顧客満足度調査のサンプルを紹介!実施のポイントも解説します
顧客満足度調査は、商品・サービスの課題を解決するために必須の活動です。アンケート回収後の分析や回答率・回収率の向上のために、適切な質問項目や調査方法を選択する必要があります。
顧客満足度調査を実施するにあたって、その方法で悩んでいる方もいるのではないでしょうか。本記事では、顧客満足度調査のサンプル(項目例)や実施のポイントについて紹介します。
目次
顧客満足度調査の内容は?アンケートに活用できるサンプル
顧客満足度調査にはアンケートを用いますが、適切な質問項目の設定は重要です。まず回答者の属性情報や総合満足度の設問は必須といえます。詳細な分析のためには、購入のきっかけや購入理由などの設問も必要です。まずは顧客満足度アンケートの設問別に、質問の例文や回答項目例を解説します。
顧客満足度を向上させたいポイントについて知りたい方は下記をご覧ください。
【サンプル1】回答者の属性について
回答者の属性は、顧客満足度アンケート回収後の分析に必須の項目です。以下のような属性を回答してもらうことで、どのような人物が回答者かを特定します。
・年齢
・性別
・居住地
・職業
・家族構成
必要な属性情報は、調査対象の商品・サービスなどによって異なります。属性に関する質問文の例は「あなたに当てはまるものを教えてください」というものです。基本的かつ定量的な情報のため、普通は選択式の設問を設定します。
【サンプル2】きっかけについて
商品・サービスを知ったきっかけについての設問も、顧客満足度アンケートの基本項目です。この設問に回答してもらうことで、どのマーケティングチャネルが商品・サービスの認知や理解に役立っているかを分析できます。
認知のきっかけについての質問文は、「あなたは、(商品名)をどこでお知りになりましたか?」といったものです。一般的には単一または複数項目の選択式にして、以下のような回答を設定します。
・テレビ
・ラジオ
・雑誌
・メルマガ
・Web広告
・口コミサイト、価格比較サイト
・SNS、ブログ
・企業のWebサイト
・チラシ
・店頭のポスター、POP
・家族・知人の紹介
・セミナー
・その他(自由記述)
【サンプル3】購入理由について
商品やサービスを購入した理由についての設問も、顧客満足度アンケートの基本項目です。これは企業側から見ると「売れた理由」であるため、購入に至った主要因は商品自体の魅力なのかマーケティング効果なのかといった、「どこに満足してもらえたのか」の分析に役立ちます。
購入理由についての質問文の例は、「今回(商品名)を購入した理由は何ですか?」といったものです。一般的には単一または複数項目の選択式にして、以下のような回答を設定します。
・味が好きだから
・価格が手ごろだから
・カロリーが低いから
・パッケージが良いから
・広告やCMが印象的だから
・流行っているから
・口コミ、評判が良いから
・知人におすすめされたから
・いつも購入しているから
・その他(自由記述)
【サンプル4】満足度と理由について
購入した商品・サービスの満足度とその理由についての設問は、顧客満足度アンケートには必須の項目です。購入理由と関連付けて分析することで、「どの要素にどの程度、なぜ満足してもらえたか」を測ります。
満足度についての質問文の例は、「(商品名)に対して総合的にどのくらい満足していますか?」といったものです。回答は5段階評価や7段階評価が一般的で、5段階評価の場合は以下のような回答を設定します。
・かなり満足
・まあまあ満足
・普通
・少し不満
・かなり不満
続いて「そのように回答した理由をお聞かせください(ご自由にご記入ください)」といった質問文で評価理由も回答してもらいます。同様に、他社商品と比較した価格・品質などの回答を求めることも可能です。
【サンプル5】リピートの意思について
購入した商品・サービスをリピートする意思についての設問も、顧客満足度アンケートに加えたい項目です。満足度とリピート意思の関係性を分析することで、「LTV(顧客生涯価値)を最大化するにはどうするべきか」などの検討に役立ちます。
リピート意思についての質問文の例は、「(商品名)をまた購入したいと思いますか?」といったものです。5段階評価の場合は以下のような回答を設定します。
・購入したい
・きっかけがあれば購入したい
・どちらともいえない
・あまり購入したくない
・購入しない
【サンプル6】意見や要望について
商品・サービスに対する意見や要望に関する設問も、顧客満足度アンケートに加えたい項目です。顧客のニーズを分析し、必要なことは既存商品の改善か、あるいはシリーズ商品の拡充かなどの検討に役立てます。
意見や要望についての質問文の例は、「(商品名)に対してご意見・ご要望がありましたらご自由にお書きください」といったものです。この項目は顧客のニーズや課題感を引き出すためのものであるため、自由記述式で回答を求めます。
顧客満足度調査を実施する方法は?
顧客満足度調査にはさまざまな方法があります。例えば対面や電話によるインタビュー、アンケートサイトや郵送調査などです。マンパワーによる電話インタビューの代わりに、IVRを活用した調査および誘導の自動化もできます。それぞれの方法に強み弱みがあるため、特徴を把握しましょう。
対面
対面でのインタビューは、渉外担当者が調査対象者宅に訪問するなどして、1人または複数(グループ)の顧客から顧客満足度を調査するものです。
どの地域に住んでいるどの年代の顧客かなど、顧客の属性を絞ってアンケート調査ができます。ターゲットに狙いを定めた対面式の調査のため、即時に回答を得られ、回収率が高いのもポイントです。
ただし回答者1人当たりにかかるコストは、他の手法に比べて高くなる場合があります。地域密着型のサービスを提供している企業なら、比較的低コストで実施できるでしょう。調査対象者によっては、Web会議システムによる対面インタビューも活用できます。
インターネット
インターネット調査(ネットリサーチ)は、調査対象者にインターネット上のアンケートサイトにアクセスしてもらい、Web上で回答してもらう調査です。
自社Webサイト内にアンケートサイトを設ける場合、比較的低コストで実施できます。インターネットユーザーに対して広く募集できますが、狙った属性の顧客から十分な回答が得られるとは限りません。アクセス解析を取り入れているなら、保有する顧客情報と紐づけ、統計情報を管理するのは容易になるでしょう。
自社努力で十分なサンプル(調査対象者)が確保できない場合、アンケート調査会社に外注する方法もあります。ただしコストは割高になり、事業者によってサンプルの属性が異なることは注意点です。
電話
電話でのインタビュー(電話調査)は、オペレーターが調査対象者に架電し、非対面かつマンパワーで行う調査です。架電リストに従ってアンケートコールを実施するため、ターゲットに狙いを定めてアンケート調査ができます。対面では言いにくい内容にも答えやすく、即時に回答を得られることもポイントです。
ただし顧客が電話に出られない時間帯だと回答してもらえません。サンプルによっては平日の夜間や休日に架電する必要があり、オペレーターの人件費がかさむ場合もあります。
IVR
IVR(Interactive Voice Response)による顧客満足度調査もできます。IVRとは、コンピュータによる音声自動応答システムです。
オペレーターの応対後に自動音声応答ガイダンスを開始し、問い合わせをした顧客にプッシュボタン入力を求め、会話直後の感想を手間なく調査できます。集計結果は管理画面からリアルタイムで確認可能です。またSMS送信でアンケートサイトに誘導したり、オートコール機能で大量の電話調査を自動化したりすることもできます。
導入・運用コストはかかるものの汎用性が高く、オペレーターの負担を抑えて効率的なアンケート調査が可能です。
郵送
郵送調査は、アンケート用紙を調査対象者に郵送し、記入後に返信してもらう調査方法です。回答する時間を自由に選べるため回答ボリュームの大きい調査に向いており、インターネット利用率の低いシニア層もターゲットにできます。
ただし、突然のアンケート協力依頼に抵抗感を覚える顧客も多いでしょう。回答率・回収率を上げるには、アンケート調査を予告するハガキを送付するなどの運用が求められます。紙・封筒・郵送コスト、回収の手間・時間がかかることも注意点です。なお、用紙にURLやQRコードを記載して、アンケートサイトにアクセスしてもらうことも可能です。
顧客満足度調査を実施する際の流れ
以下は、顧客満足度調査の実施を4ステップに分割したときの流れです。
1.調査概要を明確化
調査目的(商品改良・サービス改善・新商品開発のためなど)、調査対象者(年齢層・購入期間・購入商品など)、実施方法(IVR・インターネット・郵送、外注するかなど)、実施期間(1か月・半年など)を決める
2.仮説に基づきアンケート作成
顧客満足度が低い理由の仮説を立て、それを質問項目に落とし込み、アンケートを作成
3.アンケート調査を実施
調査対象者にアンケートを配布/配信し、期限までに回収する。高い回答率・回収率が見込めない場合、クーポンや謝礼金などを用意
4.調査結果の集計・分析
回収した回答をデータ化し、分析しやすいように集計処理。事前に立てた仮説に基づき、商品・サービスの課題を把握
精度の高い顧客満足度調査を行うポイントは?
顧客満足度アンケートの回答率・回収率および調査の精度を高めるには、調査対象者に負担のかかりにくい回答方式にすることが求められます。例えば質問文をシンプルにすることや段階評価を活用すること、自由記述欄を極力少なくすることなどです。
質問文をシンプルにする
顧客満足度アンケートの質問文は、シンプルで分かりやすいものにするのがポイントです。調査対象者は、ずらっと並んだ質問に回答するためにどれだけ時間がかかるか身構えます。読むだけで時間がかかる質問文や、意味を理解するのに時間がかかる質問文は避けましょう。
ストレスなく前向きにアンケートに取り組んでもらうために、シンプルな質問文にすることは大切です。特に設問数が多い場合、直感的かつ短時間で回答できる設問が望ましいでしょう。回答率・回収率を高めるには、設問数を多くし過ぎないこともポイントです。
選択肢は2択にしない
質問内容にもよりますが、顧客満足度について詳しく調査したい場合は、回答を「はい」や「いいえ」の2択のみに限定しないことがポイントです。
「はい」にも「いいえ」にも程度があります。例えば「どちらかといえば満足/不満」「非常に満足/不満」などです。こういった感覚の濃淡を回答で限定し過ぎると、満足度や課題感の正確な調査ができません。
基本的には5段階評価や7段階評価などの段階評価が望ましいでしょう。入力の手間は同じのため、負担をかけずに、より精度の高い調査ができます。
自由記述欄は少なくする
自由記述の欄が多いと、調査対象者は回答に手間がかかると感じやすく、回答率・回収率の低下につながります。このため自由記述欄は少なめにするのがポイントです。
実施者側はより詳細な情報が欲しいと望みますが、時間がかかり過ぎるアンケートは避けましょう。「使う時間に対して報酬が見合わない」「ボランティアにしては要求が高過ぎる」と感じ、離脱される恐れがあります。
また回収後の評価・分析に時間がかかり過ぎることも懸念点です。定量的な評価が容易な設問は極力5段階評価などにしましょう。自由記述欄は、実施者側が回答を想定できないような設問や、選択肢が多過ぎる設問などに限定するのが得策です。
顧客満足度調査後の集計や分析方法
顧客満足度アンケートを回収したら、集計や分析が必要です。まずは全体の傾向を把握する単純集計を行い、より詳細な分析のためにクロス集計を実施します。維持・改善すべき項目を切り分けるために、ポートフォリオ分析を用いるのが有効です。
全体を把握する「単純集計」
単純集計(Grand Total/GT)とは、設問ごとにn数(データの個数)や割合(%)、平均値などを算出する集計方法です。各質問の回答項目ごとに、何名の評価対象者がその項目を選んだのか(n数)、その質問の全回答者に占める各項目の選択割合(%)などを求めます。
例えば「1.かなり満足」を選んだ回答者が1,000名かつ50%、「2.やや満足」を選んだ回答者が500名かつ25%などといった、単純集計表(GT表)を作成する手法です。アンケートを回収したら、まずは単純集計表を作成して全体の傾向を把握します。
属性や設問を掛け合わせた「クロス集計」
単純集計で全体の傾向を把握したら、クロス集計を実施します。クロス集計とは、2つ以上の属性や設問を掛け合わせて(クロスして)集計する手法です。
例えば1つの質問に対して、回答者の属性別の回答割合を並べて表にし、顧客満足度の男女差・地域差などを分析します。これにより「どのような層に満足度が高いのか」を、より詳細に分析することが可能です。
属性以外にも購入理由やリピート意思など、設問の掛け合わせによってさまざまな角度から満足度・課題感を分析できます。
顧客満足度を可視化する「ポートフォリオ分析」
ポートフォリオ分析とは、商品・サービスの総合満足度と項目ごとの満足度から、維持・改善の指針を得る分析手法です。
具体的には、個別項目(価格が手ごろ、パッケージが良いなど)の満足度と総合的な満足度を5段階評価などで集計し、各項目の総合満足度との相関係数を算出します。各項目を4象限に分けた2次元グラフの中にマッピングし、維持すべき項目と改善すべき項目を切り分ける分析手法です。
・重点維持項目(右上の象限):項目の満足度が高く、総合満足度への影響度も高い。満足度の高さを維持するべき
・維持項目(左上の象限):項目の満足度が高く、総合満足度への影響度が低い。悪影響が出ない程度に維持したい
・改善項目(左下の象限):項目の満足度が低く、総合満足度への影響度も低い。優先的な改善は必要ない
・重点改善項目(右下の象限):総合満足度への影響度が高いが、項目の満足度は低い。優先的・早急な改善が必要
まとめ
顧客満足度調査は対面や電話によるインタビュー、Web上や郵送によるアンケート配信などで実施します。回収後に維持・改善すべき点を分析するには、属性情報や購入理由など、クロス集計・ポートフォリオ分析に使用する各種情報を収集することが必要です。回答率・回収率を高める仕組み作りも検討しましょう。
メディアリンクの「MediaCalls」は、コールセンターの顧客満足度向上に最適なオールインワン型コールセンターシステムです。問い合わせをコンピュータ制御し、再コールは前回担当者にダイレクトに接続できます。多彩なレポート機能により、コールセンター運営の品質管理が容易で、業務効率化や顧客満足度向上に役立ちます。
コールセンターの顧客満足度向上をお求めなら、導入後サポートも安心なメディアリンクにご相談ください。