音声認識は業務効率化におすすめ!音声認識の仕組みやソフトの選び方を紹介
音声認識は日常生活や仕事を便利にする画期的な技術です。パソコンやスマートフォン、スマート家電などにも搭載されており、身近な存在となりつつあります。音声認識をビジネスに活用したいと考えている場合は、音声認識の仕組みや活用方法を知っておきましょう。
そこで本記事では、音声認識の仕組みと、ビジネスでどう生かせるのかを解説します。音声認識ソフトの選び方も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
音声認識とは?
音声認識は、システムが人間の音声を解析し、文字(テキスト)に変換する技術です。音声認識を用いれば、通話の内容をリアルタイムで文字に起こしたり、パソコンやタブレットのキーボードを使わずにメッセージを入力できたりします。
エアコンやテレビなどの家電製品にも採用されており、「冷房点けて」「テレビ点けて」と音声で操作できるようになっています。
音声認識の仕組み
音声認識は私たちの生活や仕事を便利にする技術ですが、実際のところはどのような仕組みでできているのでしょうか。ここでは音声認識の仕組みを3つのステップに分けて簡単に解説します。
音声のデータ化
マイクを使用して音声を録音・入力し、入力した音声をコンピュータが認識しやすいデータに整形(音響分析)します。具体的には、録音されたアナログ音声データをデジタル信号に変換する作業です。
ノイズや雑音が入った音声データから人間の声だけを判断するには、この音響分析が欠かせません。周波数や音の間隔、時系列などの特徴を抽出し、ノイズを除去します。
音素を抽出
続いて、抽出した音声の特徴と、あらかじめコンピュータが学習したデータを比較して最も適切な音素を見つけ出す「音響モデル」と呼ばれる作業が行われます。学習データは数千人、数千時間の人間の声を統計して処理されたものを用いるのが一般的です。
音素とは、言語音声の最小の音声的な単位のことです。言語によって音素の構成は異なりますが、日本語であれば大きく「母音」「子音」「撥音(はつおん)」の3種類があります。音響モデルによって、抽出した音声が「あ」と話しているのか「い」と話しているのかなどを分析します。
音素を単語に変換し、適切な文章の構築
音響モデルだけでは文字の羅列になってしまい、正しい文章として成り立ちません。そのため、発音辞書を用いて音素を正しい単語に変換する作業が必要です。
発音辞書には単語とそれに対応する音素のセットが登録されており、各単語にはその単語がどのように発音されるかを示す、音素の系列が関連付けられています。
音素から単語への変換が行われた後は、「言語モデル」を適用します。言語モデルとは、多くのテキストデータを統計的に処理し、単語間の出現確率をモデル化したものです。
例えば、「今日」の次には「は」や「が」が多いといった学習によって、音声認識の結果がより自然なものとなります。こうした工程を経て、ようやく適切な文章が生成できます。
音声認識はAI活用で精度が高まっている
従来の音声認識は、「GMM-HMM」と呼ばれる手法が用いられていました。これは音声の特徴を統計モデル(GMM)でモデル化し、それを確立モデルの一種である「隠れマルコフモデル(HMM)」と組み合わせて音声認識を行う手法です。
現在はディープラーニングの発展によって、「DNN-HMM」が音声の特徴抽出と音響モデル化に使用されています。「DNN-HMM」によって、大規模なデータセットで訓練でき、音声認識の精度が向上しました。
近年は「End-to-Endモデル」と呼ばれる、音声認識の新しいアプローチが注目されています。「End-to-Endモデル」は入力した音声データから直接単語や文字のテキストを生成する、シンプルかつ精度が高い点が特徴です。ただし、実用に至るにはまだ研究と開発が必要とされています。
音声認識の活用方法
音声認識技術は業務の効率化や生産性向上に寄与しますが、具体的にどの業務に生かせるのか、イメージしにくい方もいるでしょう。そこでこの項目では、音声認識の主な活用方法を5つ紹介します。
議事録の自動作成・文字起こし
会議や講演などの音声録音を、音声認識ソフトウェアを使用して自動的にテキストに変換できます。テキストの自動変換によって、議事録の作成が迅速かつ効率的に行えます。
他にもインタビューや法廷の記録など、音声から文字への変換が必要なあらゆるシーンに活用可能です。手作業で文字起こしするよりも大幅に労力と時間を削減でき、別の重要な業務に時間を注げます。
多言語間の通訳・翻訳
音声認識技術を活用したアプリやデバイスは、リアルタイムで発話を認識し、他の言語に翻訳できます。例えばグローバルに市場を広げている企業の場合、外国人の顧客やビジネスパートナーとのコミュニケーションが必要です。翻訳アプリを使用すれば、会議や交渉においても、内容を即座に把握して円滑にコミュニケーションが取れます。
また、教育分野でも音声認識技術が活用されており、自分の発音が正しいかを確認するなど、言語学習の支援に用いられています。他に、スマートスピーカーや音声アシスタントなども、多言語間の翻訳機能を備えています。
ハンズフリー入力
ハンズフリー入力は、キーボードやマウスを使わずに音声を発するだけで自動的に文字を入力し、漢字変換までできる機能です。タイピングに時間がかかってしまう方でも、ハンズフリー入力によってスピーディに文章を作成できます。
またハンズフリー入力は両手が塞がっているときにも便利です。例えば倉庫作業や製造業において、作業中に情報を記録する必要がある場合においても、ハンズフリーであれば作業を中断せずに記録が取れ、効率的な作業が実現できます。
音声で機械の操作指示
音声認識技術を使用して、手を使わずに音声のみで機器の起動や操作の指示を出せます。例えばスマートフォンに搭載されている音声アシスタントを使用して、電話の発信やメッセージの送信、アプリの起動などが可能です。
またスマートスピーカーは、音声認識を使って音楽の再生や天気情報の取得、タイマーの設定などを行えます。
コンピュータとの会話
Appleの「Siri」やGoogleの「Googleアシスタント」などの音声アシスタントは、音声で質問を投げかけたり指示を出したりすると、音声認識技術を使用してそれに応答します。
例えば出先で最寄り駅までの距離や道のりを尋ねると、近い駅を教えてくれたり、道順を案内してくれたりします。人間と話すように喋りかけてもきちんと答えてくれるため、コミュニケーションを取る楽しさも味わえます。
音声認識をビジネスに活用する3つのメリット
音声認識には多様な活用方法があるだけでなく、うまく取り入れると顧客満足度の向上やビジネスの成長につなげられます。ここからは、音声認識がビジネスにもたらす代表的なメリットを3つ紹介します。
1.業務効率化
音声認識は労力や時間の削減をもたらします。例えば「高速なデータ入力」です。キーボードを使わずに音声でメモを取ったり、長文のドキュメントも口述できたりするため、テキストデータの入力が劇的に加速します。
また、ハンズフリー入力によって同時に複数のタスクを実行でき、作業効率が向上します。リアルタイムでインタビュー記事の作成や議事録の文字起こし、コールセンターでの通話内容のテキスト化など、さまざまなシーンでサポートしてくれるでしょう。
コールセンターで対応数が多い、クレーム対応の基本と減らす方法を知りたい方は以下をご覧ください。
2.業務精度の向上
タイピングミスに代表されるようなヒューマンエラーはゼロにはできませんが、音声認識を使えば単純な打ち間違いを減らせます。文字起こしの精度は話し手の滑舌の良さや雑音の有無によって左右されるものの、昨今の技術革新でかなり正確なものに仕上がっています。
もちろん、まだまだ完璧といえる音声認識ソフトにはありません。同音異義語の漢字変換が思うようにいかないこともあるため、「軽微なミスはあるもの」として使用する心構えは必要です。
3.問い合わせや窓口の自動化
音声認識AIボットの導入により、顧客対応の自動化と効率化が実現できます。例えば、電話がかかってきたときに自動的に応答し、顧客の問い合わせに対応可能です。
顧客が声に出して質問すれば、ボットはその音声を解析し、適切な情報やサポートを提供します。問い合わせ内容をカテゴリ別に分類し、適切な部署へ誘導するといった応用も可能です。
他にも、施設やイベントの受付窓口に音声認識AIボットを配置すれば、ボットによって訪問者の迎え入れや案内ができます。
音声認識ソフトの選び方
さまざまな企業が音声認識ソフトを販売しており、それぞれで搭載された機能や精度、費用などは異なります。音声認識ソフトを導入する際は、自社の目的や予算に合ったソフトを選びましょう。ここでは、音声認識ソフトの選び方を4つ紹介します。
精度の高さ
精度が低い音声認識ソフトを導入し、適切に文字起こしができなければ、後から手直しするシーンが増えます。かえって業務効率が悪くなってしまうケースもあるでしょう。
精度は高ければ高いほどよいものの、優れた音声認識ソフトは高価な場合があります。精度の要求水準は業界や用途によって異なりますが、費用面と効率性をうまく天秤にかけて検討してみてください。
操作が簡単か
音声認識ソフトは多くの部署・社員が使うという現場も多いでしょう。したがって、誰でも簡単に操作できることが重要です。操作の難易度が高いと、ソフトを扱うためのトレーニングに時間を要してしまいます。
業務効率化や負担軽減のために音声認識ソフトを導入するのであれば、使いにくいのは本末転倒といえます。操作性は実際に使ってみないと分からない部分も多いため、トライアル期間をうまく使い、合う・合わないを試すとよいでしょう。
ニーズに合った機能が搭載されているか
音声認識ソフトによって搭載されている機能が異なるため、「自社のビジネスに役立つ機能があるか」「業務課題を改善する機能が備わっているか」は大事なポイントです。豊富な機能を備えているのも魅力ですが、使いもしない機能が多すぎると、かえって使いにくいこともあるでしょう。
そのため、まずは自社のビジネスに欠かせない機能を洗い出すことが大切です。後から欲しい機能が増える可能性も考慮して、必要な機能を追加したり削除できたりする「カスタマイズ性」も考慮しましょう。
予算範囲内か
せっかく良いソフトを見つけても、予算を超えると稟議に通らないでしょう。音声認識ソフトにどれだけの予算を割り当てられるか、会社や上長とよく相談し、上限を決めましょう。
一般的な価格モデルには、ライセンス料金、サブスクリプション料金、利用量に基づく料金などがあります。中長期的な視点を持ちつつ、可能な限りコストパフォーマンスの良い商品を選ぶことをおすすめします。
音声認識の精度を高めるならマイクにこだわろう!
デバイスにある内蔵マイクではなく、別途専用のマイクを導入すれば、クリアでノイズの少ない音声信号を入力でき、音声認識の精度を向上できます。
マイク選びで大事なのは指向性です。指向性とは、マイクがどの方向から音を収集するかという特性を指します。マイクの指向性には単一指向性(一方向への音声収集)、双方向性(前後の音声を収集)、全指向性(周囲の音声を均等に収集)があります。
双方向性や全指向性だと雑音を拾いやすくなるため、自分の声だけを録音できる単一指向性がおすすめです。
まとめ
音声認識とは、人間が話した内容をテキスト化する技術のことです。音声認識は議事録の自動作成や文字起こし、多言語感の翻訳など、あらゆる場面で役立ちます。ビジネスに活用すれば、業務効率化やヒューマンエラーの防止、問い合わせの自動化が可能です。ぜひ活用してみてください。
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「Yomel」といった音声認識ソフトと組み合わせれば、リアルタイムで顧客との会話をテキスト化ができ、より適切な案内が可能になります。トークの振り返りもでき、オペレーターの教育にも役立ちます。この機会にぜひ「Media Calls」と「Yomel」を活用してみてください。
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