電話の敬語完全ガイド:
シーン別例文と正しい使い方
UPDATE :
ビジネスの場面で避けて通れない電話対応。相手の顔が見えない分、適切な敬語の使用が重要になります。
本記事では、電話をかけるとき・受けるときの基本フレーズや、よくある間違いまで、実践的な例文とともに解説します。
目次
1. 電話対応で使う敬語の基本
電話で適切な敬語を使えるかどうかは、会社の印象を左右する大切な要素です。ここでは、電話対応で使う敬語の基本的な知識を確認していきましょう。
敬語には3つの種類がある
敬語は大きく「丁寧語」「尊敬語」「謙譲語」の3つの種類に分けられます。それぞれの特徴を理解することで、適切な言葉遣いができるようになります。
丁寧語
「です」「ます」を基本とした、話し方全体を丁寧にする言葉です。「おはようございます」「失礼いたします」など、日常的に使用する表現も丁寧語に含まれます。
尊敬語
取引先や上司など、相手の行動を高めて表現する言葉です。「いらっしゃる」「おっしゃる」「ご覧になる」などが代表的です。
謙譲語
自分や自社の行動を控えめに表現する言葉です。「参る」「申し上げる」「ご案内する」などが該当します。
丁寧語・尊敬語・謙譲語の基本的な使い分け
電話対応では、これら3種類の敬語を状況に応じて適切に使い分けることが重要です。基本的な使い分けのポイントは以下の通りです。
・相手の行動を表現する際は尊敬語を使用
・自分の行動を表現する際は謙譲語を使用
・すべての会話の基本として丁寧語を使用
なお、以下の表は最低限覚えておくべき敬語の一覧です。よく使う表現なので、敬語に自信がない方はこれらをマスターするところから始めるとよいでしょう。
ビジネスでの敬語の重要性
正しい敬語の使用は、ビジネスにおける信頼関係の構築に大きく影響します。特に電話では、表情やジェスチャーが伝わらないため、言葉遣いだけで相手への敬意や自社の誠意を示す必要があります。
初めて取引を行う企業との会話や、クレーム対応など、重要な場面では特に注意が必要です。適切な敬語の使用はスムーズなコミュニケーションを実現し、ビジネスの成功に欠かせない要素と言えます。
もちろん、丁寧な対応を行ううえで留意すべきなのは敬語だけではありません。ビジネスの電話対応で気をつけるべきマナーやポイントなどを網羅的に知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
2. 電話をかけるときの敬語フレーズ
電話をかける際の第一声は、その後の会話の印象を大きく左右します。相手に好印象を与え、スムーズなコミュニケーションを図るために、適切な敬語フレーズを使いましょう。以下では、電話をかけるときの具体的なシーンごとに、使用すべき敬語表現をご紹介します。
会社名と名前を名乗るとき
電話をかけ始める際は、まず自分の所属と名前を明確に伝えることが重要です。相手に確実に情報が伝わるよう、はっきりと丁寧に話すように心がけましょう。
▼基本フレーズ
「お世話になっております。◯◯会社の△△でございます」
「いつもお世話になっております。◯◯部の△△と申します」
相手の在席を確認するとき
目的の相手を呼び出す際は、先方の状況に配慮した言葉選びが必要です。特に初めての方や役職者に対しては、より丁寧な表現を心がけます。
▼基本フレーズ
「□□様はいらっしゃいますでしょうか」
「恐れ入りますが、□□部長はご在席でしょうか」
担当者への取り次ぎを依頼するとき
具体的な用件を伝える前に、適切な担当者につないでもらうための依頼をする場合があります。この際は、相手の手間を考慮した丁寧な表現を使用します。
▼基本フレーズ
「恐れ入りますが、◯◯の件でご担当の方におつなぎいただけますでしょうか?」
「△△についてご相談したく存じますが、担当部署の方をご紹介いただけませんでしょうか?」
用件を伝えるとき
用件は簡潔かつ明確に伝えることが重要です。相手の時間を考慮しつつ、必要な情報を漏れなく伝えられるよう心がけましょう。
▼基本フレーズ
「先日お送りいたしました書類につきまして、ご確認させていただきたく存じます」
「◯◯の件でご相談がございまして、お電話させていただきました」
各シーンで使用する敬語フレーズは、相手との関係性や状況に応じて適切に選択することが大切です。日頃から正しい表現を意識して使うことで、自然な電話対応ができるようになります。
3. 電話を受けるときの敬語フレーズ
電話を受ける際は、会社の顔として適切な対応が求められます。最初の応対が会社の印象を決めることも多いため、正しい敬語を使いながら、丁寧で明るい声で対応することが大切です。ここでは、電話を受けるときの主なシーンごとに、適切な敬語フレーズをご紹介します。
電話に出るとき
電話に出る際は、相手に安心感を与える、はっきりとした声での応対が基本です。会社名と名前を明確に伝え、相手が用件を話しやすい雰囲気を作りましょう。
▼基本フレーズ
「お電話ありがとうございます。◯◯会社の△△でございます」
「いつもお世話になっております。◯◯部の△△でございます」
担当者の不在を伝えるとき
担当者が不在の場合は、その従業員の状況を適切に説明し、次の対応につなげることが重要です。特に、いつ戻るのかという情報は可能な限り具体的に伝えましょう。
▼基本フレーズ
「申し訳ございません。◯◯はただいま外出しております」
「恐れ入りますが、△△は本日休暇を取得しております」
「◯◯は会議中でございます。17時頃に戻る予定でございます」
なお、以下の記事では「担当者の戻り時間がわからない」という場合の対処法を、具体的な言い回しも含めてご紹介しています。詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。
伝言を受けるとき
不在の際に伝言を受ける場合は、相手の名前、連絡先、用件を正確に聞き取ることが重要です。必要に応じて復唱し、情報に間違いがないか確認しましょう。
▼基本フレーズ
「承知いたしました。お電話いただいた旨、必ず◯◯に伝えさせていただきます」
「恐れ入りますが、お名前とご用件を伺わせていただけますでしょうか」
「ご連絡先を確認させていただいてもよろしいでしょうか」
復唱の方法については以下の記事で解説しています。NG例も含めてご紹介していますので、興味のある方はそちらもご覧ください。
担当部署に取り次ぐとき
適切な担当部署に取り次ぐ際は、相手をお待たせする時間を考慮した丁寧な対応が必要です。また、取り次ぎ先の担当者にも必要な情報を正確に伝えることが大切です。
▼基本フレーズ
「少々お待ちくださいませ。担当部署におつなぎいたします」
「恐れ入りますが、◯◯部署の者におつなぎいたしますので、少々お待ちくださいませ」
なお、以下の記事では特別な状況下における取り次ぎ方も含め、電話の取り次ぐシーンで役立つマナーや言い回しを解説しています。
電話を受ける際は、相手の立場に立って、どのような対応が適切かを常に考えることが大切です。状況に応じて臨機応変に対応できるよう、基本的なフレーズは確実に身につけておきましょう。
4. 電話中の敬語フレーズ
電話をかける・受けるシーンだけでなく、電話中も適切な敬語の使用が求められます。特に、聞き取りづらい場合や保留が必要な場合など、コミュニケーションに支障が生じやすい場面では、適切な敬語表現を用いて対応することが重要です。
聞き取りにくいことを伝えるとき
電話回線の状態や周囲の騒音により、相手の声が聞き取りにくいことがあります。そうした場合は、相手に失礼のないよう配慮しながら、適切な表現で確認を行いましょう。
▼基本フレーズ
「申し訳ございません。お声が少し遠いようです。もう一度お願いできますでしょうか?」
「恐れ入りますが、ただいまの件につきまして、確認させていただいてもよろしいでしょうか?」
以下の記事では、相手の発言が聞き取れなかったときに「丁寧に聞き返すコツ」を解説しています。さらに多くの例文を確認したい方は、そちらもご覧ください。
保留を開始するとき
確認や調査のために保留が必要な場合は、その旨を丁寧に伝え、予想される待ち時間についても可能な限り説明します。
▼基本フレーズ
「恐れ入りますが、確認いたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか?」
「申し訳ございません。担当に確認させていただきますので、2〜3分ほどお時間を頂戴できますでしょうか?」
なお、以下の記事では保留のやり方やマナーについて解説しています。「保留中に電話を置いてよいか?」「固定電話に保留ボタンがない」といったお悩みの対処法も紹介しているので、興味のある方はあわせてご覧ください。
通話を再開するとき
保留から戻る際は、まずお待たせしたことへのお詫びから始め、その後に確認結果や続きの対応を説明します。
▼基本フレーズ
「お待たせいたしまして、申し訳ございません」
「長らくお待たせいたしました。ただいま確認が取れましたので、ご報告させていただきます」
電話を切るとき
会話の終わりには、用件の確認と共に、丁寧な締めくくりの言葉を添えることで、好印象を残すことができます。
▼基本フレーズ
「本日は貴重なお時間を頂戴し、ありがとうございました」
「それでは失礼いたします。本日はありがとうございました」
なお、電話を切るのは「かけた側」というマナーがあるので注意しましょう。その他のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
電話中の対応は、一つ一つの言葉遣いが相手との信頼関係構築に影響します。特に、相手をお待たせする場面や聞き返しが必要な場面では、より丁寧な表現を心がけ、スムーズなコミュニケーションを図りましょう。
5. 電話での敬語の間違いやすいポイント
電話での会話は即座の対応が求められるため、ついつい敬語の使い方を間違えてしまうことがあります。ここでは、特に注意が必要な間違いやすいポイントを解説し、正しい表現を身につけましょう。
尊敬語と謙譲語の混同
ビジネス電話では、尊敬語と謙譲語を適切に使い分けることが重要です。特に、自分の行動を表現する際に尊敬語を使ってしまう誤りが多く見られます。
▼よくある誤用と正しい表現
誤:「私がお聞きします」
正:「私が承ります」
誤:「資料を私からお持ちします」
正:「資料を私から持参いたします」
不適切な省略表現
急いでいる場合でも、敬語を不適切に省略することは避けましょう。省略することで、相手に対する配慮が欠けた印象を与えかねません。
▼よくある誤用と正しい表現
誤:「すみません、◯◯さんいますか?」
正:「恐れ入りますが、◯◯様はいらっしゃいますでしょうか?」
誤:「ちょっと待ってください」
正:「少々お待ちいただけますでしょうか?」
その他の代表的な誤用表現
日常的によく使用する表現でも、実は誤った使い方をしていることがあります。以下の例を参考に、正しい表現を意識して使いましょう。
▼よくある誤用と正しい表現
誤:「◯◯様がおっしゃられました」(二重敬語)
正:「◯◯様がおっしゃいました」
誤:「お客様がお待ちしております」(相手の行動に謙譲語を使用)
正:「お客様がお待ちです」
電話での会話はその場での即興的な対応が求められますが、基本的な敬語の規則は守る必要があります。日頃から正しい表現を意識し、適切な敬語を使用できるよう心がけましょう。特に新入社員の方は、上司や先輩の話し方を注意深く観察し、正しい敬語の使い方を学ぶことをお勧めします。
6. 電話対応の負担を軽減するならIVRがおすすめ
電話対応における適切な敬語の使用はビジネスシーンにおいて不可欠ですが、電話の件数が多く、特に「受電対応や取り次ぎ業務に追われている」という場合は、言葉遣いへの配慮が後回しになりやすいものです。
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