TCOの削減を実現するために検討すべきこと

コスト削減

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新たなIT機器・ソフトウェアの導入を検討する上では、初期費用だけでなく導入後に発生するあらゆるコストを含めた「TCO」を考えることが大切です。ここではTCOを削減するために検討すべき事柄や、TCO削減の失敗事例と改善例などをご紹介します。

目次

TCOとは

TCO(Total Cost of Ownership)とは、IT機器やソフトウェアといった会社で利用するシステムなどの導入から廃棄までにかかる総コストのことです。「総所有コスト」や「総保有コスト」とも呼ばれます。

導入時のイニシャルコストだけでなく、保守・管理といったランニングコスト、廃棄や次のシステムへの引き継ぎにかかるコストなど、新たなシステムにまつわる全ての費用が含まれます。例えば、新システムを利用するための従業員に対する教育コストや、利用する上で発生する消費電力などもTCOに内包されます。

低価格化が進んだことで新システム導入のハードルが下がっていることは確かですが、導入コストの低さから利用を開始したものの、ふたを開けてみれば以前より保守管理や運用にかかるコストが増えてしまったということもあります。

TCOを削減するための検討事項

新たなシステムを導入するメリットは、業務の自動化や効率化によるコスト削減です。ただし自動化や効率化に気を取られたり、反対にコスト削減にのみ目を向けたりするなど、局所的なコスト削減だけを目標としてしまうと、結果的にTCOの増加につながることも考えられます。新システムの導入を行う際は、あらゆる要素を俯瞰的に検討する必要があります。

将来的に利用者数は変化しないか

新システムの導入を検討している時点の従業員数ではなく、導入後の従業員の増減も考慮してコストを考えることが大切です。人員増に伴うシステムの追加費用だけでなく、減少した場合のシミュレーションも行い、「無駄が生まれないか」あるいは「どの程度の無駄で済むのか」も検討する必要があります。システム利用者のライセンスを100件単位でしか購入できないなど、従業員数に合わせて支出を柔軟に調整できない製品・サービスは、規模が小さい事業所や、人員の増減が大きい企業には向いていません。

新たなシステムを使いこなせるか

従業員が新システムをしっかり使えるかどうかも検討すべきポイント。もちろん、導入直後には使いこなせなくとも、その後どの程度の教育コストで使えるようになるかを考えることも重要です。
具体的には、使い慣れた既存システムと同じように操作できるものを選ぶのか、効率化のために学習・教育コストをかけてでも新システムを導入するのかなどを考えなければなりません。

導入後にカスタマイズできるか

新システムを導入し実際に利用してみると、機能の追加や仕様の変更などの希望が出ることもあります。これらをあらかじめ想定し、導入後にカスタマイズできる機能の種類や、カスタマイズする際にかかる費用なども選定時に考慮しましょう。現場の従業員にヒアリングを行い、必要不可欠な機能と、今後導入したい機能を洗い出しておくのが有効です。

無駄な機能はないか

既存システムよりも充実した機能を求めるのは当然ですが、それらが現在の業務や今後想定される業務に本当に必要なものかどうかを吟味する必要があります。上述のカスタマイズの項目にもつながりますが、「必要な機能をピンポイントでカスタマイズできる柔軟性があるか」といったことも検討すべき要素といえます。

TCO削減の失敗事例

TCOを削減したいと考えていても、やはり初期費用は気になってしまうもの。また、何かしらの改善策として新システムを導入する場合は現在必要なことだけを注視しがちです。
ここでは、導入コストと現在の状況にだけ注目し、長期的な視点を欠いたために生じてしまったTCOの無駄を、2つの失敗事例でご紹介します。

失敗事例1「安価な中古のPCを購入した」

経費削減のため、導入コストの低い中古のパソコンを複数台購入したA社。ところが実際に使用してみると動作が非常に重く、従業員からは「ストレスになる」「仕事にならない」との批判が相次ぎました。結果的にすべてのPCを新品に買い替えることになり、当初想定していた導入コストを大幅に上回ってしまいました。

改善策「リースを検討する」

短期的、または一時的な経費削減のためにPCを総入れ替えするのは得策ではありません。このケースでは、買い替えではなくリースも検討すべきでしょう。リースの利用でコストを抑えつつ高性能な機器を導入することで、従業員の業務効率化が図れるかもしれません。

失敗事例2「現在のデータ量をもとにサーバを交換した」

ハイスペックなサーバを使用していたB社は、「今のデータ量を考えるとランニングコストが高すぎる」と判断し、スペックを落としたサーバに交換しました。交換直後は特に問題なく運用できていたものの、事業の成長とともに増え続けるデータ量を勘案していませんでした。そのため、数カ月後には容量不足の状態に陥り、結局以前のハイスペックなサーバに戻すことになってしまいました。

改善策「将来的な数値を試算する」

現状のコストや業務量だけでなく、将来的に会社がどのように変わっていくのかという視点で数値を試算することも大切です。システムで処理しなければならないデータ量だけでなく、システムを利用する社員数や配備する拠点数なども踏まえ、数年分のシミュレーションを行うようにしましょう。

まとめ

上記で紹介したほかにも、TCOを削減するには実際にシステムを設置・利用・運用・管理する「従業員の労力」を考慮することも大切です。システムのライフサイクルに関わるあらゆる事柄を考慮し、効果的なTCOの削減を実現しましょう。