問い合わせ対応マニュアルの作り方:
6つのステップと作成ポイントを解説

問い合わせ対応マニュアルは「対応品質の均一化」や「業務効率化」に欠かせないツールです。しかし、作成するにも何から始めればよいか、どのような内容を盛り込むべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、問い合わせ対応マニュアルの作り方を6つのステップで解説し、作成時のポイントやシステム活用による効率化の方法もご紹介します。
目次
1. 問い合わせ対応に潜む課題
問い合わせ対応の現場にはいくつかの課題が潜んでいます。特によく見られるのが以下3つの課題です。

- 担当者の質にバラつきがある
- 対応が遅れてしまうことがある
- トラブルに対処できない
担当者の質にバラつきがある
問い合わせ対応の品質が担当者によって異なるという課題は、多くの現場で起こっています。経験豊富なオペレーターは的確な回答をスムーズに提供できる一方で、新人や経験の浅い担当者は同じ問い合わせに対しても異なる回答をしてしまったり、説明が不十分になったりすることがあります。
こうした対応品質のバラつきは、顧客から見ると「前回と違う説明を受けた」「担当者によって対応が違う」といった不信感につながります。
また、担当者本人にとっても、自分の対応が正しいのか不安を感じながら業務を進めることになり、精神的な負担が大きくなります。
対応が遅れてしまうことがある
担当者が問い合わせ内容に対する回答を持ち合わせていない場合、その場で回答できずに保留や確認作業が発生します。
上長や他部署に確認を取ったり、社内システムやマニュアルを探し回ったりすることで、顧客を待たせる時間が長くなってしまいます。対応の遅れは顧客のストレスを増大させ、クレームに発展するリスクも高まります。
また、1件あたりの対応時間が長くなることで、他の問い合わせ対応にも影響が出て、業務全体の効率が下がる原因にもなります。
トラブルに対処できない
クレームや想定外の問い合わせなど、イレギュラーな状況が発生したときに適切な対処ができないという課題もあります。
通常の問い合わせには対応できても、顧客が感情的になっている場面や通常と異なる特殊なケースでは「どう対応すればよいか」を判断できず、結果的に問題を大きくしてしまうことがあります。
トラブル対応の失敗は顧客との信頼関係を損なうだけでなく、SNSなどで拡散されて企業イメージの悪化につながる恐れもあります。担当者自身も強いストレスを感じ、離職の原因となる場合もあります。
2. 問い合わせ対応マニュアルを作成するメリット
問い合わせ対応マニュアルを整備することで先ほど挙げた課題を解決し、窓口全体の業務効率と対応品質を向上させることができます。
ここでは、マニュアル作成によって得られる3つのメリットを見ていきましょう。

- 担当者の対応品質を均一化できる
- 素早い対応を実現できる
- イレギュラーな状況に対処できる
担当者の対応品質を均一化できる
マニュアルがあれば、経験やスキルに関わらず全ての担当者が同じ基準で対応できるようになります。問い合わせ内容ごとに標準的な回答や対応手順が記載されているため、新人でもベテランと同等の品質で応対することが可能です。
「前回と説明が違う」といった顧客の不満を減らせるだけでなく、担当者自身も「この対応で合っているのか」と迷うことなく、自信を持って業務に取り組めるようになります。対応品質の均一化は、顧客満足度の向上と担当者の心理的負担の軽減につながります。
素早い対応を実現できる
マニュアルに必要な情報がまとまっていれば、担当者は迷うことなく適切な回答にたどり着けます。上長や他部署への確認が必要なケースも減り、保留時間の短縮が期待できます。
また、よくある問い合わせに対する回答があらかじめ用意されていることで、検索や確認の手間が省け、1件あたりの対応時間が短くなります。その結果、より多くの問い合わせに対応できるようになり、顧客を待たせる時間も減らせます。
イレギュラーな状況に対処できる
マニュアルにクレーム対応やトラブル発生時の手順を盛り込んでおくことで、想定外の状況でも冷静に対処できるようになります。どのタイミングで上長に報告すべきか、どのような言葉で謝罪や説明をすべきかといった具体的な対応方法が明確になっていれば、担当者は慌てることなく適切な行動を取れます。
イレギュラーな状況への対処法が整備されていることで、問題の拡大を防ぎ、顧客との信頼関係を維持できます。また、担当者が安心して業務に臨めるため、ストレスの軽減や離職率の低下にもつながります。
3. 問い合わせ対応マニュアルの作り方
問い合わせ対応マニュアルを作成する際は、計画的に進めることが大切です。ここでは、マニュアル作成を6つのステップに分けて解説します。

- ステップ1:責任者を決める
- ステップ2:業務の全体像を整理する
- ステップ3:問い合わせ内容を分類する
- ステップ4:問い合わせの回答をまとめる
- ステップ5:使いやすい資料に整える
- ステップ6:定期的にアップデートする
ステップ1:責任者を決める
マニュアル作成の最初のステップは、責任者を明確にすることです。責任者がいないと作成作業が進まなかったり、内容に一貫性がなくなったりする恐れがあります。
責任者は、マニュアルの企画・作成・更新・運用までを統括する役割を担います。品質管理を担当している方であれば、すでにこの役割を担っている場合もあるでしょう。
責任者を決めることで、現場からの意見集約や関係部署との調整もスムーズに進められます。
ステップ2:業務の全体像を整理する
次に、問い合わせ対応業務の全体像を整理します。具体的には、以下のような情報を洗い出します。
- 問い合わせを受けてから解決するまでの流れ
- 関係する部署やシステム
- エスカレーションのルール
この段階で業務フローを可視化しておくことで、マニュアルに何を盛り込むべきかが明確になります。
また、現場の担当者にヒアリングを行い「実際の業務で困っていること」や「マニュアルに載せてほしい情報」を集めることも重要です。現場の声を反映することで、実用性の高いマニュアルを作成できます。
ステップ3:問い合わせ内容を分類する
過去の問い合わせデータを分析し、内容ごとに分類します。以下のようにカテゴリ分けをすることでマニュアルの構成が整理されます。
- 料金・契約に関する問い合わせ
- 製品・サービスの使い方に関する問い合わせ
- トラブルに関する問い合わせ
- クレームに関する問い合わせ
分類する際は、問い合わせの頻度も考慮しましょう。よくある問い合わせは優先的にマニュアルに掲載し、担当者がすぐに見つけられるようにします。
また、少数でも重要度の高い問い合わせ(トラブルやクレーム対応など)も漏れなく含めることが大切です。
ステップ4:問い合わせの回答をまとめる
分類した問い合わせ内容に対して、標準的な回答をまとめます。この際、単に回答文を書くだけでなく、以下の情報も記載しましょう。
- 対応の流れ
- 注意点
- 確認すべき項目
回答をまとめる際は、ベテラン担当者の対応方法や過去の好事例を参考にすると効果的です。
また、顧客に伝える際の言葉遣いや説明の順序なども具体的に示すことで、経験の浅い担当者でも適切な対応ができるようになります。イレギュラーな状況への対処法も、この段階で整理しておきましょう。
ステップ5:使いやすい資料に整える
マニュアルの内容が固まったら、実際に現場で使いやすい形に整えます。例えば、以下のような工夫が必要です。
- 目次や索引を設けて検索性を高める
- フローチャートや図解を活用して視覚的にわかりやすくする
- 担当者が必要な情報に素早くアクセスできるよう、Q&A形式で構成する
また、マニュアルの配布形式には「Webページ」「PDF」「紙」など複数の選択肢があるので、自社の利用環境に適した形式を選びましょう。
完成したマニュアルは現場の担当者に試用してもらい、本格的に展開する前に使いにくい点や不足している情報がないか確認することも大切です。
ステップ6:定期的にアップデートする
マニュアルは一度作成して終わりではなく、定期的にアップデートすることが重要です。現場では日々対応方法の改善点が見つかるため、「実際の業務で困った点」や「追加してほしい情報」をフィードバックしてもらい、マニュアルに反映する必要があります。
アップデートのタイミングが漠然としていると更新作業が形骸化する恐れがあるため、「月次」や「四半期」など、あらかじめ更新サイクルを決めておくとよいでしょう。このタイミングで、以下のような情報を盛り込んでいきます。
- 新しい問い合わせパターンへの対応方法
- 好事例として共有したい応対内容
ただし、誤った情報を提供してしまうリスクがある変更については、定期更新を待たずに即座に反映する必要があります。例えば、以下のような変更です。
- サービス内容の変更や規約改定
- 料金体系の見直し
こうした情報は変更が決定した段階で速やかにマニュアルを修正し、担当者全員に周知しましょう。
なお、アップデートしたマニュアルは更新履歴を示しながら共有することで、担当者全員が最新の情報を把握できるようになります。
4. 問い合わせ対応マニュアルの作成ポイント
マニュアルを作成する際、押さえておきたいポイントがいくつかあります。ここでは、より実用的で効果的なマニュアルにするための4つのポイントを紹介します。

- ポイント1:過去の好事例を参考にする
- ポイント2:イレギュラーな状況も想定する
- ポイント3:各対応で具体例を示す
- ポイント4:フローチャートを取り入れる
ポイント1:過去の好事例を参考にする
マニュアルを作成する際は、過去の優れた対応事例を積極的に活用しましょう。ベテラン担当者が行った対応や、顧客から高評価を得た応対内容を反映することで現場での実用性が高まり、問い合わせ窓口全体の対応品質を底上げできます。
また、具体的な成功パターンを示すことで、経験の浅い担当者も自信を持って対応できるようになります。社内で共有されている顧客対応の記録や、品質評価で高得点を獲得した応対内容などを活用するとよいでしょう。
ポイント2:イレギュラーな状況も想定する
通常の問い合わせ対応だけでなく、クレームや想定外のトラブルなど、イレギュラーな状況への対処方法もマニュアルに含めることが重要です。
こうした状況は頻度が少ないため見落とされがちですが、適切に対処できないと大きな問題に発展する恐れがあります。マニュアルには以下のような内容を盛り込みましょう。
- クレーム発生時の初動対応(謝罪の言葉、状況確認の手順)
- 上長へのエスカレーション基準(どのタイミングで報告すべきか)
- 顧客が感情的になっている場合の対応方法
- 通常の手順では解決できないケースへの対処法
これらを明確にしておくことで、担当者は慌てることなく冷静に対応でき、問題の拡大を防げます。
ポイント3:各対応で具体例を示す
マニュアルには抽象的な説明だけでなく、具体例を示すことが大切です。「丁寧に対応する」「わかりやすく説明する」といった表現では担当者によって解釈が異なり、対応品質にバラつきが生じます。
特に「電話」での問い合わせに対応するマニュアルを作成する場合は、電話を受けてから切るまでの流れに沿ったトークスクリプトを含めるとよいでしょう。例えば、以下のような内容です。
- 問い合わせを受けた際の第一声(挨拶、名乗り)
- ヒアリング時の質問例
- 回答時の説明の流れと言葉遣い
- クロージングでの確認事項と締めの言葉
実際の会話の流れを示すことで、経験の浅い担当者でもそのまま使えるため、対応品質が安定します。また、言葉遣いの基準も明確になり、担当者ごとの対応の違いを減らせます。
ポイント4:フローチャートを取り入れる
複雑な判断が必要な対応や、条件によって手順が変わる場合は、フローチャートを活用すると効果的です。文章だけで説明すると理解しにくくなる内容も直感的に把握できるようになります。フローチャートは特に以下のような場面で役立ちます。
- 問い合わせ内容の振り分け(どの部署が対応すべきか)
- トラブル発生時の原因特定と対処
- エスカレーションの判断(自己完結できるか、上長に報告すべきか)
フローチャートを取り入れることで、担当者は迷うことなく次の行動を判断できるため、対応時間の短縮にもつながります。
5. マニュアル作成以外に問い合わせ窓口の品質を高める方法
問い合わせ対応マニュアルは対応品質の均一化や業務効率化に役立ちますが、マニュアルだけでは解決できない課題もあります。ここでは、マニュアル作成以外のアプローチとして、システムを活用した品質向上の方法をご紹介します。
システム活用で業務効率化・均質化を図ろう
マニュアルには以下のような限界があります。
- 問い合わせ件数そのものを減らす効果はない
- 時間が経つと形骸化する恐れがある
- 作成や更新に手間がかかる
こうした限界を補うには、システムを活用した業務効率化・均質化が有効です。問い合わせのチャネルに応じて、以下のようなシステムを導入することで、マニュアルと組み合わせた効果的な品質向上が期待できます。
- 電話による問い合わせ対応の場合:IVR(自動音声応答システム)を導入することで、問い合わせ内容に応じた自動振り分けや、簡単な問い合わせへの自動対応が可能になります。担当者の負担を軽減しながら対応品質を均一化できます。
- メールによる問い合わせ対応の場合:メールボットを活用することで、定型的な問い合わせに自動返信できます。「AItoMail(アイトメール)」のように返信文の作成をアシストしてくれるサービスもあります。
また、チャットボットやFAQサイトを設置することで、顧客が自分で疑問を解決できる環境を整えられます。これにより問い合わせ件数そのものを削減できるため、各担当者が余裕を持って対応できるようになり、結果的に対応品質の向上につながります。
電話による問い合わせ対応の効率化・質向上なら「DXでんわ」
電話での問い合わせ対応の効率化と品質向上を実現したい場合は、メディアリンクの「DXでんわ」がおすすめです。
DXでんわは、問い合わせ内容に応じて自動で適切な担当者や部署に電話を振り分けるIVRです。顧客の待ち時間を短縮し、スムーズな問い合わせ対応を実現します。
▼「DXでんわ」にできること
- 24時間365日の自動応答
- 用件に応じた自動振り分け
- よくある問い合わせへの自動回答
- 関係者のメール・チャットへの自動通知
- URLなどを記載したSMSの自動送信
DXでんわを活用することで、従来は担当者が行っていた「用件伺い」「取次ぎ」「メモ作成」「伝言」といった一連の対応を自動化できます。そのため、問い合わせ対応マニュアルを作成する手間も最小限に抑えることが可能です。
問い合わせ対応マニュアルの整備とあわせて、さらなる業務効率化・品質向上を図りたい方は、ぜひ「DXでんわ」をご検討ください。
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