートの作成ルールを定めておくことが重要です。
5. 電話対応をさらに効率化するなら「IVR」がおすすめ
フローチャートは人による定型的な電話対応の効率化に役立つツールですが、これを完全に自動化できるシステムとして注目されているのがIVR(自動音声応答システム)です。大規模なコールセンターだけでなく、中小企業でも電話対応の負担軽減・効率化を図る目的で導入が進んでいます。
IVRを活用することで、企業の電話対応業務において以下のような事柄が実現できます。
・24時間365日の対応
・要件に応じた部署・担当者への直接転送
・定型的な問い合わせ対応の自動化
・取り次ぎにおける人的ミスの防止
・従業員の負担軽減
IVRを導入する場合は、メディアリンクの「DXでんわ」がおすすめです。電話の一次対応や転送を自動化できるためフローチャート例で示したような、「分岐」に対する判断が不要に。さらに、録音や文字起こし、自動通知といった機能も備えているため、従来人が行っていた「伝言」や「メモの作成」といった手間も削減できます。
「DXでんわ」は、企業によくある「電話が鳴るたびに業務を止めなければならない」といった状況を改善し、従業員の方が本来の業務に集中できる環境の実現に貢献するツールです。製品の詳細は以下のページで紹介していますので、ご興味大持ちの方は、ぜひご覧ください。