個人事業主の電話、分けるべき?
働き方に合ったおすすめの選択肢を解説

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個人事業主として活動を始める際、「仕事用の電話番号は分けた方がいいのか?」という疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。電話番号を分けるかどうか、また分ける場合はどのような選択をすべきかの判断は、コストや信頼性、働き方など、さまざまな要素を考慮する必要があります。

 

この記事では、個人事業主の方の状況に応じた電話環境の選び方を、具体的に解説していきます。

1. 個人事業主になる場合、電話番号は分けるべき?

プライベート用の電話番号を仕事でも使用するか、新しく電話番号を取得するか。どちらの選択が適切かは、ビジネスの形態や将来の展望によって変わってきます。まずは、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

個人事業主の電話環境の選択肢として「プライベート番号の使用」と「新しい電話番号の取得」を対比させた図

プライベート用の電話を使うメリット・デメリット

まずは、プライベートで使用している電話番号をそのまま仕事用としても活用するケースを考えてみましょう。初期費用がかからず、すぐに始められる手軽さが特徴です。

▼メリット
・追加のコスト(月額料金)が発生しない
・新しい機器の購入や契約手続きが不要
・電話の使い分けによる手間や混乱がない
・1台のスマートフォンで完結するため持ち運びが楽

▼デメリット
・プライベートと仕事の時間の切り分けが難しい
・仕事用の連絡先として名刺やWebサイトに記載すると、個人情報が広まりやすい
・家族が電話に出る可能性があり、ビジネス上好ましくない場合がある
・確定申告時に、通信費の経費按分が必要になる

新たに番号を取得するメリット・デメリット

一方、仕事用に新しい電話番号を取得する選択肢もあります。初期費用や維持費は必要になりますが、ビジネスの観点では多くのメリットがあります。

▼メリット
・仕事とプライベートの連絡を明確に区別できる
・ビジネス用の電話番号として公開しても、個人情報の流出を防げる
・通話料金の経費計上が容易
・将来的な事業拡大時に、電話対応の分担や引き継ぎがしやすい

▼デメリット
・新たな月額料金が発生する
・複数の電話番号を管理する手間が生じる
・電話機やスマートフォンの追加購入が必要になる場合がある
・番号を使い分けることによる煩わしさがある

このように、電話番号を分けるかどうかの判断は、事業規模や業務形態、将来計画などを総合的に考慮する必要があります。次のセクションでは、具体的な選択肢について詳しく見ていきましょう。

2. 個人事業主の電話環境を整える4つの選択肢

個人事業主の電話環境には、大きく分けて4つの選択肢があります。それぞれに特徴があり、事業の形態や予算に応じて最適な選択肢は変わってきます。ここでは、各選択肢の特徴や概算費用について解説します。

個人事業主が電話環境を整える際に候補となる4つの選択肢をまとめた図

選択肢1:プライベート用の携帯電話番号を使う

すでに持っている携帯電話をそのまま仕事でも使用する方法です。追加の契約や機器の購入が不要なため、初期費用を抑えられます。

【特徴】
・新規契約や機器購入が不要で、すぐに始められる
・1台のスマートフォンで完結するため、持ち運びや管理が簡単
・通知の設定などで、ある程度の使い分けは可能
・個人契約の携帯電話番号のため、ビジネス用としての印象は控えめ

【導入・運用コストの目安】
・初期費用:0円(既存の電話を使用)
・月額費用:0円(追加費用なし)
・その他:経費計上時に按分処理が必要

【向いている人】
・起業したばかりで、まずは最小限の費用で始めたい人
・問い合わせの電話が少ない業態の人
・主にメールやチャットでのやり取りが中心の人

なお、この方法を選択する場合は、以下のような工夫でプライベートと仕事を区別することができます。

・アドレス帳で仕事用の連絡先にラベルを付けて管理
・仕事関係の連絡先からの着信を特定の着信音に設定
・営業時間外は着信をスマートフォンの機能で制限
・休日はビジネス関連の通知をオフにして、プライベートの時間を確保

選択肢2:仕事用に新しい携帯電話を契約する

プライベート用とは別に、仕事専用の携帯電話番号を取得する方法です。物理的に別の端末を持つ場合と、1台のスマートフォンでデュアルSIMを使用する場合があります。

【特徴】
・完全に番号を分けられるため、仕事とプライベートの区別が明確
・通話料金の経費計上が容易
・デュアルSIMの場合は1台で2つの電話番号を使用可能
・固定電話番号ほどの信頼性の印象は与えにくい

【導入・運用コストの目安】
・初期費用:0円〜3万円程度(端末購入の場合)
・月額費用:1,000円〜3,000円程度
・その他:デュアルSIM対応端末の場合は、対応機種の確認が必要

【向いている人】
・仕事用とプライベート用の連絡を確実に分けたい人
・外出が多く、機動力を重視する人
・通話料金を経費として計上したい人
・2台の端末を持ち歩くことに抵抗がない人、またはデュアルSIM対応端末の利用を検討できる人

なお、格安SIMを利用することで月額費用を抑えることも可能です。ただし、通話品質や通信エリアについては主要キャリアと比べて制限がある場合があるため、利用する地域や用途に応じて検討が必要です。

選択肢3:固定電話を導入する

一般的なアナログ電話や光電話などの固定電話を導入する方法です。市外局番(03、06など)を持つ電話番号は、ビジネスとしての信頼性を高めるのに効果的です。

【特徴】
・市外局番付きの電話番号により、事業者としての信頼感を演出
・通話品質が安定している
・事務所や店舗の開設時に必要な住所確認の手段として使える
・インターネット回線とセットで契約することで、コストを抑えられる場合がある

【導入・運用コストの目安】
・初期費用:施設設置負担金39,600円、契約料880円(NTT「加入電話」の場合)
・月額費用:回線使用料2,530〜2,750円(NTT「加入電話」の場合)
・その他:「加入電話・ライトプラン」の場合は施設設置負担金が0円だが毎月の使用料が割高

【向いている人】
・事務所や店舗など、固定の営業拠点がある人
・取引先や顧客との信頼関係を重視する業種の人
・主に特定の場所で仕事をする人
・電話対応が業務の中心となる人

ただし、固定電話は設置場所が限定されるため、外出先での対応が必要な場合は携帯電話などと組み合わせる必要があります。また、引っ越しの際は工事が必要になるため、事業所の移転が予定されている場合は注意が必要です。

以下は法人向けの内容ですが、電話回線の種類について解説していますので、固定電話の導入を検討したい方は参考情報としてぜひご覧ください。

【法人向け】電話回線の種類と選び方:アナログ回線・光回線・IP回線を比較

選択肢4:スマホで固定電話番号を使えるサービスを利用する

従来の固定電話機器を必要とせず、システムやスマホアプリを利用することで固定電話番号(050番号や市外局番付き番号)が使える方法です。クラウドPBXやIP電話サービスと呼ばれるものがこれに当たります。

【特徴】
・固定電話番号の信頼性とスマートフォンの機動性を両立
・工事不要で、すぐに利用開始できる
・外出先でも固定電話番号での発着信が可能
・サービスによって050番号か市外局番付き番号(03、06など)を選択可能

【導入・運用コストの目安】
・初期費用:0〜10,000円程度
・月額費用:500〜5,000円程度
・その他:インターネット環境が必要

【向いている人】
・オフィスを持たないフリーランスで、固定電話番号を持ちたい人
・コストを抑えつつ、ビジネスらしい電話番号が欲しい人
・在宅ワークが中心だが、外出時も同じ番号で対応したい人
・初期費用を抑えて、固定電話番号を導入したい人

ただし、この選択肢に該当するサービスはインターネット環境に依存するため、通信状態が悪い場所では通話品質が低下することがあります。

また、050番号については市外局番付きの固定電話と比べて、事業者としての印象が異なることがあります。取引先や顧客との関係性によっては市外局番付きの電話番号の方が望ましい場合もあるため、サービスを選ぶ際は主な取引先や想定される顧客層にとって適切な連絡手段となるか、事前に検討することをおすすめします。

3. 状況別:個人事業主におすすめの電話環境の選び方

個人事業主の仕事の形態はさまざまです。前のセクションでは各選択肢に向いている人の特徴を紹介しましたが、ここでは視点を変えて、具体的なビジネスシーンから最適な選択肢を考えていきます。普段の業務スタイルや将来の事業展開を思い浮かべながら、自分に合った選択肢を見つけてください。

状況1:取引先との商談や打ち合わせが多い場合

商談や打ち合わせが多いビジネスでは、電話でのやり取りの印象が取引先との関係性に大きく影響します。

【おすすめの選択肢】 
市外局番付きの電話番号(固定電話または固定電話番号を使えるサービス)

【おすすめの理由】
・03や06などの市外局番には、事業者としての信頼感を高める効果がある
・名刺やホームページに記載する連絡先として適している
・オフィスを構えていない場合は、スマホで使える固定電話番号サービスが便利

実際のオフィスがある場合は従来型の固定電話、在宅やフレキシブルな働き方の場合は固定電話番号を使えるサービスの利用がおすすめです。固定電話番号を使えるサービスであれば外出先でも同じ番号で対応できるため、柔軟な働き方が可能です。

状況2:士業・コンサルタントなど専門性の高いサービスを提供する場合

士業やコンサルタントなど、専門的なサービスを提供する事業では、顧客からの信頼を得ることが特に重要です。電話番号の選択も、その信頼性を左右する要素の一つとなります。

【おすすめの選択肢】
 市外局番付きの電話番号(固定電話または固定電話番号を使えるサービス)

【おすすめの理由】
・従来型の固定電話番号が、専門家としての信頼性に貢献する
・顧客からの相談の際、安心感を与えられる
・契約書や請求書などの書類に記載する連絡先として適切
・固定電話番号を使えるサービスなら、外出先でも対応可能

スマートフォンで固定電話番号を使えるサービスを活用すれば、オフィスの有無に関わらず、専門家としての印象を保ちながら柔軟な働き方が実現できます。また、通話料金が経費として明確に区分できることも、士業やコンサルタントの業務管理の面でメリットとなります。

状況3:本業の傍らで副業・フリーランスを始める場合

本業と並行して個人事業を始める場合、時間や連絡手段の区別が特に重要になります。プライベート、本業、副業の3つの領域を適切に管理する必要があります。

【おすすめの選択肢】 
仕事用に新しい携帯電話を契約する(特にデュアルSIMの活用)

【おすすめの理由】
・本業、副業、プライベートの連絡を確実に区別できる
・着信時に本業か副業かをすぐに判別できる
・営業時間外は副業用の着信をオフにすることでプライベートを確保できる
・副業の通話料金を明確に区分できる

デュアルSIM対応のスマートフォンを利用すれば、1台の端末で複数の電話番号を使い分けることができます。また、格安SIMを活用することでコストを抑えながら電話番号を分けることが可能です。必要に応じて通知設定を調整し、本業の時間帯は副業の着信を制限するなど、状況に応じた柔軟な管理ができます。

状況4:事務所を構えず在宅で仕事をする場合

在宅ワークが中心の場合、プライベートな時間と仕事の時間を明確に区切る必要性が高くなります。また、自宅の電話や個人の連絡先とは別に、仕事用の連絡手段を確保したいというニーズもあるでしょう。

【おすすめの選択肢】 
スマホで固定電話番号を使えるサービス(050番号または市外局番付き番号)

【おすすめの理由】
・自宅の固定電話や個人の携帯電話とは別の番号が持てる
・固定電話工事が不要で、引っ越し時も番号はそのまま利用可能
・設定によって営業時間外の着信を制限できる
・インターネット環境があればどこでも仕事用の電話として使える

インターネット環境さえあれば、自宅でも外出先でも同じ番号で仕事の連絡に対応できます。050番号で十分な業種の場合はコストを抑えられ、より信頼性が求められる場合は市外局番付きの番号を選択することで、状況に応じた使い分けが可能です。

状況5:客先への営業や現場での作業が中心の場合

外出が多く、移動中や現場での電話対応が頻繁に発生するビジネススタイルでは、機動力と確実な連絡手段の確保が重要です。

【おすすめの選択肢】
 仕事用の携帯電話を契約する

【おすすめの理由】
・どこにいても安定した通話品質が確保できる
・インターネット環境に依存せず、確実な連絡手段として機能する
・通話し放題プランの活用で、頻繁な通話でも月額料金を抑制できる
・電話帳の管理や履歴の確認が業務用として一元化できる

主要キャリアであれば通信エリアが広く、建設現場や山間部などでも安定した通話が期待できます。また、通話頻度に応じて適切なプランを選択することでコストの最適化も図れます。なお、プライベート用の電話と区別することで、業務時間外の対応も整理しやすくなります。

状況6:オンラインストアの運営で問い合わせ対応が必要な場合

ECサイトの運営において、メールやチャットだけでなく電話での問い合わせ対応を行う場合は、商品の問い合わせや注文確認、アフターサポートなど、さまざまな用件に対応できる環境を整える必要があります。

【おすすめの選択肢】 
スマホで固定電話番号を使えるサービス(050番号)

【おすすめの理由】
・個人の連絡先とは別に、ストア専用の問い合わせ窓口を設置できる
・通話料金が安く、長時間の問い合わせにも対応しやすい
・不在時の着信も録音で確認でき、コールバック対応が可能
・将来的な業務拡大時も、同じ番号で複数人での対応が可能

注文の確認や商品の問い合わせなど、ECサイトの運営に必要な電話対応を、コストを抑えながら実現できます。また、通話録音機能を活用すれば、問い合わせ内容の確認や対応品質の向上にも役立ちます。

状況7:開業したばかりで初期投資を抑えたい場合

開業時の投資を抑えたいと考えている場合、電話環境もできるだけコストを抑える方法を検討されているかもしれません。ここでは、必要最小限の投資で始められる選択肢をご紹介します。

【おすすめの選択肢】 
プライベート用の携帯電話番号を使用
または、スマホで固定電話番号を使えるサービス(050番号)

【おすすめの理由】
・既存の電話をそのまま使える(プライベート用の番号を使用する場合)
・追加の月額通信費が不要(プライベート用の番号を使用する場合)
・比較的少ない初期費用で始められる(050番号サービスの場合)
・月額1,000円程度から利用可能(050番号サービスの場合)
・事業の成長に応じて、段階的により適した電話環境に移行できる

コストをできるだけ抑えたい場合は、まずは手持ちの携帯電話をそのまま使用するか、月額費用の安い050番号サービスから始めるのも手です。取引先や顧客との関係性を見ながら、必要に応じて市外局番付きの番号や固定電話の導入を検討していくことで、初期の投資リスクを抑えることができます。

4. 大量の着信が想定される場合は「IVR」の導入も検討を

新たにビジネスを始めると、取引先以外からも着信が入ります。特に開業して間もないタイミングでは不要な営業電話も多く、そのすべてに対応することで多くの時間を取られます。知らない番号を無視する手もありますが、ビジネスに有益な電話を取りこぼすリスクも忘れてはいけません。

この課題解決に役立つのが、着信の選別を自動化できるIVR(自動音声応答システム)の活用です。着信時に音声ガイダンスを再生し、相手に用件に応じて番号を選択してもらうことができます。例えば「お取引先の方は1を、見積もりに関するお問い合わせは2を…」といった具合です。これにより、不要な電話をシャットアウトしつつ、優先度の高い着信に効率的に対応できるようになります。

メディアリンクが提供する「DXでんわ」は、固定電話番号(050番号)も取得できるIVRサービスです。着信は固定電話やスマートフォンに振り分けることができるため、お手持ちのデバイスを活用できます。

開業前からすでに大量の着信が見込まれている場合や、開業後、予想以上の着信数とその対処に悩まされるような場合は、ぜひ「DXでんわ」の導入をご検討ください。

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