電話自動応答システムの効果とは?種類ごとの活用シーンや事例を紹介
電話の自動応答システムは、音声ガイダンスによる自動案内やAIとの会話(ボイスボット)による着信先の自動振り分けができるシステムです。業務効率化によるオペレーターの負担軽減の他、顧客の満足度や体験価値の向上など、さまざまなメリットを得られます。
とはいえ、導入には相応のコストがかかります。電話自動応答システムを契約する前に、もう少し詳しく知りたいという方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、電話自動応答システムの種類やメリット、注意点などを解説します。
目次
電話自動応答システムは3種類!
電話の自動応答システムは「IVR」「音声ガイダンス」「自動応答(ボイスボット)」の3種類に分類できます。IVRはプッシュ番号で着信先を振り分けるもので、音声ガイダンスは特定の状況で自動音声案内をするものです。自動応答は「会話型IVR」として機能します。
着信先を振り分ける「IVR」
IVR(Interactive Voice Response/自動音声応答)とは、顧客からの問い合わせに対して音声案内し、入力されたプッシュ番号(数字や♯)で着信先を振り分けるシステムです。例えば「新規のご契約をご希望の方は1を、故障に関するお問い合わせは2を」といった流れで用件を選択させ、プッシュ番号に応じて営業担当・サポート担当など適切な窓口に着信先を振り分けます。
「伝票番号を入力し、最後に#を押してください」といった案内で必要な情報を申告させ、オペレーターにつながず対応を完結させることも可能です。受付・申告内容は自動的にシステムに入力・記録され、後から照会することもできます。
アナウンスを流す「音声ガイダンス」
音声ガイダンスとは、着信時にあらかじめ録音された音声案内を流すシステムです。IVRでも音声による自動案内を用いますが、プッシュ番号による振り分けがないものを音声ガイダンスと呼んで区別する場合があります。
音声ガイダンスの例は、全てのオペレーターが電話対応しているときに「ただいま電話が混み合っております」と音声案内するものです。営業時間外や休業日に電話に出られない旨を伝えた上で、改めて電話をかけてもらうよう伝えることもできます。
AIが応対する「自動応答」
自動応答とは、AI(人工知能)搭載の音声認識ができるソフトウェアにより、自動的に電話対応ができるシステムです。ボイスボットとも呼ばれ、従来のIVRのようにプッシュ番号を押すのではなく、会話(音声)により受付・申告ができます。
従来のIVRからオペレーター対応の必要がない用件をボイスボットに振り分けられる他、着信時にボイスボットが対応して必要に応じてオペレーターにつなぐことも可能です。
電話自動応答システムがもたらすメリット
電話の自動応答システムをコールセンターに導入すると、業務効率化や人件費削減などのメリットを得られます。機会損失を減らせることや、営業時間外の対応ができるようになることもポイントです。また新人オペレーターの早期離職防止にも効果を発揮します。
業務効率化を図れる
コールセンターに電話の自動応答システムを導入する大きなメリットは、電話対応の業務効率化を図れることです。
IVRなどの自動応答システムを導入していない場合、全ての電話に有人対応が求められます。自動応答システムを導入すれば、着信時にまずシステムが自動対応するため、オペレーターは定型的な問い合わせや振り分けに対応する必要がありません。
システムによっては、オペレーターはCRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)の画面を表示しながら、顧客情報の検索や入力も的確かつスピーディに行えます。自動化できる部分は自動化しつつ、情報管理もしやすくなるため、大幅な業務効率化が可能です。
人件費の削減につながる
電話の自動応答システムによってオペレーターが応対する件数を減らせれば、人件費の削減につながります。
自社でコールセンターを運用する場合、漏れなく電話対応できる数のオペレーターが必要です。自動応答システムを導入すると電話対応業務を自動化・効率化できるため、より少ない人員数でコールセンターを運用できます。
人材不足を解消するとともに、採用や教育にかかる時間的・金銭的コストを削減できるのもポイントです。クラウド型の自動応答システムなら設備関連費も圧縮できます。
機会損失を減らせる
自動応答システムがあれば、電話を取り損ねて機会損失をする事態を防げる可能性が高まります。
入電数が多くなりがちな昼休みなどの時間帯は、オペレーターが問い合わせをさばききれなくなることも珍しくありません。顧客からすれば、商品・サービスについて問い合わせをしたくても電話がつながらない状態です。
自動応答システムがあれば、あふれた電話のコールバック予約を自動受付することもでき、新規契約などの機会損失を防止しやすくなります。
営業時間外の応対ができる
自動応答システムがあれば、営業時間や営業日に左右されることなく電話の応対が可能になります。システムさえ常時稼働させておけば、オペレーターが不在でも定型的な問い合わせには24時間365日対応でき、コールバック予約の自動受付も可能です。
自動応答システムがない場合、平日の営業時間内に仕事をしている顧客にとっては、電話での問い合わせが難しい状況もあります。自動応答システムを導入すれば終業後や休日にも問い合わせができるようになるため、CX(カスタマー・エクスペリエンス)を向上でき、コールセンターの課題解決にも役立つでしょう。
新人オペレーターの早期離職を防げる
自動応答システムを活用しながら適材適所の人員配置ができれば、新人オペレーターの早期離職の防止にもつながります。
自動応答システムがない場合、対応する顧客がどのような課題を抱えているかを着信時に予測することは困難です。オペレーターには商品・サービスの豊富な知識が求められますが、新人には対応が難しい場合も多く、よく分からない内容で問い詰められると精神的な負担も大きくなります。
自動応答システムなら顧客の抱える課題に応じて自動振り分けができるため、新人に無理な対応を強いることを避けつつ、成長を促しやすくなるでしょう。
コールセンターで対応数が多い、クレーム対応の基本と減らす方法を知りたい方は以下をご覧ください。
導入前に要確認!電話自動応答システムの注意点
自動応答システムは事前に自動音声対応の仕組みを構築するため、適切なシナリオ設定を考えなければなりません。また担当者とつながるまでの時間が長くなる場合もあり、自動音声ではイレギュラー対応が難しいことも注意点です。
適切なシナリオ設定を考える必要がある
自動応答システムを導入するにあたって、発信者の目的を考慮した適切なシナリオ設定が必要です。
IVRは着信先の自動振り分けができますが、顧客は音声ガイダンスの内容から目的に合致したメニューを選択します。メニューの意味が分かりにくいと適切な選択肢を選びにくく、「その他のお問い合わせ」に集中してしまうことも考えられるでしょう。
問い合わせ内容を分かりやすくカテゴライズし、なるべく少ない階層で適切な着信先に振り分けられるようにメニュー調整することが大切です。
担当者とつながるまでの時間が長くなる場合がある
自動応答システムを導入することによって、担当者とつながるまでの時間がかえって長くなってしまう場合もあるでしょう。
シナリオ設定で問い合わせ内容を細分化する(階層を深くする)ほど、顧客が音声ガイダンスを聞き取る時間は長くなり、番号入力をする回数も増えます。簡単な問い合わせで時間を取らせてしまうと、CXは低下しかねません。
オペレーターに余裕がある場合は、1回または2回の番号入力で担当者につなげるようにするなど、待ち時間のストレスを感じにくい運用を検討することが大切です。
イレギュラー対応が難しい
自動応答システムは定型的な返答には適していますが、複雑な内容やイレギュラーな内容に関する対応は難しいことも注意点です。
始めから幅広い問い合わせニーズに対応しようとすると、メニューの数や階層が増え、顧客にとっての利便性を損なう恐れがあります。アナウンスの内容も難しくなるため、システム利用の混乱を招き、CXを低下させる場合もあるでしょう。
まずは問い合わせ頻度の多い定型的な内容から、自動対応を検討していくことがおすすめです。
電話自動応答システムが活躍するシーンと活用事例
電話の自動応答システムはインバウンド(受信)を大幅に効率化できるだけでなく、アウトバウンド(発信)にも対応できます。ここでは、自動応答システムが活躍するシーンの例や、IVR・音声ガイダンス・ボイスボットの活用事例を見ていきましょう。
自動応答システムが効果を発揮するシーン
電話の自動応答システムは以下のようなシーンに効果を発揮します。
IVRの活用事例
エンターテインメント事業を営むA社は、オンラインチケット予約システムと電話による自動予約受付を実施しています。しかし問い合わせ件数は1日当たり数万件に上ることもあり、「電話がつながりにくい」などの不満が寄せられていました。
そこでIVRを導入し、自動音声対応を24時間体制に拡張します。効率的な自動振り分けも奏功し、ユーザーの利便性が向上するとともに、オペレーターの負担も低減できました。
音声ガイダンスの活用事例
通信販売を営むB社は、フリーダイヤルのコールセンターを運用し、オペレーターに直接着信して商品販売の手続きをしています。しかしテレビCMも打っているために入電数が多く、回線がパンクして受注を取りこぼすことも増えていました。
そこで音声ガイダンスを導入し、電話がつながらないときはコールバック予約を自動受付する仕組みを取り入れます。ガイダンスに従って連絡先などを入力してもらうことで、オペレーターは手が空いたときに対応できるようになり、失注を防止しやすくなりました。
自動応答の活用事例
金融サービスを提供するC社は、コールセンターを運用して顧客からの問い合わせに対応しています。しかしコロナ禍による金融ニーズの高まりや新規サービスの開始を受け、入電数が急増しました。全ての電話対応をオペレーターが担う仕組みであったため、きめ細やかなサービスを提供できない状態です。
そこでボイスボットを導入し、問い合わせ件数の多い内容はAIに自動応答させる仕組みを取り入れました。これによりオペレーターの負担を軽減するとともに、問い合わせの応答率や解決率が向上しています。
まとめ
電話の自動応答システムはIVR・音声ガイダンス・ボイスボットの3種類があります。コールセンターの課題に応じて最適なシステムを導入することで、オペレーターの負担を軽減しつつ、電話対応業務の品質向上が可能です。
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