自治体にIVRを導入するメリットとは?
成功事例と導入手順も紹介

IVR

UPDATE :

電話対応の自動化を実現するIVR(自動音声応答システム)。24時間365日の住民対応や電話業務の大幅削減を可能にする技術として、全国の自治体で導入が進んでいます。

 

本記事では実際の導入事例を交えながら、自治体におけるIVR導入のメリットから具体的な導入手順まで詳しく解説します。

1. IVR(自動音声応答システ)の基本的な仕組み

IVR(自動音声応答システム)とは、着信に対して音声ガイダンスを案内し、架電者のプッシュボタン操作をもとに用件を振り分けるシステムです。「○○の方は1を、△△の方は2を……」という案内でおなじみのシステムで、企業のコールセンターや自治体の窓口などで広く活用されています。

なお、現在はプッシュボタン操作だけでなく、架電者の発話内容をAIが汲み取り、用件の振り分けや自動転送を行うタイプのIVRも登場しています。

※本記事では便宜上、プッシュボタン操作によって振り分けるタイプのIVRを「従来型IVR」、架電者の発話をもとに振り分けるタイプのIVRを「AI活用型IVR」と表記します。

2. 自治体がIVRを導入するメリット

自治体におけるIVR導入は、住民サービスの向上と職員の業務効率化を同時に実現する有効な手段です。ここでは、IVR導入によって期待できる具体的なメリットを詳しく解説します。

自治体がIVRを導入する5つのメリットを示した図

24時間365日の住民対応が実現する

IVRを導入することで、自治体は営業時間外の問い合わせでも自動応答できるようになり、24時間365日の対応が可能になります。定型的な問い合わせ内容であればIVRで回答まで完結できるため、住民の利便性が向上します。

職員の電話対応業務の負担が軽減する

受電時の一次対応や取り次ぎが頻繁に発生し、業務が圧迫されている自治体は少なくありません。こうした状況でIVRを導入すれば、職員にかかる負荷が大幅に軽減されます。また電話対応に割かれていた時間を本来やるべき業務に向けられるようになるメリットもあります。

電話のつながりやすさが改善する

回線が込み合って電話がなかなかつながらない場合、あきらめて電話を切る住民は多いでしょう。一方、IVRを導入すれば自動応答が実現するため、電話がつながらない状況が改善されます。住民は迅速に欲しい情報にアクセスできるようになるため、結果的に自治体の対応に対する満足度が向上します

多言語対応で外国人住民へのサービス強化になる

自治体にはさまざまな住民からの問い合わせがあり、中には日本語以外の言語を使う方からの問い合わせもあります。IVRは多言語に対応しているサービスも多いため、外国人の方からの電話対応を円滑化する目的でも重宝します。外国人住民は母国語で基本的な行政サービスの案内を受けることができ、より包括的な住民サービスの提供が実現できます。

なお、メディアリンクが提供する「DXでんわ」は、約40言語に対応したIVRです。オプションではなく標準機能として多言語に対応しているため、複数の言語対応が必要な場合はおすすめの選択肢です。

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カスタマーハラスメント対応の負担が軽減する

カスハラ(カスタマーハラスメント)は自治体職員に精神的ストレスを与えますが、IVRを導入すれば職員が対応する負担を軽減することができます。具体的には、まずIVRに一次対応を行わせることで架電者を冷静にさせる効果が期待できます。

また、受電時の音声ガイダンスで「この通話は録音しています」といったアナウンスをすることでカスハラを抑止する効果が働くほか、実際に録音を行うことで万が一の場合の証拠を残すこともできます。

3. 自治体におけるIVRの導入事例

全国の自治体でIVRの導入が進んでおり、住民サービスの向上と業務効率化の両立を実現しています。ここでは、具体的な導入事例をご紹介します。

東京都羽村市

羽村市役所では、庁舎への電話を自動音声案内方式で受け付けています。市役所代表番号にかけると最初に音声案内が流れ、3桁の内線番号を押すことで担当係に直接つながる仕組みです。内線番号や担当課が不明な場合は、999を押すかそのまま待つことで電話交換手につながり、適切な部署への案内を受けることができます。

東京都調布市

調布市では、2024年7月19日から国民健康保険に関する自動音声案内(24時間受付)を開始しました。自動音声による案内に従ってボタンを押すと、該当するホームページや電子申請のURLをスマートフォンや携帯電話のSMS(ショートメッセージサービス)で受信できます。国民健康保険の切替、税額通知、医療費給付、特定健診などの問い合わせに24時間対応しており、時間や曜日を気にすることなく利用できます。

神奈川県川崎市

川崎市コンタクトセンターでは2022年3月18日から自動音声案内を開始し、待ち時間短縮などの市民サービス向上に取り組んでいます。コンタクトセンター宛ての電話では、最初に自動音声による案内が流れ、電話のプッシュボタンで該当する番号を押すことで、オペレーターへの接続や業務専用コールセンターの電話番号案内を自動音声で行う仕組みになっています。

群馬県前橋市

前橋市では、国民健康保険課業務において「24時間365日」の電話対応を実現するため、IVRシステムを導入しています。直通電話での問い合わせに対し、内容に応じて音声での応答、SMSでの応答、職員への転送(平日8時30分から17時15分まで)の3つに自動で振り分けます。国民健康保険と後期高齢者医療保険の計4つの専用電話番号を設け、同時に多くの電話を接続でき、かけ直しが減るというメリットを実現しています。

大阪府吹田市

吹田市では、2024年10月から市民課への問い合わせについて自動音声案内を開始しました。自動音声による案内に従ってボタンを押すと、該当するホームページのURLをスマートフォンや携帯電話のSMSで受信できます。お引越しの手続き、証明書の取得、戸籍の届出、マイナンバーカード、国民年金など7つの分野に分けて案内しており、音声案内やSMSの送信は営業時間外でも対応可能です。

京都府京都市

京都市では、2025年6月2日から区役所・支所の代表電話番号にIVRを導入しています。音声ガイダンスに従って電話機を操作することで、24時間365日、自動音声やSMSにより行政情報を入手できます。各区役所・支所ごとに専用の050番号を設定し、同時に多数の電話に対応するため「通話中」となる機会を減らします。スマートフォンではSMSでホームページのリンクを受信でき、制度の説明やよくある質問などの情報を入手できる仕組みです。

4. 【ステップ別】自治体におけるIVR導入時のポイント

IVRシステムの導入を成功させるためには、計画的かつ段階的なアプローチが重要です。ここでは、自治体がIVRを導入する際の7つのステップと、それぞれで押さえるべきポイントを詳しく解説します。

ステップ1:現状の電話対応業務を分析し課題を明確化する

IVR導入の第一歩は、現在の電話対応状況を正確に把握することです。1日あたりの電話対応件数、問い合わせ内容の分類、職員の対応負担などを調査・記録しましょう。特に重要なのは、どのような問い合わせが多いのか、時間帯や季節によって変動はあるのかを把握することです。現在の電話対応で発生している課題を具体的にリストアップし、IVR導入によってどの課題を解決したいのかを明確にしておくことが重要です。

ステップ2:自治体の業務内容に合わせたシステム設計を行う

自治体の業務は多岐にわたるため、住民が直感的に操作できるよう、問い合わせ内容に応じた適切な分岐設計を行う必要があります。音声案内の構成では、最初に主要な部署への振り分けを行うのが一般的です。ただし、分岐が複雑になりすぎると住民が混乱するため、3階層以内、多くて6階層に収めることを推奨します。

ステップ3:高齢者等に配慮したわかりやすい操作設計を実装する

自治体の利用者には高齢者も多く含まれるため、特に使いやすさを意識した設計が不可欠です。音声案内はゆったりとした速度で、重要な選択肢は繰り返し案内するなどの工夫を行いましょう。操作方法についても、プッシュボタンの番号と音声案内の対応を明確にし、「もう一度聞く場合は*を押してください」といった補助機能も用意します。IVRで解決できない場合も想定し、有人対応に切り替えられる選択肢を設けておくとよいでしょう。

ステップ4:住民への周知を徹底し新システムの混乱を防止する

IVRシステムの導入は住民の電話利用方法を大きく変更することになるため、事前に周知を徹底する必要があります。例えば、市民向け広報誌やホームページや窓口でのポスター掲示など、複数の媒体を活用した広報活動を行いましょう。周知内容には導入の目的、新しい電話のかけ方、操作が分からない場合の対処法を含め、分かりやすい説明を心がけます。特に高齢者向けには、操作手順を図解したリーフレットなどを作成し、窓口で配布することも効果的です。

ステップ5:段階的導入により運用ノウハウを蓄積する

可能であれば、いきなり全部署でIVRを導入するのではなく、問い合わせの多い特定部署から段階的に導入するとよいでしょう。そうすることで運用ノウハウが蓄積され、問題点を早期に発見・改善できます。また、初期段階では1カ月程度の試行期間を設け、住民からの反応、システムの動作状況、職員の負担軽減効果などを検証します。この検証結果をもとに音声案内の改善や分岐設計の最適化を行い、他部署への展開時により完成度の高いシステムを提供できるようにします。

ステップ6:運用開始後の継続的な改善体制を構築する

IVRシステムは導入して終わりではなく、継続的な改善により効果を最大化できます。定期的にシステムの利用状況を分析し、よく利用される機能、利用されない機能、住民からの苦情や要望などを整理しましょう。特に重要な指標として、IVRでの解決率、平均対応時間、住民満足度などを継続的に測定し、改善目標を設定します。また、法改正や新制度の導入に伴い、定期的なシステム更新を行い、常に最新の情報を提供できる体制を維持することが重要です。

5. 自治体の電話業務効率化なら「DXでんわ」

最後に、自治体の電話対応業務効率化を検討されている方に向け、メディアリンクが提供するIVR「DXでんわ」をご紹介します。

「DXでんわ」は、従来型IVRとAI活用型IVRの両側面を兼ね備えた自動音声応答システムです。音声ガイダンスによる24時間365日対応やAI要約による録音内容のテキスト化などの機能を搭載しており、プッシュボタン操作と架電者の発話による振り分けの両方に対応しています

一般企業の導入効果ではありますが、電話の有人対応件数を90%削減した実績もあります。また、約40言語に対応した多言語対応機能やSMS送信機能、外部ツール連携など、自治体でも活用できる豊富な機能を標準装備しています。

無料トライアルも提供しているため、実際にIVRの使用感や効果を体感してから、本格的な導入可否を検討することができる点も魅力です。

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