代表電話とは?
維持と廃止の判断ポイント
UPDATE :
企業における代表電話の在り方が大きく変わりつつあります。テレワークの浸透や業務のデジタル化により、従来のような運用が難しくなる一方、顧客対応の品質維持も求められています。
本記事では、代表電話の基本から、維持・廃止の判断に必要なポイント、さらには効率化の選択肢まで、経営判断に役立つ情報をご紹介します。
目次
1. 代表電話とは?
企業活動において長年重要な役割を果たしてきた代表電話。スマートフォンやビジネスチャットが普及した現在でも多くの企業で利用されているこの仕組みについて、基本的な役割から最新の動向まで詳しく見ていきましょう。
代表電話は企業の窓口
代表電話は、企業における外部とのコミュニケーションの要となる電話番号です。取引先や顧客からの問い合わせを一元的に受け付け、適切な部署や担当者に取り次ぐ役割を担います。名刺やWebサイト、会社案内などに掲載される電話番号の多くが、この代表電話番号です。直通番号や内線番号と異なり、組織全体の受付機能を果たすことで、スムーズな情報伝達を実現しています。
従来は新人教育の場として活用
代表電話の対応は、多くの企業で総務部門が担当してきました。これには重要な理由があります。電話応対を通じて、社会人としての基本的なマナーや、自社の組織構造、業務の流れを学ぶことが期待されていたためです。同様の理由で、代表電話の対応は新入社員の実践的な研修の場としても機能してきました。さまざまな問い合わせに対応することで、会社全体の業務を把握する機会にもなっていたわけです。
近年は廃止する企業が増加
以前は教育の機会として機能していた代表電話の対応ですが、ビジネスコミュニケーションの多様化に伴い、代表電話を取り巻く状況は大きく変化しています。メール、Webフォーム、チャットなど、顧客との接点が増加する中で、電話による問い合わせは相対的に減少傾向にあります。
さらに、テレワークの普及でオフィスに固定された代表電話の運用が困難になるケースも増えています。このような背景から、代表電話を完全に廃止したり、外部委託やデジタルツールへの移行を進めたりする企業が増加しています。
2. 代表電話を廃止するメリット
近年、代表電話の廃止を決断する企業も増えています。その背景には、従業員の働き方や業務効率に関するさまざまな課題があります。ここでは、代表電話を廃止することで得られる具体的なメリットについて説明します。
従業員の業務負担を軽減する
代表電話の対応は、従業員にとって大きな業務負担となっています。電話を受けた際には手元の作業を中断せざるを得ず、その後の取り次ぎや伝言の処理にも時間を取られます。本来の業務に加えて電話応対を担当することで、慢性的な残業や業務の遅延が発生するケースも少なくありません。代表電話を廃止することで、従業員はこれらの負担から解放されます。
営業電話や迷惑電話への対応時間を削減する
代表電話には、取引先や顧客からの重要な連絡だけでなく、営業電話や勧誘電話なども数多くかかってきます。これらの不要な電話への対応は、業務効率を著しく低下させる要因です。代表電話を廃止し、問い合わせをメールやWebフォームに集約することで、こうした望まれない連絡への対応時間を大幅に削減できます。
予定外の電話対応が発生しない
急な電話対応は、従業員の集中力を途切れさせ、業務の質の低下を招きます。特に企画業務や分析業務など、継続的な集中力を必要とする仕事において、この影響は顕著です。代表電話の廃止により、従業員は自身のペースで業務を進められるようになり、より質の高いアウトプットを生み出せる環境が整います。
リモートワークへの移行を促進する
固定の代表電話は、テレワークの推進において大きな障壁となっています。オフィスに常駐する従業員が必要となり、柔軟な働き方の実現を妨げているためです。代表電話を廃止することで、場所に縛られない働き方が可能となり、企業全体のリモートワーク体制の整備が進みます。
維持コストを削減する
代表電話の維持には、回線使用料、機器のリース料、保守費用など、さまざまなコストがかかります。これらの固定費を削減することで、より収益性の高い分野への投資が可能となります。また、電話応対に費やしていた人件費を、より付加価値の高い業務に振り向けることもできます。
応対品質の個人差を解消できる
電話応対の品質は、担当者の経験や熟練度によって大きく異なります。新人とベテランでは対応の円滑さに差が出るため、顧客満足度にもばらつきが生じやすいのです。代表電話を廃止し、標準化されたWebフォームやメールでの対応に切り替えることで、応対品質差の課題を解消できます。また、電話応対研修やマニュアル作成といった教育コストも削減することが可能です。
3. 代表電話を廃止するデメリット
代表電話の廃止は「効率化」や「コスト削減」といったメリットがある一方で、慎重に検討すべき課題もあります。ここでは、代表電話を廃止することで生じる可能性のあるデメリットについて解説します。
企業の信頼性が低下する
多くの取引先や顧客にとって、固定電話の代表番号を持つことは、その企業の安定性や信頼性を示す重要な指標となっています。特に長年のビジネス習慣として電話でのやり取りが定着している業界では、代表電話の廃止が企業としての信用度の低下につながる可能性があります。実際に、取引開始の審査において、固定電話の有無が判断材料として使われることもあります。
即時の口頭でのやり取りが減少する
メールやチャットでは伝えきれない微妙なニュアンスや、緊急性の高い案件の即時解決が難しくなります。電話であれば数分で済む確認や調整が、メールでは返信を待つ時間が発生し、問題解決までに時間がかかってしまう場合があります。また、口頭でのコミュニケーションによる関係構築の機会も減少します。
高齢者など電話を好む顧客層を失う
デジタルツールに不慣れな顧客層、特に高齢者にとって、電話は最も親しみやすい連絡手段です。代表電話を廃止することで、こうした顧客層とのコミュニケーションが難しくなり、ビジネス機会の損失につながる可能性があります。特に、地域密着型のビジネスや、高齢者向けのサービスを提供する企業にとっては重要な検討課題となります。
取引先との関係性に影響を与える
長年の取引関係の中で、電話でのやり取りが業務フローとして定着している取引先も少なくありません。代表電話の廃止は、既存の業務フローの変更を強いることになり、取引先との関係性にストレスを与える可能性があります。特に、受発注や納期調整など、即時性が求められる業務において影響が大きくなります。
問い合わせ対応の一元管理ができない
代表電話は、外部からの問い合わせを一箇所に集約し、適切な部署や担当者に振り分ける機能を果たしています。この仕組みを失うことで、問い合わせ対応が分散し、社内での情報共有や対応の統一が難しくなる可能性があります。また、重要な情報の見落としや、対応の遅延などのリスクも高まります。
なお、こうしたデメリットを回避するために、代表電話を維持しつつデジタルツールへの移行で効率化を図る企業も増えています。詳しくは後述しますが、IVR(自動音声応答システム)を導入することで電話の一次対応や取次といった煩雑な業務を無人化できるため、代表電話を維持するメリットを保ちながら効率化を図ることができます。
4. 代表電話の廃止・維持を判断するポイント
代表電話の廃止による影響の度合いは、企業の規模や業態、顧客層によって大きく異なります。ここでは、自社にとって「代表電話が本当に必要かどうか」を判断するための重要なポイントを解説します。
顧客層の特性と連絡手段の傾向
企業の主要な顧客層がどのような連絡手段を好むのかは、代表電話の必要性を判断する重要な要素です。顧客の年齢層や業種によって、好まれる連絡手段は大きく異なります。例えば、デジタルツールに慣れた顧客層が多い場合は、メールやWebフォームでの対応が効果的です。一方、電話での直接対話を重視する業界では、代表電話が重要なコミュニケーション手段となります。自社の顧客層について、以下の点を確認しましょう。
・顧客の年齢層とデジタルツールの利用傾向
・既存の問い合わせ方法の利用比率(電話、メール、チャットなど)
・オンラインでの対応に対する顧客の受容性
・同業他社の対応状況
・業界特有のコミュニケーション慣習
企業規模と受電件数の状況
代表電話の運用コストと受電状況を詳細に分析することで、その必要性をより客観的に判断できます。特に中小企業では、限られた人員で代表電話を運用する必要があるため、受電件数が重要な判断材料となります。以下のような「現状の受電データ」を分析してみましょう。
・1日あたりの平均着信件数と時間帯別の分布
・問い合わせ内容の傾向と緊急度
・電話対応に要する平均時間
・季節や曜日による変動の有無
・不要な着信(営業・勧誘)の割合
代替手段の整備状況
代表電話を廃止または縮小する場合、代替となるコミュニケーション手段の整備が不可欠です。現状のインフラと、今後の投資可能額を考慮しながら、実現可能な施策を検討していきましょう。特に重要なのは、顧客対応の品質を維持できる体制づくりです。
・問い合わせフォームやチャットボットの導入可能性
・社内の IT インフラの整備状況
・顧客データベースの連携体制
・従業員のデジタルツール習熟度
・導入・運用に必要な予算規模
人員配置の柔軟性
従業員の働き方や、テレワークの導入状況によっても、代表電話の必要性は変わってきます。特に、オフィスへの出社が必須となる代表電話対応は、柔軟な働き方の実現を妨げる要因となる可能性があります。以下のような点を考慮しましょう。
・現在のテレワーク導入状況と今後の方針
・フレックスタイム制など柔軟な勤務体制の有無
・部署間での人員融通の可能性
・従業員の通勤事情や働き方の希望
・時差出勤への対応必要性
コスト対効果の試算結果
最後に、具体的な数字で現状を把握し、変更した場合の影響を予測することが重要です。感覚的な判断ではなく、以下のようなデータに基づいた意思決定を行いましょう。
・現在の月間運用コスト(人件費、設備費、通信費)
・代替手段導入に必要な初期投資額
・移行期間中の並行運用コスト
・廃止後の予想される業務効率化効果
・顧客満足度への影響予測
このように、複数の観点から総合的に判断することで、自社に適した代表電話の在り方が見えてきます。一度に大きく変更するのではなく、段階的な移行を検討するのも一つの選択肢です。
5. 代表電話のメリットを享受しつつ対応を効率化する方法
代表電話の完全廃止は大きな決断ですし、企業によっては損失を生む恐れもあります。しかし、従来型の代表電話にこだわる必要はありません。ここでは、代表電話のメリットを活かしながら、運用の負担を軽減する2つの方法をご紹介します。
電話代行サービスを利用する
電話代行サービスは、企業の代表電話対応を外部の専門業者に委託するサービスです。導入のハードルは比較的低い選択肢といえます。
▼サービスの特徴
・専門のオペレーターが企業の代表として応対
・24時間365日の対応が可能
・顧客データの管理や報告書の作成も代行
・多言語対応も選択可能
▼導入のメリット
・固定費の変動費化が実現
・専門スタッフによる均質な応対品質
・社内の人的リソース削減
・繁閑の波に柔軟に対応
ただし、サービスによっては営業時間外の対応を行っていない(または追加料金が発生する)、基本的な対応範囲は受付のみで転送はオプションとなる、といった場合もあるため、サービスを利用する場合は注意が必要です。
IVR(自動音声応答システム)を導入する
IVRは、音声ガイダンスとプッシュボタン操作で用件を振り分ける自動応答システムです。電話の一次対応と転送が自動化されるため、人手を介さずに効率的な電話対応を実現できます。
▼システムの特徴
・音声による案内で顧客の用件を分類
・ボタン操作で適切な部署・担当者に自動転送
・営業時間外の案内も自動化
・待ち時間の案内や録音・文字起こし機能も搭載
▼導入のメリット
・人件費の大幅な削減が可能
・24時間の自動応対が実現
・転送ミスや取次ぎ漏れの防止
・応対品質の均一化を実現
これらの方法は代表電話の完全な廃止ではなく、その機能を維持しながら運用の効率化を図る選択肢となります。自社の状況に応じて段階的に導入を検討することで、スムーズな移行が可能です。
なお、以下の記事では電話代行サービスとIVRを複数の観点で比較していますので、詳しく知りたい方はあわせてご覧ください。
6. 代表電話対応の負担軽減・効率化なら「DXでんわ」がおすすめ
メディアリンクが提供する「DXでんわ」は、企業における代表電話対応の大幅な効率化を実現するIVRサービスです。電話の一次対応・振り分け・転送を自動化するのはもちろん、以下のようなオフィスでの電話対応に役立つ機能を備えています。
・相手の電話にショートメッセージを送れるSMS送信機能
・相手に吹き込んでもらったメッセージを自動で録音・テキスト化する機能
・着信があると関係者に自動通知する機能(チャットツールと連携可)
・約40の言語に対応できる多言語対応機能
・生の声ではなくテキスト入力で対応できる音声作成機能
これらがオプションではなく、標準機能として搭載されている点も「DXでんわ」の特長です。また、誰にでも簡単に操作できるシンプルな管理画面を備えており、導入時も専任チームが丁寧にサポートするため、IVRの導入経験がなくても安心してご利用いただけます。
「DXでんわ」は企業における電話対応を効率化し、従業員の方が本来の業務に集中できる環境をつくるツールです。興味のある方は、ぜひ以下のページより詳細をご確認ください。