葬儀社の電話対応マニュアル:
基本マナーと実践的なポイント
UPDATE :

葬儀社の電話対応は、ご遺族との最初の接点となる重要な場面です。適切な言葉遣いや配慮ある対応が、信頼関係の構築につながります。
本記事では、葬儀社ならではの電話対応のマナーやポイント、注意すべき忌み言葉、実際に使える会話例まで、実務に役立つ情報を解説します。
目次
1. 葬儀社における電話対応の重要性
葬儀社にとって、電話は顧客との最初の接点となる場合が多いチャネルであり、対応の質が企業全体の印象を左右します。特に、ご遺族は大切な方を亡くされた直後で不安や動揺を抱えている状態です。そうした中、電話対応から受ける印象の良し悪しは、その後の信頼関係に直結する要素と言えます。
適切な言葉遣いや丁寧な対応を心がけることは、ご遺族に安心感を与え、「この葬儀社に任せたい」と思っていただくための第一歩です。
一方で、配慮に欠けた対応や不適切な言葉遣いは、依頼を見送られる原因にもなりかねません。電話対応の質を高めることは、葬儀社として選ばれるための重要なポイントです。
2. 葬儀社にかかってくる電話の種類
葬儀社には、日々さまざまな目的で電話がかかってきます。適切に対応するためには、それぞれの電話の性質を理解しておくことが大切です。
葬儀社に寄せられる主な電話としては、以下が挙げられます。
- 逝去直後の緊急問い合わせ:ご家族が亡くなられた直後にかかってくる電話で、深夜や早朝を問わず発生。ご遺族は動揺されている状態のため、落ち着いて対応することが求められる。
- 事前相談:「将来に備えて葬儀について相談したい」「費用の目安を知りたい」といった内容の、比較的落ち着いた状態での問い合わせ。丁寧な説明と資料の案内が中心。
- 葬儀後のアフターフォロー:返礼品や香典返しの手配、法要の相談など、葬儀を終えた後の各種サポートに関する問い合わせ。
- 既存顧客からの追加相談や変更依頼:葬儀の日程変更や内容の追加など、すでにご依頼いただいている顧客からの連絡。
- 取引先や協力業者からの連絡:お寺や葬祭ホール、花屋など、協力業者との業務連絡。
- 営業電話・セールス:葬儀業務とは関係のない営業電話など。この対応で業務を中断させられることもある。
3. 葬儀社における電話対応のポイント
葬儀社の電話対応では、一般的なビジネスマナーに加えてご遺族の状況に配慮した対応が求められます。ここでは、葬儀社ならではの電話対応のポイントとして、以下の4点を解説します。

- お客様の不安に寄り添う
- 適切にヒアリングする
- 質問に的確に回答する
- 丁寧かつ迅速に対応する
お客様の不安に寄り添う
ご遺族の多くは突然の出来事に動揺し、何から手をつければよいかわからない状態です。電話対応では、そうした不安な気持ちに寄り添う姿勢が大切になります。
落ち着いたトーンでゆっくりと話すことを心がけ、相手を焦らせたり急かしたりしないよう注意しましょう。言葉だけでなく、声のトーンや間の取り方からも、「あなたの話をしっかり聞いています」という姿勢が伝わります。
共感を示す相づちや、「お辛い中、ご連絡いただきありがとうございます」といった配慮ある言葉を添えることで、安心感を与えることができます。
適切にヒアリングする
的確なサポートを提供するためには、必要な情報を漏れなく聞き取ることが重要です。ただし、質問攻めにならないよう配慮しながら進めましょう。
具体的には、以下のような情報を確認します。
- 故人の状況(逝去日時、現在の安置場所など)
- 希望する葬儀形式や規模
- 予算や日程の希望
- 宗教・宗派
これらの情報は、対面での相談に備えた資料の準備や、見積もりの案内に必要となります。ヒアリングした内容は必ず記録に残し、次のステップ(訪問日時、見積もり提示など)を明確に伝えることで、ご遺族の不安を軽減できます。
質問に的確に回答する
葬儀に関する質問は多岐にわたります。スムーズに対応するためには、事前の準備が欠かせません。
具体的には、よくある質問をまとめたFAQを用意しておくと便利です。料金体系や葬儀の流れ、必要書類や手続きについては、わかりやすく説明できるよう整理しておきましょう。
なお、即答できない内容については曖昧な回答を避け、確認後に折り返す旨を伝えることが大切です。
丁寧かつ迅速に対応する
葬儀は時間との戦いでもあります。丁寧さを保ちながらも、迅速な対応を心がけましょう。
特に緊急性の高い問い合わせは優先的に処理します。電話を保留にする場合はできるだけ短時間にし、時間がかかる場合は一度電話に戻って状況を説明しましょう。
また、折り返しの約束をした場合は、必ず時間内に実行することが信頼につながります。
【補足】一般的な電話対応マナー
ここまで葬儀社特有のポイントを中心に解説しましたが、一般的なビジネス電話対応のマナー(電話のかけ方、受け方、言葉遣いなど)についても理解を深めたい方は、以下の記事も参考にしてください。
4. 葬儀社の電話対応で注意すべきこと
葬儀社の電話対応では、一般的なビジネスマナーだけでなく、葬儀という特殊な場面に配慮した注意点があります。ここでは、特に気をつけるべき4つのポイントを解説します。

- 忌み言葉を使わない
- 宗教の違いを理解する
- 個人情報の取り扱いに注意する
- 専門用語を多用しない
忌み言葉を使わない
忌み言葉とは、葬儀の場面で避けるべき言葉のことです。不幸の繰り返しや死を連想させる表現は、ご遺族に不快感や不安を与える可能性があります。
具体的には、以下のような言葉に注意が必要です。
| 忌み言葉 | 言い換え表現 |
|---|---|
| 死ぬ | 逝去される、お亡くなりになる |
| 生きる | ご生前 |
| 重ね重ね、たびたび、ますます | (使用を避ける) |
| 追って、再び、続いて | (使用を避ける) |
| 四、九 | (使用を避けるか別の表現を用いる) |
宗教の違いを理解する
忌み言葉のほか、宗教によって避けるべき言葉もあります。不適切な表現を使うと、ご遺族の信仰を尊重していないと受け取られかねません。
仏教、神道、キリスト教など、それぞれの宗教で使える表現が異なることを理解しておきましょう。主な例として、以下のような違いがあります。
- 「ご冥福」は仏教用語のため、神道やキリスト教では使用できない
- 「昇天」はキリスト教の表現
- 「帰幽」は神道の表現
宗教が不明な場合は、「お悔やみ申し上げます」など、宗教色のない表現を使うことが安全です。
個人情報の取り扱いに注意する
葬儀に関する情報は、故人やご遺族のプライバシーに深く関わります。情報管理には細心の注意を払いましょう。
故人や遺族の情報は厳格に管理し、電話口での情報確認は慎重に行います。第三者への情報開示は原則として行わず、本人確認ができない場合は情報提供を控えることが重要です。
専門用語を多用しない
葬儀業界には独特の専門用語が多く存在しますが、ご遺族にとっては馴染みのない言葉ばかりです。
「湯灌」「納棺」「枕飾り」といった業界用語を使う際は、必ず説明を添えるようにしましょう。わかりやすい言葉で言い換えるか、補足説明を加えることで、ご遺族の理解を助けることができます。
5. 【シーン別】葬儀社の電話対応で使える言い回し例
ここまで解説してきたポイントを踏まえて、実際の電話対応でどのように応対すればよいのか、具体的な会話例を以下4つのシーンに分けてご紹介します。
- シーン1:逝去直後の緊急問い合わせへの対応
- シーン2:料金に関する問い合わせへの対応
- シーン3:事前相談への対応
- シーン4:宗教・宗派の確認
シーン1:逝去直後の緊急問い合わせへの対応
ご遺族は動揺されている状態です。まずはお悔やみの言葉を伝え、落ち着いたトーンで対応することが大切です。一度に多くの質問をせず、まずは現在の状況から順を追って確認していきましょう。
▼会話例
顧客:「父が先ほど亡くなりまして…どうしたらいいか…」
従業員:「この度は誠にご愁傷様でございます。お辛い中、ご連絡いただきありがとうございます。まずはお父様の現在の状況を確認させていただけますでしょうか。現在、お父様はどちらにいらっしゃいますか」
シーン2:料金に関する問い合わせへの対応
料金についての質問は多く寄せられます。まずは目安となる金額を伝えつつ、個別の状況に応じて変動することを説明しましょう。具体的なプラン内容についてヒアリングを進めることで、より正確な見積もりを提示できます。
▼会話例
顧客:「葬儀の費用はどのくらいかかりますか」
従業員:「葬儀の費用につきましては、ご希望される形式や規模によって変わってまいります。一般的な家族葬ですと◯◯万円から、一般葬ですと◯◯万円からとなっております。詳しいお見積もりをご用意いたしますので、差し支えなければご希望の内容をお聞かせいただけますでしょうか」
シーン3:事前相談への対応
事前相談は比較的落ち着いた状態での問い合わせです。電話での説明に加えて、対面での相談や資料送付など、次のステップを提案することで、より具体的な検討につなげることができます。
▼会話例
顧客:「将来に備えて、葬儀について相談したいのですが」
従業員:「ご相談いただきありがとうございます。事前にご相談いただくことで、ご希望に沿った準備が可能となります。お電話でも概要はご案内できますが、資料をご覧いただきながらのご説明も可能です。ご都合のよろしい日時に、ご来社いただくことは可能でしょうか」
シーン4:宗教・宗派の確認
宗教・宗派の確認は葬儀の進行に関わる重要な情報です。相手が詳しくわからない場合でも、丁寧に状況を確認し、適切なサポートを提案しましょう。菩提寺の有無によって対応が変わるため、この点も合わせて確認します。
▼会話例
従業員:「恐れ入りますが、ご宗教やご宗派についてお伺いしてもよろしいでしょうか」
顧客:「仏教だと思いますが、詳しくはわかりません」
従業員:「かしこまりました。お寺様とのお付き合いはございますでしょうか。もしお付き合いのあるお寺様がいらっしゃいましたら、ご住職様にご連絡をお取りいただければと思います。もしいらっしゃらない場合は、こちらからご紹介させていただくことも可能でございます」
6. 「出るべき電話」に確実に出られる環境を整えよう
ここまで、葬儀社における電話対応のマナーやポイントを解説してきました。しかし、「本当に対応すべき重要な電話」と「対応が不要な電話」が混在している状況では、ご遺族からの大切な問い合わせを取りこぼしてしまうリスクがあります。
ここでは、「本当に対応すべき電話」に確実に出られる環境を整えるためのソリューションとして、IVR(自動音声応答システム)「DXでんわ」をご紹介します。
葬儀社が抱える電話対応の課題
葬儀社は24時間365日対応が求められる業種です。ご遺族からの緊急の問い合わせは深夜や早朝にも発生するため、常に電話に出られる体制を整えるのが理想的です。
しかし、営業電話のような対応不要な電話が頻繁にかかってくる場合は、本当に対応すべきご遺族からの問い合わせに十分な時間を割けていない状態と言えます。
また、営業時間外の問い合わせについても、単に翌営業時間をアナウンスし、かけ直しを促すだけでは不安を与えてしまう可能性があります。
IVR「DXでんわ」による課題解決
「DXでんわ」は、かかってきた電話に自動で応答し、適切な部署へ取り次いでくれるシステムです。営業電話など不要な電話はシャットアウトし、本当に対応が必要な問い合わせのみを担当者へつなげることができます。
適切な担当者へ直接つながることで、たらい回しを防ぎ、顧客の待ち時間も削減できます。24時間365日の自動応答が可能なため、営業時間外に初期対応ができる点も大きな特徴です。
「DXでんわ」についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ以下のページからご確認ください。
よくある質問
電話で家族が亡くなった方への言葉は?
「この度は誠にご愁傷様でございます。お辛い中、ご連絡いただきありがとうございます」が基本的な言葉です。まずはお悔やみの言葉を伝え、落ち着いたトーンで対応することが大切です。相手は動揺されている状態のため、焦らせず、丁寧に状況を確認していきましょう。
「ご愁傷様です」の代わりになる言葉は?
「心よりお悔やみ申し上げます」が代表的な言葉です。こちらは口頭だけでなく、メールや文面でも使用できます。また、宗教が不明な場合でも使える宗教色のない表現のため、幅広い場面で安心して使用できます。より丁寧に伝えたい場合は、「突然のことでお慰めの言葉もございません」といった言葉を添えるとよいでしょう。
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