複数拠点ワンナンバー化とは?
メリットや実現方法を解説

IVR

UPDATE :

複数の拠点や店舗を持つ企業にとって、電話対応の効率化は重要な課題です。「どの部署に電話すればいいのか分からない」という顧客の声や、「電話の取次ぎに時間がかかる」という社内の非効率を解消する方法として有効なのが「複数拠点ワンナンバー化」です。

 

この記事では、ワンナンバー化の概要やメリット、実現方法について分かりやすく解説します。

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1. 複数拠点ワンナンバー化とは

複数拠点ワンナンバー化とは、企業の複数拠点や事業所で使用されている電話番号を一つの電話番号に統合することです。

さまざまな拠点や営業所、店舗を持つ企業では、多くの電話番号が存在することで課題が起こりがちです。例えば顧客は「どの番号に電話すればいいのか分からない」という状況に直面し、企業側も「拠点間での電話取次ぎに時間がかかる」といった非効率な業務に悩まされています。

これをワンナンバー化することで、顧客は一つの電話番号に連絡するだけで適切な拠点や部署にスムーズに接続できるようになります。そのため複数拠点ワンナンバー化は、顧客の利便性向上と企業の業務効率化を同時に実現できる取り組みと言えます。

拠点ごとに番号が異なる場合と複数拠点でワンナンバー化している場合を比較した図

なお、以下の記事ではコールセンターを多拠点化する際のポイントについて解説しています。すでに単一のコールセンターを運営しており、将来的に増設を検討されている場合は、ぜひご覧ください。

コールセンターを多拠点化する際にチェックすべき3つのポイント

2. 複数拠点ワンナンバー化のメリット

複数拠点ワンナンバー化を実現することのメリットは大きく分けて3つあります。それぞれの具体的な内容を見ていきましょう。

顧客満足度が向上する

顧客にとって、企業の複数の電話番号を把握することは煩わしい作業です。複数拠点ワンナンバー化によって、顧客は一つの電話番号だけを利用すれば、目的の部署や担当者に適切につながれるようになります。

問い合わせたい内容に応じて異なる番号を探す必要がなくなるため、顧客の利便性は大幅に向上します。また、電話をかけた際に「担当部署が違います」と言われてたらい回しにされたり、何度も電話をかけ直したりする必要もなくなり、顧客のストレスを軽減できます。

業務効率化につながる

ワンナンバー化は業務の効率化にも大きく貢献します。複数番号体制では顧客からの電話が適切でない拠点に入ることがありますが、番号を一本化して最初の段階で適切な振り分けを行うことで、無駄な取次ぎ業務が減ります。その結果、従業員の生産性の向上につながります。

また、電話対応のデータを一元管理できるようになるため、「どの時間帯にどのような問い合わせが多いのか」といった分析も容易になります。この分析結果を基に、人員配置の最適化や対応品質の向上など、さらなる業務改善に役立てることも可能です。

コストを適正化できる

複数拠点ワンナンバー化は、電話対応にかかるコストの適正化にもつながります。電話番号が一つに集約されれば、番号案内や広告掲載などのコストを削減できます。

また、電話受付の一元管理が可能になるため、運用管理コストの削減も期待できます。さらに、通話データの一元管理により、問い合わせが集中する時間帯や内容に応じた人員配置を最適化できるため、長期的には大幅なコスト削減効果が期待できます。

3. 複数拠点ワンナンバー化を実現する方法

複数拠点ワンナンバー化を実現するには、主に二つの方法があります。一つはIVR(自動音声応答システム)を活用する方法、もう一つはクラウドPBXを導入する方法です。それぞれの特徴と導入が向いているケースについて見ていきましょう。

IVR(自動音声応答システム)を導入する

IVRは電話の受付や振り分けを自動化するシステムです。以下では、IVRの基本的な仕組みと、どのような企業に適しているかを解説します。

IVRとは?

IVR(Interactive Voice Response)とは、電話をかけてきた顧客に対して自動音声ガイダンスを流し、顧客のプッシュボタン操作や音声入力に応じて情報提供や適切な部署への転送を行うシステムです。

具体的には、「お問い合わせの場合は1を、ご注文の場合は2を…」といった音声案内に従って顧客が選択すると、自動的に適切な部署に転送されます。

IVRの仕組みや機能、導入メリットなどをより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

IVR(電話自動音声応答システム)とは?メリット・デメリットと導入ポイント

IVRの導入が向いているケース

IVRは以下のような特徴を持つ企業や組織に特に適しています。

  • 問い合わせ内容が明確に分類できる企業
    製品の問い合わせ、注文受付や予約、アフターサービスなど、目的別に拠点や部署が分かれている場合、IVRによる振り分けが効果的です。
  • 問い合わせ量が多い企業
    多数の問い合わせを効率的に処理するため、最初の振り分けを自動化することで、オペレーターの負担を軽減できます。
  • 24時間対応が必要な業種
    基本的な情報提供や振り分けをIVRで自動化することで、営業時間外でも一定のサービスを提供できます。

全国に多数の店舗を持つ小売チェーンや宿泊施設、複数の支店を持つ金融機関、各地に営業所を展開するサービス業などがIVRを活用したワンナンバー化の恩恵を受けやすい業種と言えるでしょう。

具体的な導入効果を確認したい場合は、無料トライアルを実施しているサービスを試してみるのもよいでしょう。メディアリンクの「DXでんわ」なら14日間、全機能を無料で試用できます。

電話の受付・転送を自動化するIVR
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クラウドPBXを導入する

クラウドPBXは、クラウド上で提供される電話交換システムです。以下では、クラウドPBXの基本的な機能と、どのような企業に向いているかを説明します。

クラウドPBXとは?

クラウドPBXとは、インターネットを通じて提供される仮想的な電話交換システムです。従来は企業内に物理的な交換機を設置する必要がありましたが、クラウドPBXではそうした設備が不要になります。

主な機能には、外線発着信、内線通話、転送、保留などがあります。インターネット環境さえあれば場所を問わず利用でき、スマートフォンやPCなどさまざまなデバイスから内線電話として利用できるのが特徴です。

クラウドPBXのメリットや導入する際のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。

クラウドPBXとは?IP-PBXとの違い・メリット、デメリット・比較ポイントなどを解説!

クラウドPBXの導入が向いているケース

クラウドPBXは以下のような特徴を持つ企業や組織に特に適しています。

  • 人の判断による柔軟な対応が必要な企業
    問い合わせ内容に応じて適切な担当者に転送するなど、オペレーターの判断を介した対応が必要な場合に効果を発揮します。
  • 拠点間の連携が重要な企業
    複数拠点間でスムーズな内線通話や転送が必要な場合、各拠点を内線化することで、まるで同じオフィス内のように通話できる環境を提供します。
  • リモートワークを導入している企業
    社員がどこにいても同じ電話番号で発着信できるため、在宅勤務やモバイルワークとの相性が良いシステムです。

専門的な相談や複雑な問い合わせが多いカスタマーサポート部門やコールセンター、顧客との密なコミュニケーションが重要な業界などがクラウドPBXを活用したワンナンバー化に適しています。

なお、ここまでIVRとクラウドPBXを分けて紹介しましたが、クラウドPBXとして提供されているサービスの中にはIVRを備えている(あるいはオプションで追加できる)ものもあります。例えば、メディアリンクが提供する「MediaCalls」はクラウドで利用できるPBXですが、IVRを搭載することが可能です。

オールインワン型コールセンターシステム
「MediaCalls」の機能を確認する

4. 複数拠点ワンナンバー化を実施するステップ

複数拠点ワンナンバー化を成功させるためには、計画的な準備と段階的な実施が重要です。ここでは、ワンナンバー化を実現するための6つのステップを順を追って説明します。

複数拠点ワンナンバー化を実施するステップを示した図

ステップ1:現状の電話対応体制を分析する

まず、現在の電話対応体制を詳細に分析することが重要です。各拠点の通話量や時間帯別の問い合わせ傾向、よくある問い合わせ内容などのデータを収集します。また、現行の電話設備や拠点間の連携状況、顧客からの電話対応に関するフィードバックなども把握しておきましょう。

ステップ2:目標と要件を明確にする

ワンナンバー化によって達成したい目標と具体的な要件を明確にします。顧客満足度の向上、業務効率化、コスト削減など、優先すべき目標を設定します。また、必要な機能(自動応答、転送、通話録音など)や拠点間の連携方法、運用時間などの要件も具体的に定めておきましょう。

ステップ3:適切なシステムを選定する

目標と要件に基づいて、最適なシステムを選定します。IVRが適しているのか、クラウドPBXが必要なのか、あるいは両方の機能を持ったシステムが良いのかを検討します。複数のサービス提供事業者から見積もりを取り、機能や価格、サポート体制などを比較検討することが大切です。

ステップ4:社内体制を整備する

新しいシステムの導入に向けて、社内の体制を整備します。システム管理者や主要ユーザーを決定し、必要に応じてトレーニングを実施します。また、電話対応のフローやマニュアルを整備し、各拠点や部門との連携方法を明確にしておきましょう。

ステップ5:テスト運用を実施する

実際の運用前に、小規模なテスト運用を行います。特定の拠点や部門で先行してシステムを導入し、問題点や改善点を洗い出します。IVRの音声ガイダンスの内容や転送先の設定、オペレーターの対応フローなどを実際に試し、必要に応じて調整を行いましょう。

ステップ6:本格運用に移行する

テスト運用での結果を踏まえて、全社的な本格運用に移行します。移行時期や方法を社内外に周知し、混乱を最小限に抑えることが大切です。運用開始後も定期的に効果測定を行い、必要に応じてシステムの設定や運用方法を改善していくことで、さらなる効果を得ることができます。

5. 複数拠点ワンナンバー化におすすめのツール

最後に、複数拠点のワンナンバー化に適したツールをご紹介します。以下2つのケースに分けてご紹介しますので、自社の状況に当てはめながら、参考にしてみてください。

  • 多拠点化したコールセンターの電話番号を統一し、効率的に運用したい場合
  • 電話の受付窓口を一本化し、適切な拠点に振り分けたい場合

ケース1:多拠点化したコールセンターの電話番号を統一し、効率的に運用したい場合

複数のコールセンターを効率的に運用したい場合は、高度なACD(自動振り分け)機能を備えた「MediaCalls」がおすすめです。オペレーターはどの拠点にいても同じ電話番号で対応でき、繁忙時には自動的に空いている拠点へ通話を振り分けることが可能になります。

通話録音やスキルルーティングといった機能が標準搭載されているほか、リアルタイムモニタリングやレポート分析といった機能もオプション利用できるため、コールセンターの運営効率・応対品質の向上にも役立ちます。

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「MediaCalls」の詳細はこちら

ケース2:電話の受付窓口を一本化し、適切な拠点に振り分けたい場合

本社と異なる役割を持つ店舗や営業所がある企業には、自由かつ詳細にフローを設計できる「DXでんわ」がおすすめです。このツールを導入することで、代表電話などの単一の番号で問い合わせを受け付けつつ、用件に応じて適切な拠点に電話を自動で振り分けられるようになります。顧客の待ち時間が減るだけでなく、従来発生していた一次対応と取次ぎの手間を大幅に削減できます。

実際に「DXでんわ」を導入し、自動受付と拠点への転送を自動化したことで、有人対応による業務負担を大幅に軽減した事例もあります。興味のある方は、ぜひ以下の事例をご覧ください。

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