東京都のカスハラ防止奨励金40万円:
中小企業の申請要件は?

IVR 電話対応

UPDATE :

2025年4月に施行された「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」に関連し、中小企業向けに40万円の奨励金制度が始まります。

 

本記事では、6月から申請受付開始予定の同制度を活用するために必要な「マニュアル整備」や「実践的対策の実施」について解説します。

1. 2025年4月から「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行

2025年4月1日、「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行されました。この条例は2024年10月に制定され、カスハラの禁止、防止理念、各主体の責務などを定めた全国初の包括的な条例です。

条例では、カスハラを「顧客等から就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、就業環境を害するもの」と定義しています。「何人も、あらゆる場において、カスタマーハラスメントを行ってはいけない」と明記されていますが、正当なクレームを妨げない配慮も求められています。

参考:東京都「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例

2. 東京都の「カスハラ防止奨励金」とは?

2025年4月に施行される「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」に合わせ、東京都では「カスタマーハラスメント防止対策推進事業」が開始されました。同事業で示されたのが、中小企業のカスハラ対策を支援するための奨励金制度です。

東京都「令和7年度(2025年度)東京都予算案の概要 主要な施策」の抜粋

出典:東京都「令和7年度(2025年度)東京都予算案の概要 主要な施策

奨励金の詳細(金額・申請対象者)

東京都のカスハラ防止奨励金は、条例施行日(2025年4月1日)以降にマニュアルを整備し、実践的なカスハラ防止対策を行った企業に対して定額40万円を支給する制度です。支給規模は3年間で10,000社を予定しています。

対象となるのは、都内の従業員300人以下の中小企業等です。この奨励金は、幅広い業種の中小企業がカスハラ対策に取り組むきっかけとなることが期待されています。

※本記事では詳しく取り扱いませんが、同制度では「団体向け奨励金」と「団体向け補助金」も用意されています。

申請時期や準備スケジュール

奨励金の申請受付は2025年6月から開始予定となっています。申請には上限件数(3か年で10,000件)が設けられる見込みのため、早めの情報収集と準備が重要です。

具体的な申請手続きや要件の詳細はまだ発表されていませんが、詳細な受付方法や申請様式は、東京都産業労働局が運営する「TOKYOはたらくネット」などで順次公開される予定です(2025年4月28日現在)。

3. 「カスハラ防止奨励金」の受給に必要な2つの取り組み

東京都のカスハラ防止奨励金を受給するためには、次の2つの取り組みを行う必要があります。これらの対策は従業員を守るためだけでなく、企業としての信頼性向上や人材確保にもつながる重要な施策です。

「カスハラ防止奨励金」の受給に必要な2つの取り組みをまとめた図

取り組み1:カスハラ防止対策マニュアルの作成・提出

奨励金を受給するための第一ステップは、自社に合ったカスハラ防止対策マニュアルの作成と提出です。このマニュアルは企業全体でカスハラに対応するための指針となる重要な文書となります。

カスハラは個人レベル、現場レベルではなく組織で対応すべき問題であることから、企業として統一的な手引きを用意して備えることが不可欠です。マニュアル作成にあたっては、東京都や厚生労働省が公表している以下の資料を参考に、自社の実情に合わせた内容を盛り込むことが重要です。

なお、マニュアルには以下のような内容を含めることが推奨されます。

  • カスハラの定義と具体例
  • 従業員がカスハラを受けた際の対応手順
  • 組織としての支援体制
  • カスハラ事案の記録・報告方法
  • 緊急時の対応フロー

なお、以下の記事では電話対応中にカスハラを受けた場合の対応方法を解説しています。ぜひ、マニュアル作成時の参考にしてください。

電話対応におけるカスハラ対策:効果的な対応と防止策

取り組み2:カスハラ防止対策の実践

マニュアル作成に加えて、具体的な防止対策の実践も奨励金受給の要件となっています。実践的な対策としては、以下の3つの選択肢から少なくとも1つを実施する必要があります。

選択肢1:録音・録画環境の整備

カスハラ対策の基本となるのが、顧客とのやり取りを記録できる環境の整備です。東京都の奨励金では、「録音・録画環境の整備」が対象となる実践的対策の1つとして挙げられています。録音・録画機器の設置によりカスハラ行為の証拠保全ができるほか、「録音・録画しています」という表示だけでカスハラ抑止効果が期待できます。また、記録を研修に活用したり、トラブル発生時の検証が容易になるといったメリットもあります。導入を検討する機器としては、通話録音システム、防犯カメラ、ボイスレコーダーなどが考えられます。

選択肢2:AIを活用したシステム等の導入

カスハラは特にコールセンターなど、直接対面することなく電話やオンラインでのやり取りが主となる環境で発生しやすい傾向があります。そのため、「AIを活用したシステム等の導入」も選択肢の1つとされています。AI活用の例としては、AIによる自動音声応答システム、音声感情分析による早期リスク検知や自動警告システムなどが考えられます。

なお、以下の記事ではコールセンターにおけるカスハラ事例と、未然に防ぐ防止策について解説しています。詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。

コールセンターのカスハラ事例と対策:現場での対応ポイント

選択肢3:外部人材の活用

「外部人材の採用」も実践的対策として認められる選択肢です。外部人材の活用方法としては、カスハラ対応の専門家による従業員研修の実施、顧問弁護士や専門コンサルタントとの契約、カスハラ専門の相談窓口の外部委託、心理カウンセラーの導入などが考えられます。外部の専門家の視点を取り入れることで、社内だけでは気づきにくい課題の発見や、専門的な知見に基づいた効果的な対策の立案が可能になります。

4. 電話のカスハラ対策なら「DXでんわ」

カスハラ防止奨励金の受給に必要な取り組みの詳細な要件、申請方法はまだ発表されていません。ただし申請できる会社には上限が設定される見込みであることから、同制度の利用を検討している企業は早い段階からマニュアルの整備と、実践的な対策として活用できるシステム等の選定を進めておくのが望ましいでしょう。

なお、電話によるカスハラ対策としてはメディアリンクが提供する「DXでんわ」がおすすめです。同製品は電話の受付や取次ぎを自動化するIVR(自動音声応答システム)で、以下のようなカスハラ対策に役立つ特長を持っています。

▼カスハラ対策に役立つ「DXでんわ」の特長(一例)

  • 人が対応する前に、自動音声ガイダンスで録音する旨を伝達できる(カスハラ行為の抑止力になる)
  • 電話相手が吹き込んだ用件を自動で録音し、AIが要約してくれる(カスハラ行為の証拠として残せる)
  • 24時間365日の自動応答と、担当部署への自動転送が行える(待ち時間に対する相手のストレスを低減できる)
  • 特定の番号を着信拒否設定できる(カスハラ行為を繰り返す相手の電話を遮断できる)

メディアリンクでは「DXでんわ」以外にも、AIを活用したボイスボットやチャットボットなど、カスハラ対策に役立つシステムを取り揃えています。自社に適したカスハラ対策をお探しの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

電話によるカスハラ対策として活用できる!
電話対応の自動化なら「DXでんわ」

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