法人電話番号は必要?
取得方法やコストを詳しく解説
UPDATE :
会社設立時の重要な検討項目の一つが、法人電話番号の取得です。固定電話やIP電話など選択肢は多岐にわたりますが、どのサービスを選ぶべきでしょうか?
本記事では、法人用電話番号の必要性から選び方まで詳しく解説します。
1. 法人設立時に固定電話番号の取得が必要な理由
携帯電話やスマートフォンが普及した現代でも、法人としての信頼性や各種手続きの円滑化のため、固定電話番号の取得は重要な要素です。以下では、法人として固定電話番号を持つことの具体的なメリットと必要性について説明します。
取引先からの信頼を得るため
固定電話番号、特に市外局番(03、06など)から始まる電話番号は、企業としての信頼性を示す重要な要素です。携帯電話番号やIP電話の050番号と比べ、固定電話番号は事業の安定性や継続性を印象づけることができます。新規取引先との商談や契約時には、固定電話番号の有無が信用度の判断材料として使われることも少なくありません。
また、企業向けビジネスを展開する場合や、公共事業の入札に参加する際にも、固定電話番号の存在は会社としての体制が整っていることを示す重要な指標になり得ます。
法人の手続きを円滑に進めるため
法人として行う各種手続きにおいて、固定電話番号の記載を求められるケースが多くあります。例えば、法人口座の開設時やクレジットカードの作成、各種契約時に、固定電話番号の記載が求められることがあります。たとえ記載が必要なくとも、固定電話番号の有無で手続きのスムーズさが変わることも少なくありません。
業務とプライベートを区別するため
法人としての連絡先を確立することで、経営者や従業員の個人電話番号を取引先に開示する必要がなくなります。これにより、プライバシーの保護とワークライフバランスの維持が可能になります。
また、業務時間外の対応基準を設定しやすくなり、従業員の労働環境改善にも寄与します。さらに、通話料金の経理処理も簡素化され、業務の効率化につながります。従業員の退職時などに連絡先の引き継ぎがスムーズに行える点もメリットです。
2. 法人の電話番号を取得する方法
法人の固定電話番号を取得する方法はいくつかあります。以下の表は主な取得方法(サービス)と、そのメリット・デメリットを簡単にまとめた表です。
以下では、それぞれの電話番号取得方法について、特徴や費用などを解説していきます。
NTT加入電話
固定電話の定番であるNTT加入電話は、高い信頼性と安定した通話品質が特徴です。市外局番(03、06など)が付与される電話番号は、法人設立時の必須アイテムとして長年にわたり選ばれてきました。長期的な事業運営を見据えた際の選択肢として高い支持を得ています。
メリット
NTT加入電話の最大の強みは信頼性です。通話品質が安定しており、災害発生時などの緊急時の連絡手段として重宝します。取引先や金融機関からの信用度も高いため、会社の信用力向上にもつながります。
デメリットと注意点
工事が必要なため、開通までに時間がかかることが一般的です。また、事務所の移転時には新たな工事と手続きが必要となり、柔軟な対応が難しい面があります。
取得方法と費用
申し込みはNTT東日本・西日本の窓口やWebサイトから行えます。初期費用として契約料と約4万円の施設設置負担金、月額基本料金として2,500〜4,000円程度の回線使用料が発生します。施設設置負担金がかからないプランもありますが、月額料金がやや高くなるため、長期的な利用を前提としている場合は初期費用を惜しまないほうがトータルのコストは抑えられます。
IP電話(050番号)
インターネット回線を使用してデジタル通信を行うIP電話は、比較的新しい電話サービスです。従来の固定電話とは異なり、050から始まる番号が割り当てられます。初期費用を抑えられ、月額料金も安価なことが特徴です。
メリット
導入コストが低く、月々の基本料金も安価です。場所を選ばず利用できるため、オフィスの移転にも柔軟に対応できます。通話料金も一般的な固定電話より安価です。
デメリットと注意点
050番号は一般的な固定電話番号と比べると信用度が低く、取引先や金融機関との関係で不利になる可能性があります。また、フリーダイヤルや緊急通報(110番、119番)に対応していないことと、固定電話より通話品質が低い点もデメリットです。
取得方法と費用
各種IP電話事業者のWebサイトから申し込めます。初期費用は0〜数千円程度、月額基本料金も数百円からと比較的安価です。ただし、安定した通話品質を確保するためには十分な速度のインターネット回線が必要です。
光IP電話
光回線を利用した電話サービスである光IP電話は、高速インターネット接続と組み合わせて利用できる現代的な固定電話です。従来の固定電話と同じように市外局番の取得が可能で、通話品質の高さも特徴です。
メリット
通話品質が安定しており、通話料金も従来の固定電話と比べて割安です。インターネットとセットで契約することで割安になることもあります。また、IP電話(050番号)では接続できなかった緊急通報も利用できます。
デメリットと注意点
光回線の契約が必須となるため、インターネット環境の整備が前提条件です。また、停電時や回線トラブル時には使用できなくなる可能性があります。インターネット回線の品質が通話品質に直接影響する点には注意が必要です。
取得方法と費用
光回線事業者(NTT東西、各種プロバイダー)への申し込みが必要です。初期費用は15,000〜4万円、月額料金は数千円程度です。ただし、インターネット接続とのセット契約が基本となるため、回線使用料(5,000円程度)が別途必要です。
050IP電話アプリ
スマートフォンやPCにアプリをインストールして利用する050IP電話アプリは、最も手軽に導入できる電話サービスです。インターネット環境さえあればすぐに利用を開始でき、固定的な設備投資も不要です。
メリット
申し込みから利用開始までの時間が短く、多くの場合即日開通が可能です。導入時の初期費用もほとんどかかりません。また、スマートフォンで利用できるため、場所を選ばず業務連絡が可能です。通話相手が同じサービスを使用している場合は、無料で通話できるケースもあります。
デメリットと注意点
050番号は一般的な固定電話番号と比べると社会的な信用度が低く、取引先から不安視される可能性があります。また、インターネット回線の状態により通話品質が不安定になることがあり、緊急通報にも対応していません。
取得方法と費用
各サービス提供事業者のアプリをダウンロードし、会員登録をすることで利用開始できます。初期費用は基本的に無料〜数千円、月額料金は数百円〜2,000円程度と安価です。ただし、アプリ間の通話以外では別途通話料金が発生する場合があります。
クラウドPBX
クラウド型の電話交換システムであるクラウドPBXは、従来の構内交換機(PBX)の機能をクラウド上で実現したサービスです。複数の電話回線を一元管理でき、固定電話番号とIP電話を組み合わせた柔軟な運用が可能です。中規模以上の企業や、複数拠点での展開を考える企業に特に適しています。
メリット
オフィスの内外を問わず電話対応が可能で、在宅勤務やリモートワークとの相性が良いです。通話の転送や録音、通話履歴の管理など、高度な機能も標準で利用できます。また、社内の内線システムやWeb会議システムとの連携も容易で、ビジネスチャットなどとの統合も可能。拠点の増設や人員の増減にも柔軟に対応できます。
デメリットと注意点
導入時の初期設定が比較的複雑で、社内での運用ルールの整備が必要です。また、従業員数に応じて月額コストが増加するため、小規模企業には費用面で負担が大きくなる可能性があります。さらに、インターネット回線に依存するため、回線トラブル時の代替手段の確保が重要です。
取得方法と費用
クラウドPBXサービス提供事業者への申し込みが必要です。初期費用は3万円程度からで、月額料金は1ユーザーあたり3,000〜5,000円程度です。オプション機能の追加や、利用する電話番号の種類によって追加費用が発生する場合があります。導入時のコンサルティングや設定代行サービスを利用すると、さらに費用が必要になります。
なお、本記事の下部でもご紹介していますが、IVR(自動音声応答システム)の導入時にも電話番号を取得できます。自動受付や転送、録音・テキスト化といった機能を備えているため、将来的な機能拡張を検討している場合や、「できるだけ電話対応を省力化したい」といった場合はおすすめです。
3. 法人用電話番号を取得する方法の選び方
どの方法で固定電話の電話番号を取得すべきかは、会社の規模や業態、予算、将来の展望などによって変わってきます。最適なサービスを選ぶためには、以下のポイントを総合的に検討することが重要です。
会社の規模や従業員数を考慮する
会社の規模や従業員数は重要な判断材料です。例えば、従業員が数名の小規模企業であれば、NTT加入電話や光IP電話といったシンプルなサービスで十分対応できます。一方、従業員が多い場合や複数拠点がある場合は、クラウドPBXのような統合的な電話システムを導入したほうが高い業務効率と費用対効果を見込めます。
予算と必要な機能のバランスを考慮する
単に初期費用や月額料金だけでなく、長期的な費用対効果を考える必要があります。例えば、050IP電話アプリは初期費用を抑えられますが、会社の成長に伴って固定電話への切り替えが必要になる可能性もあります。コストと機能のバランスを取りながら、将来の事業展開も見据えた選択をすることが重要です。
インターネット環境の整備状況を確認する
光IP電話やクラウドPBXなど、最新の電話サービスの多くは安定したインターネット環境が前提となります。オフィスの通信環境を確認し、必要に応じて回線の増強や冗長化を検討します。特に、テレワークやリモートワークを導入している場合は、社外からのアクセスも考慮に入れる必要があります。
将来の拡張性や機能追加の可能性を検討する
会社の成長に伴い、電話システムへの要求も変化していく可能性があります。例えば、社内の情報システムとの連携や、CRMツールとの統合、IVR(自動音声応答システム)の活用など、より高度な機能が必要になるかもしれません。選択するサービスが、そうした将来的なニーズにも対応できるかどうかを確認しておくことが重要です。
必要な付加機能の有無を確認する
電話サービスによって利用できる機能は異なります。例えば、緊急通報(110番、119番)への対応は、オフィスの安全管理の観点から重要な検討事項です。その他、通話録音や着信転送など、業務に必要な付加機能についても事前に確認しましょう。
サポート体制や保守メンテナンスの内容を確認する
企業のコミュニケーション手段は多様化したとはいえ、電話はいまだ事業活動の基盤となるツールです。そのため、トラブル発生時のサポート体制や、定期的な保守メンテナンスの内容を確認しておくことが重要です。特に、24時間対応の有無や、障害発生時の対応時間、オプション費用が発生する場合の料金体系などは、事前に把握しておく必要があります。
導入実績や利用者の評価を参考にする
選定したサービスの導入実績や利用者の評価を確認することは、実際の使用感や信頼性を判断するのに役立ちます。特に、同業種や同規模の企業での使用実績があれば、自社での導入時のイメージがつかみやすくなるでしょう。また、他社の導入事例から、想定していなかった課題や利点を発見できる可能性もあります。
4. 将来の電話業務効率化を見据えるならIVRがおすすめ
今回は法人用電話番号の取得方法をご紹介しましたが、実はIVR(自動音声応答システム)もそのひとつです。IVRは電話の自動応答・自動振り分けを可能にするシステムで、メディアリンクが提供する「DXでんわ」なら電話番号も取得できます。
初期費用無料、月額10,000円から利用でき、さらに以下の機能を標準搭載しているため、低コストで電話対応業務の負担軽減・効率化に貢献します。
・音声案内
・電話転送
・音声録音・テキスト化
・SMS送信
・音声作成
・営業時間設定
・通知設定
・レポート管理
現在、多くの企業が「電話対応に追われて本来の業務に集中できない」という状況に悩まされています。特に人手が限られている中小規模の企業では、従業員のモチベーション低下や残業時間の増加などを招いています。
「DXでんわ」はそうした状況を改善し、従業員が本来の業務に集中できる環境をつくるツールです。「電話対応をできるだけ省人化したい」「将来の機能拡張を見据えたい」といった方は、ぜひ選択肢のひとつとしてご検討ください。