謝罪の電話【例文付き】
基本の手順と押さえるべきポイント
UPDATE :
取引先とのトラブルや行き違いが発生した際、避けては通れないのが「謝罪の電話」です。しかし、その進め方や適切なタイミング、言葉選びに不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、取引先との信頼関係を損なわないよう、基本の手順から具体的な例文、さらには注意点まで、実践的なポイントをご説明します。
目次
1. 謝罪の電話をするときの基本的な流れ
取引先とのビジネスにおいて、ミスやトラブルは可能な限り避けるべきですが、万が一発生してしまった場合は、迅速かつ適切に謝罪の電話をすることが重要です。ここでは、信頼関係を維持・修復するための基本的な流れを解説します。
手順1:社名と名前を名乗る
電話口で最初に行うのは、自社名と自身の名前を明確に伝えることです。「◯◯株式会社の△△でございます」というように、相手にすぐに分かるよう、はっきりと告げましょう。
手順2:謝罪の言葉を述べる
問題の内容について簡潔に触れながら、明確な謝罪の言葉を述べます。「先日の納品における品質の件で、大変ご迷惑をおかけし、申し訳ございません」というように具体的に伝えます。
手順3:問題の経緯を説明する
なぜそのような事態が発生したのか、経緯を簡潔に説明します。この際、言い訳がましくならないよう注意を払いながら、事実を順序立てて説明することが重要です。
手順4:具体的な対応策を提示する
問題解決のための具体的な対応策を明確に説明します。「本日中に良品との交換対応をさせていただきます」というように、具体的な行動とスケジュールを示します。
手順5:再度謝罪の言葉を述べる
最後に改めて謝罪の言葉を述べ、今後の再発防止策や改善の意志を伝えます。「今後このようなことが二度とないよう、社内体制を見直して参ります。重ねて申し訳ございませんでした」のように締めくくります。
このような基本的な流れを押さえておくことで、緊張する場面でも適切な対応が可能になります。ただし、これはあくまでも基本的な流れであり、状況に応じて柔軟に対応することも重要です。
2. 【状況別】謝罪の電話で使える例文
ビジネスにおける謝罪の電話では、状況に応じた適切な言葉選びが重要です。以下では、よくある状況別に、実際に使える例文をご紹介します。これらの例文は基本的な謝罪の流れに沿って、状況に合わせてアレンジしてお使いください。
納品物に不備があったとき
「先日お納めいたしました◯◯について、品質上の不備が確認されました。お客様にご迷惑とご心配をおかけし、誠に申し訳ございません。本日中に良品をお持ちいたしますので、不良品との交換をさせていただけますでしょうか? 今後このような事態が発生しないよう、検品体制を強化いたします」
【ポイント】
・問題の具体的な内容を明確に伝える
・即日対応可能な解決策を提示する
・検品体制の強化という具体的な再発防止策を示す
納期に遅れが生じたとき
「お約束しておりました◯◯の納期について、当初の予定より2日ほど遅れる見込みとなってしまいました。進捗管理が不十分で大変申し訳ございません。現在の進捗状況は◯◯で、△日の午前中には必ず納品させていただきます。納期遅延による影響を最小限に抑えるため、優先して対応させていただきます」
【ポイント】
・遅延の具体的な期間を明示する
・現在の進捗状況を説明し、新しい納期を明確に提示する
・優先対応という形で誠意を示す
担当者の対応が不適切だったとき
「先日の弊社担当の◯◯の対応について、ご不快な思いをおかけし、大変申し訳ございませんでした。社内で事実確認を行い、適切な指導を行います。併せて、全社員に対して接遇研修を実施し、このようなことが二度と起こらないよう徹底いたします」
【ポイント】
・個人の責任を会社としての責任として受け止める
・具体的な改善行動(事実確認と指導)を示す
・全社的な取り組み(研修実施)で再発防止を約束する
請求書の金額に誤りがあったとき
「先日お送りいたしました請求書の金額に誤りがございました。確認が不十分で大変申し訳ございません。本日中に正しい金額の請求書を再送させていただきます。今後はダブルチェック体制を導入し、このような事態の再発を防止いたします」
【ポイント】
・誤りを明確に認める
・即日の訂正対応を約束する
・チェック体制の具体的な改善策を提示する
約束した連絡を忘れていたとき
「先日ご依頼いただいておりました件の連絡が遅れ、大変申し訳ございません。確認したところ、◯◯の状況となっております。今後このようなことがないよう、社内の連絡体制を見直し、確実なフォロー体制を構築いたします」
【ポイント】
・連絡遅延を率直に認める
・現状の報告を速やかに行う
・具体的な改善策(フォロー体制の構築)を提示する
これらの例文は、基本的な構成要素として「謝罪」「原因説明」「対応策」「再発防止策」を含んでいます。実際の使用時は、相手の反応や状況に応じて、より丁寧な説明や具体的な対応策の提示を行うことが重要です。
3. 謝罪の電話をかけるベストなタイミング
謝罪の電話は、内容だけでなく、かけるタイミングも重要な要素です。特に問題が発覚した際は、速やかな対応が求められます。
即日対応の重要性
問題が発覚した場合は、原則として即日中の連絡が望ましいです。ただし、以下の場合は例外となります。
・深夜や早朝に問題が発覚した場合 → 始業後、適切な時間帯に連絡する
・事実関係の確認が必要な場合 → 確認後、速やかに第一報を入れる
・上司との相談が必要な場合 → 相談後、できるだけ早く連絡する
謝罪の電話が遅れれば遅れるほど、問題の深刻度は増し、信頼回復も難しくなります。「知らせるべき情報がまだ揃っていない」という場合でも、まず第一報を入れ、続報を約束するという対応が重要です。
最適な時間帯
一般的に、謝罪の電話は午後の早い時間帯が適しているとされています。この時間帯は昼食後で相手も落ち着いており、午後の業務にもまだ余裕がある傾向にあります。特に重要な謝罪の場合は、相手が冷静に対応できる時間帯を選ぶことが大切です。
避けるべき時間帯
相手の業務への影響を考慮すると、以下の時間帯は避けることが望ましいでしょう。特に、業務の繁忙期や重要な会議が想定される時間帯は、謝罪の電話を控えることが賢明です。
・早朝(午前9時前後):朝一の業務確認や打ち合わせが多い時間帯
・お昼時(正午前後):食事や休憩で席を外している可能性が高い
・夕方以降(午後5時以降):帰宅準備や当日の業務のまとめに入る時間帯
・月曜の午前中:週初めで業務が立て込んでいることが多い
・金曜の午後:週末の対応に支障が出る可能性がある
4. 謝罪の電話をするときの注意点
取引先への謝罪の電話では、適切な対応によって信頼関係を修復できる可能性がある一方、不適切な対応によってさらなる信頼低下を招くリスクもあります。以下では、避けるべき具体的な注意点をご説明します。
言い訳がましい表現を使用しない
安易な言い訳や責任転嫁は、相手の不信感を増大させる原因となります。以下のような表現は使用を控えましょう。
・「◯◯の都合で」といった他者への責任転嫁
・「たまたま」「普段は大丈夫なのですが」といった言い逃れ
・「どうしても」「仕方なく」といった諦め口調
・「実は」「確かに」といった後出し感のある表現
焦って棒読みにしない
緊張や焦りから早口になったり、棒読みになったりすると、誠意が伝わりにくくなります。以下のような点に注意が必要です。
・準備した文章を機械的に読み上げない
・話すスピードは落ち着いたペースを維持する
・重要なポイントは特にゆっくり、はっきりと伝える
・説明が長くなり過ぎないよう注意する
あいまいな期限設定を避ける
具体的な期限や対応スケジュールを示さないと、相手の不安を助長する可能性があります。以下のような表現は避けましょう。
・「なるべく早く」「できるだけ早めに」
・「近いうちに」「そのうち」
・「検討させていただきます」
・「また改めて」
感情的な言葉を使用しない
たとえ相手が感情的になったとしても、冷静さを保ち、感情的な言葉は避ける必要があります。
・「申し訳ないと思っています」といった主観的な表現
・「そこまでおっしゃらなくても」といった反論
・「どうしてそう思われるのですか」といった質問
・「私たちも困っているのです」といった自己主張
このような基本的な注意点を踏まえた上で、次のセクションでは、より効果的な謝罪を実現するためのポイントをご説明します。
5. 謝罪の電話を成功させるためのポイント
適切な謝罪は、単に「申し訳ございません」と述べるだけではありません。相手の立場に立ち、誠意を持って対応することで、信頼関係の修復や強化につながります。以下では、効果的な謝罪のポイントをご説明します。
相手の立場に立って説明する
相手が被った不利益や不便を十分に理解し、その視点から説明することが重要です。具体的には以下のような配慮が効果的です。
・取引先の業務への影響を具体的に把握して言及する
・相手が感じているであろう不安や懸念に触れる
・問題によって生じた具体的な支障を認識していることを示す
・取引先の立場で考えられる最善の解決策を提案する
誠意の伝わる声のトーンを意識する
電話では表情が見えないため、声の調子や話し方で誠意を伝える必要があります。
・落ち着いた、穏やかな口調を保つ
・適度な声の大きさと明瞭な発音を心がける
・重要なポイントは特に丁寧に説明する
・相手の発言をしっかりと聞き、必要に応じて復唱する
具体的な改善策を提示する
問題の再発防止に向けた具体的な取り組みを説明することで、今後への期待感を持っていただけます。改善策としては、以下のようなものが挙げられます。
・チェック体制の強化など、具体的な対策を説明する
・実施時期や完了予定を明確に伝える
・進捗報告の方法や頻度を提案する
・担当者の変更や増員など、体制の見直しを示す
クッション言葉を適切に使用する
直接的な表現を和らげ、相手への配慮を示す「クッション言葉」を使用することも効果的です。
・「恐れ入りますが」「誠に恐縮ですが」
・「もしよろしければ」「可能でございましたら」
・「お手数をおかけいたしますが」
・「失礼かと存じますが」
これらのポイントは、状況に応じて適切に組み合わせることで、より効果的な謝罪につながります。ただし、形式的になり過ぎないよう、真摯な態度で臨むことが最も重要です。
6. 謝罪の電話をするときに迷いやすい状況と対処法
謝罪の電話では、予期せぬ状況に遭遇することもあります。ここでは、対応に迷いやすい状況をいくつか挙げつつ、適切な対処法を解説します。
相手が電話に出ない場合
取引先に連絡を試みても応答がない場合は、以下のような段階的な対応を検討します。
・30分程度の間隔を空けて、再度連絡を試みる
・留守番電話が設定されている場合は、簡潔に要件と折り返しの連絡先を伝える
・メールで「お電話でご連絡させていただきたい件がございます」と第一報を入れる
・代表番号がある場合は、担当者の在席状況を確認する
電話の前にメールを送るべきか迷う場合
状況によっては、まずメールで報告することが適切な場合があります。例えば、以下のような場合です。
・複雑な数値の修正や図表の訂正が必要なとき
・関係者が多く、情報を正確に共有する必要があるとき
・記録として残す必要性が高いとき
・先方の業務時間外に問題が発覚したとき
このような状況に遭遇した場合でも、基本的な対応の原則は変わりません。常に相手の立場に立ち、誠実な対応を心がけることが重要です。予期せぬ事態が発生した場合は上司や関係部署に相談し、適切な判断を仰ぎましょう。
7. 補足:顧客からの指摘を確実に受け止めるために
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