電話対応を自動化するAI自動音声応答!
仕組みやメリット・デメリットを解説
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電話業務の効率化や負担軽減、24時間365日対応の実現による顧客満足度の向上を実現するために、「電話対応を自動化したい」と考えている方は多いのではないでしょうか。それを実現する代表的なツールが「AI自動音声応答システム」です。
本記事では、電話対応を自動化するAI自動音声応答システムの導入検討に役立つ知識を幅広く解説します。基本的な仕組みからメリット・デメリット、業界別の活用例や導入のポイントまでご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次

1. 電話対応を自動化するAI自動音声応答システムとは
AI自動音声応答システムとは、音声認識や自然言語処理などの人工知能技術を駆使して、顧客からの電話に自動で対応するシステムのことです。従来は人間が対応していた「問い合わせ」や「予約受付」などの業務をAIで自動化することで、電話対応業務の効率化・負担軽減を実現します。近年のAI技術の発展で、より自然な会話ができるようになってきました。
なお、AIを活用した電話対応システムは「ボイスボット」とほぼ同義であり、どちらも人工知能による音声ベースの自動対話システムという点で共通しています。ボイスボットについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
AI自動音声応答の仕組み
AI自動音声応答システムは、一般的に以下のような流れで動作します。
- 音声認識技術による言葉の理解
顧客の音声をリアルタイムでテキストに変換します。最新の音声認識技術は高い精度で自然な会話を認識できるようになっています。 - 自然言語処理による意図の把握
変換されたテキストから、顧客が何を求めているのかを分析します。「予約をしたい」「営業時間を知りたい」といった意図を理解します。 - 回答の生成と応答
顧客の意図に合わせて適切な回答を生成し、音声合成技術を用いて自然な話し方で応答します。 - 必要に応じた追加情報の収集
予約受付などの場合は、日時や人数など必要な情報を会話を通じて収集します。
一般的にこれらの処理はクラウド上で行われ、インターネットを通じてリアルタイムに処理されます。また、AIは対応した会話から学習し、徐々に精度を向上させていくことも特徴です。蓄積されたデータを分析することで、よくある問い合わせや顧客のニーズの傾向も把握できるようになります。
IVR(自動音声応答システム)との違い
IVR(自動音声応答システム)も電話対応を自動化するツールですが、AI自動音声応答システムとは以下のような違いがあります。
- ユーザー側の操作方法の違い
一般的に、IVRは「ご予約は1を、お問い合わせは2を押してください」といった音声を案内し、プッシュボタン操作を行ってもらうことで用件を特定するシステムです。一方、AI自動音声応答は「予約をしたいんですが」のような自然な発話から用件を把握することができます。 - 柔軟性の違い
IVRは事前に設定されたシナリオに沿って進むため、想定外の質問には対応できません。対して、AIシステムは自然言語処理能力によってさまざまな言い回しを理解できるため、ユーザーは特定の選択肢に縛られず、自由な表現で質問や要望を伝えることができます。 - ユーザー体験の違い
IVRは複雑な階層構造を持つことが多く、目的の情報にたどり着くまでに時間がかかり、顧客のストレスになることがあります。一方、AIシステムは自然な対話を経て素早く目的の情報にアクセスできるため、顧客満足度が高まります。
こうした違いから、AI自動音声応答システムは顧客にとってよりストレスが少なく、自然で使いやすいツールと言えます。
IVRの仕組みや機能、コストや導入ポイントについては以下の記事で詳細に解説していますので、詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。
なお、実際のサービスとしては「AIを活用したIVR」として提供されることも多いため、サービス名称として両者が明確に区別されているわけではありません。実際、当社メディアリンクの「DXでんわ」もIVRサービスですが、従来型のIVRとは異なり、「AIによる自動案内」や「AIによるテキスト要約」といった機能を備えています。
2. AI自動音声応答を導入するメリット
AI自動音声応答システムの導入により企業が得られる主なメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
- 24時間365日の自動応答が実現する
- 電話対応業務の効率化と負担軽減が図れる
- 顧客満足度の向上につながる
これらのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
24時間365日の自動応答が実現する
AI自動音声応答システムのメリットの一つは、時間や曜日を問わない電話対応が実現できる点です。有人対応の場合は対応時間が限られますが、AIを活用することで24時間365日、顧客からの電話に対応することが可能になります。
また、夜間や休日の問い合わせにも対応できることから、機会損失の防止にも貢献します。
電話対応業務の効率化と負担軽減が図れる
AI自動音声応答システムを導入することで、定型的な問い合わせへの対応を自動化し、人的リソースを他の業務に振り分けることができます。例えば、「営業時間や場所の案内」「商品の基本情報の提供」「よくある質問への回答」などは、AIだけで十分に対応可能です。そのため、例えば電話対応を主業務とするコールセンターにおいては、オペレーターがより複雑な問い合わせに注力できるようになります。
また、通常業務と並行して特定の従業員や部署が電話対応を行うケースも少なくありませんが、AI自動音声応答システムを導入することで人間が対応すべき電話が減り、本来の業務に集中できるようになります。もちろん、これは日々電話対応を行うスタッフの精神的負担の軽減にもつながります。
顧客満足度の向上につながる
AI自動音声応答システムは顧客満足度の向上にも貢献するツールです。上述したように、AI自動音声応答であればユーザーは自然な発話で質問や要望を伝達できます。そのため、従来型IVRのように音声ガイダンスで選択肢を伝え、顧客にプッシュボタン操作を行ってもらう必要がありません。
加えて、人が対応すべき電話の件数が大幅に減るため、電話がつながりやすくなります。これによって、顧客に与えるストレスを大きく低減させることができます。
また、メリットの一つとして先述した「24時間365日の自動応答」が実現することで、顧客の利便性が大きく向上します。
3. AI自動音声応答を導入するデメリット
AI自動音声応答システムにはさまざまなメリットがありますが、一方でいくつかの課題やデメリットも存在します。サービス導入を検討する際はこれらのデメリットを理解し、適切に対処することが重要です。
複雑な問い合わせに対応できない場合がある
AIによる電話対応の課題は、複雑な問い合わせや想定外の質問に対する対応力の限界です。IVRよりは柔軟性が高く、AIが学習した範囲内の問い合わせに対しては高い精度で回答できますが、複数の条件が絡み合う問い合わせや感情的なクレームへの対応は難しい場合があります。
この課題に対処するためには、AIが対応できる範囲を明確に定め、対応困難な問い合わせは適切に人間のオペレーターに引き継ぐ仕組みを構築することが重要です。
また、問い合わせ内容ではありませんが、顧客が使用する方言や業界特有の専門用語、ノイズが多い環境での通話などが原因で、AIが相手の発話を正確に認識できないケースも考えられます。
継続的に改善する必要がある
AI自動音声応答システムは「導入して終わり」ではなく、継続的な改善が必要なツールです。最初から完璧な対応ができるわけではなく、実際の顧客とのやり取りを通じて学習を重ね、徐々に精度を向上させていく必要があります。
特に導入初期は、想定していなかった質問パターンや表現方法に対応できないケースが発生しやすく、顧客の不満につながる可能性があります。そのため、まずはスモールスタートで運用を開始することが大切です。
運用開始後は、AI自動音声応答システムが正確に対応できなかった問い合わせを特定し、学習データに反映させるなど、定期的に対応状況を分析・改善することが重要です。
4. 【業界別】AI自動音声応答の活用例
AI自動音声応答システムは業種を問わず幅広く活用されています。ここでは「ホテル・旅館」「病院・クリニック」「飲食店」「カスタマーサポート」の4分野を例に挙げ、それぞれにおける汎用的な活用方法を紹介します。
ホテル・旅館
ホテル・旅館業界では、電話による問い合わせや予約受付の対応にAI自動音声応答システムが活用されています。予約システムと連携できるサービスなら宿泊予約の受付・変更・キャンセル処理といった定型業務をAIに任せられるため、フロントスタッフの負担を大幅に軽減できます。
特に繁忙期には電話予約の問い合わせが集中しがちですが、AIなら複数の予約を同時に処理できるため、顧客の待ち時間短縮と予約機会の損失防止につながります。
また、チェックイン時間や送迎バスの時刻案内、館内施設の利用案内など、頻繁に問い合わせのある情報提供もAIが24時間自動回答します。これによって、顧客の利便性向上とフロント業務の効率化を両立しています。
病院・クリニック
医療機関では、診療予約の受付・変更、診療時間や所在地の案内にAI自動音声応答システムが活用されています。特に診療時間中は受付スタッフが窓口対応に追われることが多いですが、AIが電話応対を担当することで電話に出られない状況を改善できます。
また、診療時間外に鳴り続ける電話に有人対応する必要がなくなるほか、ワクチン接種に関する問い合わせや予約など、時期要因で増加する電話対応も自動化できます。
予約変更やキャンセル待ちの管理なども自動化されることで、スタッフは目の前の患者対応に集中できるようになり、来院中の患者満足度の向上にもつながります。
飲食店
飲食店では、予約の受付がAI自動音声応答システムの主な活用方法です。AIなら複数の予約を同時に処理できるため、機会損失の防止とスタッフの負担軽減を同時に実現できます。予約システムと連携することで二重予約のようなヒューマンエラーを防止し、紙で管理する手間も省けます。
また、営業時間や定休日の案内、メニュー内容や料金、アレルギー対応の可否といった頻繁にある問い合わせもAIが対応できます。こうした電話対応の効率化によって、店舗スタッフは接客に集中できるようになります。
カスタマーサポート
特定業界の活用例ではありませんが、さまざまな業種のカスタマーサポート部門でも、AI自動音声応答システムは活用されています。商品の使い方や仕様に関する基本的な問い合わせ、よくある質問への回答、注文状況や配送状況の確認など、定型的な対応はAIに任せることができます。
特にECサイトや通販業界では、注文確認や配送状況の確認、返品手続きの案内などに活用され、オペレーターの業務負担軽減に貢献しています。また、サービス契約の更新案内や料金プランの説明など、複雑すぎない範囲の問い合わせであればAIでカバーできるため、人間のオペレーターはより複雑な問題解決に集中できるようになります。問い合わせ内容の一次スクリーニングを行い、専門的な対応が必要な場合は適切な部署へ転送する役割も果たしています。
5. 【ステップ別】AI自動音声応答の導入ポイント
AI自動音声応答システムの導入は、現状分析から実際の運用開始まで複数のステップで進めていくことが重要です。ここでは導入を成功させるための主要なステップとそれぞれのポイントについて解説します。
ステップ1:現状の電話対応業務を分析する
AI自動音声応答システムの導入を検討する最初のステップは、現状の電話対応業務を詳細に分析することです。過去の問い合わせ記録を分析し、問い合わせ内容や頻度、対応時間などのデータを収集します。これにより、AI化に適した業務とそうでない業務を切り分けることができます。
▼ポイント
- 問い合わせの種類と頻度を把握する
- 定型的な対応が可能な問い合わせを特定する
- 電話が集中する時間帯や曜日パターンを分析する
- 1件あたりの平均対応時間を計測する
- 人的リソースの配分状況を確認する
ステップ2:自社に最適なサービスを選定する
現状分析に基づき、自社のニーズに最適なAI自動音声応答システムを選定します。市場には多くのサービスが存在するため、複数のベンダーを比較検討し、トライアル版などで使用感などを確認することが重要です。
▼ポイント
- 有人オペレーターへの引き継ぎ機能の有無を確認する
- 既存システム(CRMや予約システムなど)との連携性を確認する
- 初期費用・月額費用・カスタマイズ費用を含めた総コストを算出する
ステップ3:初期設計を行う
サービスを選定したら、AIの回答の基となるナレッジデータの整備やシナリオの設計などの具体的な作業に入ります。この段階では顧客目線での設計が重要です。
▼ポイント
- 顧客が実際に使用しそうな自然な表現パターンを網羅する
- AIが回答できない質問への対処方法を明確にする
- 有人対応への切り替え条件を設定する
- 設計段階で社内関係者からフィードバックを収集する
ステップ4:テストを経て段階的に運用を開始する
設計が完了したら社内でテストを行い、問題点を洗い出して改善します。その後、限定的な範囲から段階的に運用を開始します。もちろん本格運用開始後も、効果測定と継続的な改善が必要です。
▼ポイント
- 社内の模擬問い合わせでシステムの動作を検証する
- 想定外の質問への対応パターンもチェックする
- 初期段階では特定の時間帯や問い合わせタイプに限定して導入する
- 顧客からのフィードバックを積極的に収集する仕組みを設ける
- 定期的に対応状況を分析し、AIの応答精度を向上させる
AI技術を搭載した、おすすめの電話対応システム
最後に、AI技術を活用したおすすめの電話対応システムとして、メディアリンクが提供する2つのサービスをご紹介します。
- DXでんわ
- AItoVoice(アイトボイス)
電話対応をゼロにする「DXでんわ」
「DXでんわ」は、電話の一次対応・取次ぎを自動化するシステムです。サービスの分類としてはIVR(自動音声応答システム)に該当します。「◯◯のお問い合わせは1を、□□のお問い合わせは2を⋯⋯」のような音声ガイダンスを案内し、プッシュボタン操作で用件の振り分ける機能が基本ですが、以下のようなAIを活用した機能も搭載しています。
- AI自動案内
プッシュボタン操作ではなく、顧客の発話内容をAIが聞き取り、後続フローへの分岐や適切な部署・担当者への転送を自動化します。 - AI要約
顧客が吹き込んだ用件を録音・テキスト化し、AIが自動で要約します。
また、「約40言語をカバーした多言語対応機能」「顧客にショートメッセージを送れるSMS送信機能」「普段のチャットやメールに着信を知らせる通知機能」など、電話対応業務の効率化に役立つ機能を標準搭載しており、基本料金内で多機能を活用することができます。
AI型ボイスボット「AItoVoice」
「AItoVoice(アイトボイス)」は、LLMとSTT(音声認識)、TTS(音声合成)技術を組み合わせたAIボイスボットです。自社のナレッジデータに基づき、AIが顧客の問い合わせ内容に適した回答を返します。従来型のIVRのようなプッシュボタン操作は不要で、顧客は自然な会話でAIとやり取りすることが可能です。
以下のデモ動画から実際の通話音声を確認できますので、興味のある方はぜひご試聴ください。
なお、「AIto」はボイスボットだけでなく、チャットボット、メールボット、FAQ検索システムを統合管理できるAIエージェントです。ツールごとにナレッジを管理する必要がなく、運用面において大幅な効率化が図れるため、複数チャネルでAI対応を行いたい場合は特におすすめです(ボイスボット単体で導入することも可能です)。
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