通信費削減のためのポイント

コスト削減

UPDATE :

企業の経費削減といえばペーパーレス化が筆頭に上がりますが、実は通信費が経費を圧迫しているケースもあります。電話代や社用端末の通信料など、目に見えないため気付きにくいことも。IP-PBXを導入したり回線数を見直したりすることでコスト削減が可能です。

企業の通信費はどれくらい?

企業における通信費とは、電話や郵便、テレビ、インターネットなどの「通信」に関わる費用全体を指します。具体的には固定電話・携帯電話の通話料、FAX通信費、はがき・切手代、インターネット回線代などがあります。年賀状や有料放送の受信料、レンタルサーバの使用料、電話工事やインターネット工事に発生する費用も通信費に計上できます。

企業の通信費は規模により年間10万円に満たない場合から、大企業では1億円を超えることもあるなど、社員数や事業規模で大きく変わってきます。しかし、通信費の割合においては、規模に関わらず電話コストが半分程度を占めることが多いようです。電話回線やインターネット回線のプランを見直すことで、効果的に通信費が削減できます。

さらに、電話回線をアナログ回線からインターネット回線(光ファイバー回線、IP電話サービスなど)に変更するなど、通信システムそのものを改善することで大幅なコストカットも可能になります。

IP-PBXを導入する

ビジネスフォンにIP-PBXを導入することで、通話料金の削減が可能です。
IP-PBXとはインターネット上で稼働する構内交換機のことで、インターネット回線とそれに対応するIP電話機を結ぶ役割を持ちます。光ファイバーなどのIPネットワークを用いた電話は、日本国内であれば地域や距離に関わらず通話料金が一定です。そのため通信コストの削減には最適です。

従来、複数拠点間のやりとりは外線通話を使用することが一般的だったため、通話料金が発生していました。しかし、IP-PBXはパソコンや電話の通信を社内LANに統一し、複数拠点にまたがって内線化することが可能です。これにより複数拠点の社内通話が無料となります。

なお、IP-PBXはスマートフォンの内線化も可能です。社員個人の端末の内線化もできますから、BYODを導入すれば社用端末の購入費用も抑えられます。スマートフォンを内線化すれば、移動中や出張先でも会社の番号で受信・発信が可能になります。スムーズな顧客対応やサービスの質向上を実現するため、業務効率化にも役立ちます。

電話の回線数や種類を見直す

一般に、必要な電話機の台数はデスクの数+会議室の数が目安とされています。また、適切な同時通話数は従業員数のおよそ1/3程度といわれています。繁忙期など、電話をもっとも使う時期に必要な回線数を洗い出し、適切な数に設定しましょう。

なお、電話回線にはアナログ回線、ADSL回線、ISDN回線、IP回線などがあります。総務省は従来のアナログ電話回線(PSTN)を2025年をめどに廃止し、インターネット回線を用いたIP通信網に置き換える方針を発表しました。これにより、PSTNを使用しているアナログ回線やADSL回線、ISDN回線に関わるサービスが2025年までに終了する可能性が高くなっています。いますぐ既存の電話回線が使えなくなる訳ではありませんが、いずれIP回線への切り替えは必須となるでしょう。

IP回線を利用する電話には、ひかり電話やFUSION IP-Phone、Colt VoiceLINEなどのサービスがあります。固定電話に比べて基本料金が安価であり、通話の距離や時間に関係なく一律料金である点がメリットです。頻繁に長距離通話や国際通話を行う企業であれば通信コストの大幅な削減が見込めます。

BYODを導入する

BYOD(Bring Your Own Device)とは、企業が規定するルールに基づき、個人所有の端末を業務に活用する方法です。ビジネスに携帯電話やスマートフォンなどの端末は欠かせないものとなりましたが、社用端末の管理には大きなコストが発生します。そこで、個人の端末を業務で活用するBYODが注目されています。

BYODを導入することで、第一に端末の購入費用が削減できます。また、端末通信料の負担も軽減されます。端末を管理する人的コストも抑えられるため、経費の削減につながります。詳しくは「BYODとは」で解説しています。

社用端末のキャリアを乗り換える

携帯電話やスマートフォンなどの端末は、固定電話と比べて1台1台に高額な基本料金が発生します。2014年に日経BPコンサルティングが行った調査によると、企業が業務用端末のために支払っている金額の平均は1人あたり月額6,523円です。この料金を見直すことで、コスト削減を図る方法もあります。

まずは現在契約しているプランを見直しましょう。通話が多い場合は通話料が定額のプランを選ぶ、Webサイトを頻繁に閲覧する場合はデータ通信量が充実したプランを選ぶなど、業務形態に適したサービスへの切り替えが重要です。

また、通信キャリアそのものを見直すことで通信費の大幅な削減が可能になります。例えば、格安SIMを利用するMVNOでも法人用プランを提供しているところがあります。従来のサービスでは、結果的に高額な最新機種の購入が必要になる場合もありますが、格安SIMならSIMフリーの端末を用意するのみですから、端末の費用を抑えることも可能です。

プロバイダやプランを見直す

いまやインターネットはビジネスに欠かせない存在となりましたが、インターネット回線を提供するプロバイダや、その料金プランを見直すことで経費を削減できます。
特にインターネットプロバイダは契約当時から同じ業者に依頼したままで、一度も見直したことがないという企業も少なくないはずです。現在はインターネットの普及に伴い、多くのプロバイダが多様なサービスを展開しています。

法人向けのプロバイダ選びでは、回線の速度や安定性に加えてトラブル時のサポート体制がポイントです。データ通信量が小さいと業務に支障を来す場合もありますから、費用の安さばかりを優先しないように注意します。契約時には不要なオプションサービスが含まれていないかどうかも忘れずに確認しましょう。

インターネットFAXを活用する

インターネットFAXとは、従来の電話回線に代わってインターネット回線を用いるFAXです。従来のFAX機は不要で、パソコン上でやりとりを行います。電話回線より安価なインターネット回線を用いるため、通信費の削減に直結します。FAX本体の導入費が抑えられるだけでなく、ペーパーレス化による節約効果も見込めます。

なお、インターネットFAXはパソコンでの送受信が可能ですから、外出先でもFAXの内容を確認できることも利点です。データをパソコン上に保存、記録が必要なもののみ印刷すれば、書類整理の煩雑な手間も省けて業務効率化につながります。

まとめ

通信コストの削減は、インターネット回線の活用がカギとなります。特にIP-PBXの導入は通信コストを削減できるだけでなく、業務効率化につながるメリットもあります。通信費の増大に悩んでいる企業は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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