【2024年問題】ISDNサービス終了に伴い考えられる
コールセンターの影響と対策
UPDATE :
これまで企業の通信を支えてきたISDNサービスが2024年に終了します。それに伴い、コールセンターにはどのような影響が出るのでしょうか?この記事では、ISDN終了までのスケジュールや終了するサービス、コールセンターが取りうる3つの対策について解説します。回線などの切替えが必要になる場合もあるため、早めの準備が大切です。
目次
通信・回線に大きな変化!?ISDN回線サービスが終了する2024年問題とは
「2024年問題」をご存知でしょうか?
「2024年問題」はNTT東西が1988年から提供してきたISDN回線サービス(INSネット)が2024年に終了し、通信・回線方式が大きく変化することを指します。ISDNとは、「Integrated Services Digital Network」の頭文字をとった略称で、電話回線を使用したインターネット通信技術の国際規格のことです。日本語では「サービス総合デジタル網」といった訳があてられています。
ISDNには複数の通信を一緒に行える強みがあるため、電話・ FAX ・インターネットの同時利用が可能です。加えて、安定性と通信品質の高さから、光回線の登場後もEDI*(Electronic Data Interchange)など企業間のデータ通信で活用されていました。そのため、「2024年問題」は、個人だけでなく企業も意識する必要があります。
*専用回線や通信回線を用いて企業間でデータをやり取りする仕組み
背景は需要の限界と設備維持の限界と光回線・ADSL回線の普及
長年にわたり企業間の通信を支えてきたISDNですが、なぜサービスを終了することになったのでしょうか?その理由は主に3つあります。
1つ目は、加入電話数やINSネットの需要が減少してきたことで、サービスを継続する必要性が薄れてきたためです。総務省の情報通信統計データベースによれば、加入電話及びISDN加入数は、この20 年ほどの間に70%以上低下しています。
全体契約数(加入電話+ISDN) | 平成10年度末を100とした割合 | |
平成元年(1989年)度末 | 5,245.3万加入 | 83.7 |
平成10年(1998年)度末 | 6,262.6万加入 | 100 |
平成20年(2008年)度末 | 4,732.1万加入 | 75.5 |
令和元年(2019年)度末 | 1,846.1万加入 | 29.4 |
出典:総務省「情報通信統計データベース」
2つ目は、中継交換機・信号交換機などの設備が老朽化し、インフラ維持が難しくなってきたためです。
これらのインフラは、2025年頃に寿命を迎えるとされています。そこでNTT東西は、既存の交換機を使った仕組みから、IP網などを駆使したシステムへ移行する判断を行いました。
3つ目は、ISDNより通信速度の速い光回線やADSL回線が普及してきたためです。
ISDNは安定した通信が強みですが、光回線やADSL回線に比べると圧倒的に速度が劣ります。
2024年問題における終了計画と準備すべきこと
では、ISDNサービスはどのような流れで廃止に向かい、どういったサービスが終了するのでしょうか?
サービス終了が会社の業務に及ぼす影響などを把握し、事前に準備をしておくことが大切です。
以下では、ISDNサービス終了のスケジュールや終了するサービス、コールセンター業務に及ぼす影響などについて解説します。
終了までのスケジュール
NTT東西が予定する大まかなスケジュールは以下の通りです。
2021年1月 | IP網への接続開始 →他事業者とのIP接続、加入者交換機をIP網に接続 |
2022年1月頃 | 切替え後の加入電話などの料金確定、契約引継ぎ案内開始 |
2024年1月 | 固定電話切替え開始 →「固定電話」発通話を順次IP網経由へ切替え、ISDNサービス・INSネット 「デジタル通信モード」が終了 |
2025年1月 | 切替え完了 |
出典:NTT東西「固定電話のIP網への移行後のサービス及び移行スケジュールについて」(2017年10月17日)
終了するサービス
IP網への移行に合わせて、18のサービスが2024 年1月に終了する予定です。
ただし、基本的な音声サービスや公衆電話、110番などの緊急連絡は引き続き利用できます。
終了するサービスと提供を継続するサービスは以下の通りです。
終了するサービス | 提供を継続するサービス |
・INSネット(デジタル通信モード) ・ビル電話 ・着信用電話 ・支店代行電話 ・有線放送電話接続電話 ・短縮ダイヤル ・キャッチホン・ディスプレイ ・ナンバー・アナウンス ・でんわばん ・トーキー案内 ・発着信専用 ・ノーリンギング通信 ・二重番号 ・トリオホン ・なりわけ ・114(話中調べ) ・空いたらお知らせ159 ・ナンバーお知らせ136 | ・基本的な音声サービス ・公衆電話 ・110(警察)118(海上保安)119(消防) ・117(時報) ・177(天気予報) ・104(番号案内) ・115(電報) ・ナンバーディスプレイ ・ナンバー・リクエスト ・迷惑電話おことわり ・キャッチホン ・ボイスワープ ・ボイスワープセレクト ・フリーアクセス ・#ダイヤル ・代表 ・ダイヤルイン ・硬貨収納等信号送出機能(ピンク電話)など |
コールセンターへの影響出典:NTT東西「固定電話のIP網への移行後のサービス及び移行スケジュールについて」(2017年10月17日)
ISDNサービスが終了しても、基本的な音声サービスは提供されるため、表面上はコールセンター業務に大きな影響はないと考えられます。しかし、光回線に比べるとコストが高い傾向となり、相対的にコスト面でデメリットが発生する可能性があります。
では、具体的にどのような対策が必要になるのでしょうか?
次章では、コールセンターが取りうる3つの対策を紹介していきます。
2024年問題におけるコールセンターの3つの対策とは
方針1. コストアップしたまま稼働
1つ目は、コストアップしたまま稼働する方法です。
ISDNサービスが終了する2024年1月以降も、基本的な音声サービスは継続して利用可能なため、コールセンター業務に大きな影響を与える可能性は低いと考えられます。サービスの終了に合わせて機器を変更する必要もありません。ただし、光回線と比べてサービス料金が高額になる可能性があり、相対的にランニングコストが増加する可能性があります。
以下の方針2や3のように、手続きにできるだけ労力を割きたくないといった場合は多少のコストアップを受け入れてそのまま稼働するという方法もあります。
方針2. ひかり回線へ移行
2つ目は、ひかり回線へ移行する方法です。
音声サービスやナンバーディスプレイ、代表番号といったISDNで利用できるサービスは、光回線ベースでも利用可能です。そのため、回線をひかりへ移行しても、コールセンター機能や電話番号を変える必要はありません。ただ、ランニングコストを削減できる可能性はあるものの、移行にともない工事費用などがかかる場合はあります。
方針3. クラウド&IP電話主体のシステムへ切替え
3つ目は、コールセンターシステム全体をクラウド化するとともに、IP電話主体のシステムへ切り替える方法です。大きなメリットとして、CTIやPBXの完全クラウド化によって、機能追加や座席追加、設定変更などが容易になることが挙げられます。
また、必要に応じてシステムをスケールさせられるため、多拠点化や分散化を進めることも可能です。これにより、事業拡大はもちろん、在宅勤務も推進しやすくなります。アフター・コロナの働き方にもマッチするでしょう。
クラウド型システムへの切替えは、コールセンターのDX推進や業務の効率化にもつながるため、完全移行するタイミングとしては最適です。
CTIやPBXの完全クラウド化について詳しく知りたい方は以下もご覧ください。
以下の記事では、コールセンターの立ち上げから構築、注意点などを詳しく解説しております。
クラウド・IP電話の対策はMediaCallsにご相談ください
2024年問題の対策としてリプレイスを検討している方は、MediaCallsまでぜひご相談ください。
IPネットワークにつながる環境であれば、どこでもすぐにコールセンターを構築できることに加え、製品ライセンスの購入によりエージェント数の増加が自在のため、将来的な事業拡大にも柔軟に対応可能です。さらに、ニーズに合わせてご利用形態を、オンプレミス型とクラウド型からお選びいただける点もMediaCalls の大きな特徴です。
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システム導入する前だと馴染みのあまりないCTIやPBXについて、以下の記事で詳しく解説しております。