企業にとって役立つITとは
UPDATE :
企業はITをどのように役立てるべきでしょうか。消費者の多くがスマートフォンなどでIT技術に親しんでいる昨今では、企業もITを活用し、積極的にビジネスモデルを変えていくことが必要です。日本の現状を踏まえ、企業にとってのITのあるべき姿を解説します。
目次
日本企業のIT活用
日本の場合、IT技術を活用して競争力を高めようと考えている企業はあまり多くありません。社内システムの維持や業務効率化を目的として、限定的なIT投資を行う企業が多いのが実情です。しかし海外の高い収益を上げている企業では、IT技術を活用し、新しい価値の創出や競争力の強化を目指す例が多いとされています。日本企業がITを役立てるには、効率化と競争力強化の両面から積極的に技術を取り入れていく姿勢が大切です。
※経済産業省「中小企業IT経営力大賞ポータル」より
IT活用の度合いは、いかに全体最適化に近づいているかによって、4段階に分けられます。部分的・1企業内の効率化にとどまらず、より幅広い観点でのIT活用が求められます。
競争力強化のためのIT活用
他社との競争に勝ち抜くには、顧客の増加や客単価の向上により、売り上げを増やしていくことが必要です。経済産業省では、売り上げ向上や競争力強化のために、IT活用を検討する企業に向けたガイドラインとして「攻めのIT活用指針」を策定しています。ここでは「攻めのIT活用指針」を参考に、IT活用の具体的な手法を狙いごとに分類して紹介します。
新規事業への進出
新しい事業分野へ進出するには、市場調査により需要の動向を見極めなければなりません。オープンデータやWebアンケート調査で集めたデータを分析すれば、多角的にターゲットの動向を把握し、新しい事業の採算性を検討することができます。
販売チャネルの創出
商品やサービスの売り上げを安定させるために重要なのが、複数の販売経路を持っておくことです。電子決済を導入すれば、インターネットでも商品やサービスを販売することができます。また顧客情報をデータベース化すれば、顧客を増やすための営業活動を効率的に行うことが可能になります。
新商品・サービスの提供
商品開発を行う際、分析ツールを使って需要や競合状態を分析すれば、販売予測を踏まえた商品やサービスを生み出すことができます。また社内電子掲示板やハッカソンを活用すれば、社員がアイディアを出しやすい環境を整えることができます。
ブランド力の強化
売り上げを増やすには、商品の利便性や品質を消費者に伝え、自社の商品を手に取ってもらう必要があります。ITを活用すれば、顧客一人ひとりのマイページから顧客に応じた情報を発信したり、リアルタイムで商品説明やフォローをすることで、商品への信頼感を高めることができます。
顧客満足度の向上
顧客満足度を上げるには、顧客のニーズや行動を分析し、サービスに反映させることが必要です。購買行動をデータベース化して分析すれば、顧客のニーズに応じたサービスを提供することが可能になります。
価値や品質の見える化
消費者に商品を購入してもらうには、正確な情報を提供し、納得してもらう必要があります。IT技術を活用すれば、インターネットで製品やサービスの情報を提供することができます。また飲食店の混み具合や製品の納期などの情報を、リアルタイムに提供することも可能になります。
新たなビジネスモデルの実現
IT技術を活用すれば、社内外の関係者と柔軟に連携することができます。ビジネスマッチングサービスを利用したり、企業間の連携をシミュレーションしたりすることで、ビジネスモデルの企画が容易になります。
サービス提供プロセスの改善
経営資源を有効に活用するには、人員を適切に配置し、在庫を過不足なく管理することが大切です。業務プロセス管理ソフトを導入すれば、経営資源を最適な形で配分することができます。本社と物流倉庫の所在地が離れている場合でも、在庫管理システムと社内ネットワークを連携させることで、在庫管理が効率よく行えます。
業務効率改善のためのIT活用
IT技術は企業の業務効率化にも役立ちます。経理処理やコミュニケーションの無駄を省くことで、資源を有効に活用でき、コストの削減にもつながります。
経理処理の効率化
経営に関する情報を可視化するシステムを導入すれば、販売実績や在庫状況をリアルタイムに把握し、速やかな経営判断を行うことが可能になります。また経理処理を電子化すれば、伝票の集計などにかかっていた時間を、別の作業に当てることができます。
コミュニケーションの効率化
IT技術を活用すれば、コミュニケーションを効率的に行うことができます。文書や口頭で行っていたやりとりをメールやチャットに置き換えることで、業務指示や経営判断を速やかに伝えることができるほか、必要な場合のみ紙の資料を印刷することで、資源の節約にもつながります。
まとめ
多くの日本企業では、ITが部分的にしか活用されていないのが現状です。しかし経営にIT技術を取り入れることで、業務を効率化しながら、会社の競争力を高めることができます。会社の課題を把握し、戦略的にIT技術を活用していくことが大切です。