顧客満足度を向上させたい!7つの施策と実行の手順
顧客満足度を向上させることで、リピーターの獲得や口コミによる新規顧客の獲得、企業の信頼性向上など多くのメリットがあります。そこで本記事では、顧客満足度を測定する指標や顧客満足度を向上させる7つの施策を紹介します。
目次
顧客満足度を向上させると、企業間競争を優位にしたり、リピーターを獲得したりと企業にとって多くのメリットがあります。しかし、どのようにして顧客満足度を向上させたらよいのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、顧客満足度を測定する指標や顧客満足度を向上させる施策について詳しく解説します。施策の実行手順についても紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
顧客満足度(CSAT)とは?
顧客満足度(Customer Satisfaction Score)は、企業が提供する製品やサービスに対して顧客がどれだけ満足しているかを測定する指標です。顧客満足度を測定する方法は多様にありますが、メジャーな測定方法はアンケート調査やインターネット上のレビューです。
顧客満足度の測定結果は、製品やサービスの改善に活用できます。顧客の声を収集し、問題点や改善点を特定して顧客満足度を向上させることで、長期的な顧客ロイヤリティやビジネス成果につなげられるでしょう。
顧客満足度の向上が重要視されている理由
顧客満足度が重要視されている理由を理解することは、ビジネスの成功に向けた重要なステップといえます。ここでは、なぜ多くの企業が顧客満足度の向上を重要視しているのか、2つの視点から解説します。
企業間競争の激化
競争の少ない分野では一部の企業が市場を独占でき、顧客は他の選択肢が限られているため、顧客満足度が低くても顧客との関係性を維持できるでしょう。しかし、同じような製品やサービスを提供する企業が数多く存在する分野ではそうはいきません。
競争が激化する中で顧客のニーズに応えるためには、顧客満足度の向上が重要です。製品やサービスの質に差が生まれにくい場合、「良質な顧客サービス」「使いやすさ」「付加価値の提供」など、顧客体験を重視する必要があります。
SNSの普及
SNSの普及により、顧客の率直な感想や口コミが瞬時に広がるようになりました。良い情報だけでなく、不満や悪評も同様に広まってしまいます。
顧客満足度の高い経験がSNS上で共有されれば、新たな顧客の獲得につながるでしょう。しかし、悪い情報が拡散されれば、企業のブランドイメージや信頼性に大きなダメージを与えます。
顧客満足度の向上によって得られるメリット
顧客満足度の向上は企業の経営にプラスの影響を与えます。具体的にどのようなメリットがあるのか、きちんと把握することで、顧客満足度の向上に積極的に取り組む意義や重要性を理解できるでしょう。
リピーターを獲得できる
顧客満足度が向上することで、「また商品を購入したい」「サービスを継続的に利用したい」と思ってもらいやすくなります。すなわちリピーター獲得につながり、長期的な収益を期待できます。
リピーターの獲得は、新規顧客を獲得するよりもコスト効率が良いといえます。一般的に、新規顧客を獲得するには広告宣伝や販促活動などの多額の費用がかかります。一方、リピーターは既に企業の製品やサービスに満足しており、追加の費用や労力をかけずとも再度購入してくれます。
口コミで集客できる
満足した顧客は、友人や家族、同僚などに自発的にプラスの評価を伝えてくれるでしょう。身近な人からの口コミは広告よりも信頼性が高く、相応の集客効果を望めます。また、口コミサイトやSNSによる口コミ投稿は素早く拡散するため、多くの人々に企業や製品の存在を知ってもらえます。
口コミで十分に集客できるなら、広告やマーケティング費用に多額の予算をかける必要もありません。顧客満足度の向上により、予算を節約しながらも効果的な集客を実現できるのは大きなメリットです。
顧客満足度を測定するには?調査方法と3つの指標
顧客満足度の測定は、顧客の意見やニーズを把握するための重要な手段です。顧客の声を正確に把握することで、製品やサービスの改善点や課題を特定し、それに基づいた改善策が取れるでしょう。ここでは、顧客満足度の調査方法と3つの指標を紹介します。
顧客満足度の調査方法
顧客満足度の調査方法として、以下が挙げられます。
・アンケート調査
・インタビュー調査
・訪問調査
・郵便調査
・電話調査
・モニタリング調査
・覆面調査
上記の中でも定番なのがアンケート調査です。アンケートは紙媒体やオンラインフォームなどで実施できます。質問項目には満足度や評価、要望や意見などを含めることが一般的です。アンケート結果を集計・分析することで顧客満足度を把握できます。
また複数の調査手法を組み合わせることで、より多角的な視点から顧客満足度も評価できます。
指標1:NPS
顧客満足度の指標のひとつに、NPS(Net Promoter Score)があります。NPSは顧客が製品・サービスなどをどれだけ推奨するかを測定するための指標であり、その結果によって顧客ロイヤリティを確かめることが可能です。
NPSの調査例としては、まず「1から10までのスケールで、当社の製品を推奨する確率を評価してください。」と質問します。そして回答を以下の3つのグループに分類します。
・9〜10の回答:プロモーター(Promoters):高い推奨意欲を持つ顧客
・7〜8の回答:パッシブ(Passives):中立的な意見を持つ顧客
・0〜6の回答:デトラクター(Detractors):低い推奨意欲を持つ顧客
プロモーター(推薦者)とデトラクター(批判者)の差が、NPSのスコアとなります。仮にプロモーターが50%、デトラクターが30%であれば、「50-30」でNPSは20です。デトラクターが多ければNPSがマイナスになることもあります。
NPSのメリットは、単一の数値で顧客満足度を表現するため、顧客の声を簡潔に把握できることです。
指標2:CSI
CSI(Customer Satisfaction Index)は、アメリカを中心に活用されている顧客満足度指標です。自社商品に関する質問を行い、出てきた結果の平均から顧客満足度を評価します。顧客に対して質問する内容は以下の5項目です。
・顧客期待値
・顧客不満度
・顧客忠実度
・知覚品質(商品やサービスに対する顧客の主観的な評価)
・知覚値(価格に対する満足値)
質問例としては、「商品を購入して満足しましたか」「サービスに対して期待値はどのくらいありましたか」などが挙げられます。CSIは手軽に顧客満足度を測定できる方法ですが、信頼性を高めるためには多くの人に答えてもらう必要があります。
指標3:JCSI
JCSI(Japan Customer Satisfaction Index)は、CSIを日本国内の産業向けにカスタマイズした顧客満足度指標です。JCSIは日本で広く使用されており、企業や業界の顧客満足度を比較・評価するための基準として利用されています。JCSIでは以下の6つの質問項目があります。
・顧客期待
・知覚品質
・知覚価値
・顧客満足
・推奨意向(商品・サービスをほかの人に進めたいか)
・ロイヤリティ
質問例としては、「他社と比べて当社のほうが満足できましたか」「過去1年の利用経験を振り返って当社のサービスは安心して利用できましたか」などが挙げられます。質問項目からそれぞれ3〜4つ質問し、100点満点で指数化します。JCSIによって、顧客の満足・不満足の原因や構成を見つけることが可能です。
顧客満足度を向上させるには?7つの施策
顧客との関係性を強化するために、顧客満足度を向上させる施策について知ることは非常に大事です。しかし、具体的に何をして顧客満足度を向上させればよいか悩む方も多いのではないでしょうか。
ここでは、顧客満足度を向上させる施策を7つ紹介します。すぐに取り組める施策も紹介しているため、ぜひ試してみてください。
1.接客の質を上げる
基本中の基本といえるのが、接客の質を上げることです。どれだけ商品やサービスの質が良くても、接客が悪ければリピート購買にはつながらないでしょう。接客の質を上げるためにも、顧客に対して丁寧かつ迅速な対応を心がけることが大事です。顧客から商品やサービスの問い合わせがあった際には早めに対応し、正確に回答しましょう。
接客レベルにばらつきがないように、トレーニングやガイドラインの整備を行うことも非常に大切です。常に高品質なサービスを提供することで、信頼感や満足度が向上するでしょう。
2.商品・サービスのデメリットを紹介する
商品やサービスのメリットを伝えることと同時に、デメリットを紹介することも重要です。デメリットを率直に紹介することで企業と顧客の間に透明性をもたらし、信頼関係の構築につながります。 過剰な広告や欠陥の隠蔽は顧客離れを招くだけでなく、失望・不満・怒りといったトラブルに発展する恐れがあります。 とはいえ、デメリットが顕在化することで競争相手に取って代わられたり、市場シェアを失ったりするリスクが生じる点には注意が必要です。
3.カスタマーサクセスを強化する
カスタマーサクセスは顧客が製品やサービスを最大限に活用し、成功を収める(満足する)ためのサポートを提供するアプローチです。カスタマーサクセスを強化することで、顧客の悩みや不安を先回りして解消し、製品やサービスを安心して利用してもらえるでしょう。
カスタマーサクセスを強化する方法は、サービス利用開始のフォローや交流会の開催、コミュニティの運営などが挙げられます。大切なのは、「顧客がサービスの利用でつまずきやすいポイントを把握・予測すること」です。アンケート調査やレビューなどを通じて強化・改善できるポイントを探しましょう。
コンタクトセンターとコールセンターの違いについて知りたい方は以下をご覧ください。
4.無料トライアルで安心感を与える
「せっかく買ったのに合わなかったらどうしよう」「損をしてしまうのではないか」など、顧客は新しい製品やサービスを購入する際に不安を感じるものです。この不安を和らげるためにも、無料トライアルを提供して安心感を与えましょう。
購入前に商品やサービスの価値を体験できるのは大きなメリットです。購入には至らない層ももちろんいますが、「損をした」という感情が芽生えないため、顧客満足度が下がることはないでしょう。
5.価格を柔軟に変化させる
経済の状況に応じて価格を変動させる「ダイナミックプライシング」も、顧客満足度向上に有効です。ダイナミックプライシングは、需要と供給や競合他社の出現などの変動に合わせて価格を調整する手法です。需要が高まると価格を引き上げますが、需要が落ち着くと価格を引き下げることで、収益の最大化と顧客満足の両立を図れます。
例えば、遊園地やテーマパークの平日割引は、顧客にとって「安く入園できる」というメリットがあり、企業側にとっては「来園数の少ない平日に集客できる」というメリットがあります。
とはいえ、頻繁なダイナミックプライシングは顧客に不安や不信感を与える恐れもある点に注意が必要です。
6.システムを導入して業務を効率化する
顧客管理システムを導入して業務プロセスを効率化することで、顧客対応の品質を向上できます。顧客管理システムは顧客情報を統合的に管理するためのツールです。顧客の好みや購買履歴を把握し、それらに基づいて最適なタイミングでアプローチします。 また、システムを通じて問い合わせ対応を迅速にできます。自動返信メールや通知機能を活用すれば、重要な情報やイベントの案内などを効果的に伝えられるでしょう。
7.従業員の満足度を上げる
従業員の満足度を上げることで、結果的に顧客満足度向上につながることがあります。従業員満足度の高い職場は仕事に対して真摯で積極的であり、高いパフォーマンスを発揮する傾向にあるためです。従業員が仕事にやりがいを感じ、自己成長や目標達成に向けて努力することで、サービスの品質向上にもつながるでしょう。
従業員の満足度を上げる方法はたくさんあります。例えば適切な労働条件や報酬体系、働きやすい環境の整備、コミュニケーションの促進、マニュアルの整備などです。定期的に従業員の声に耳を傾けることも重要です。
顧客満足度向上の施策を実行する手順
顧客満足度向上の施策は慎重に進める必要があります。施策によっては膨大な時間・コストがかかる割に、思うような結果を得られない恐れがあるためです。顧客満足度を向上させたいなら、次で紹介する手順を踏みましょう。
現状の把握
まずは現状把握です。「定量的」「定性的」なアプローチを用い、問題点を全て抽出しましょう。
定量的調査は、データを収集して分析し、数量的な結果や傾向を明らかにする調査方法を指します。例えば、アンケート調査で質問項目に対する回答を数値化し、集計する方法があります。
定性的調査とは、データではなく言葉や文章で回答を得る調査方法のことです。インタビューやオープンエンドの質問などが良い例です。
目標の設定
顧客満足度の調査によって浮き彫りになった問題点や改善点を基に、具体的な目標(KPI)を設定しましょう。目標の設定によって施策の方向性や進捗管理が明確になり、効果的な改善ができます。
目標はできる限り数値化し、実現可能かつ測定可能なものであることがポイントです。例えば、「顧客満足度を10%向上させる」や「問い合わせへの返信時間を24時間以内にする」といった具体的な目標を設定します。
施策の実行・効果測定
顧客満足度向上の具体的な目標が定まったら、どのような施策を実行するのか決めましょう。施策を選ぶ際には、問題の優先度や社内リソースを考慮して実行可能な施策を選ぶことが大事です。
定期的な効果測定も忘れてはいけません。施策の効果を客観的に評価し、改善点を見つけ出すことで、次回はより効果的な施策が打てます。顧客からのフィードバックや意見は積極的に参考にしましょう。
まとめ
顧客満足度とは、企業が提供する製品・サービスに顧客が満足しているかを測定する指標のことです。顧客満足度を向上させることで、リピーターの獲得や口コミによる自社ブランドの認知度アップなど、多くのメリットがあります。
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