「在宅コールセンター」実現のハードルを越えるには?
新型コロナウイルスの流行にともない多くの企業が在宅勤務を推進しはじめた一方で、在宅勤務を導入したくてもできないというコールセンターの課題が浮き彫りになりました。
そこで、今回は「在宅コールセンター」実現のハードルを越えるための具体的なToDoを解説します。
目次
新型コロナウイルスで浮き彫りになる「在宅コールセンター」の必要性
2019年11月末に発生した新型コロナウイルス(COVID-19)は2020年に入り、多くの国・地域で大規模な流行となりました。世界各国の主要都市でも相次いでロックダウン(都市封鎖・移動制限)が実施されるなど、社会的・経済的に大きな影響を及ぼしています。
日本においても、緊急事態宣言が発令され、「密閉」「密集」「密接」の3密を避けることに加えて、不要不急の外出を控えるように呼びかけられています。このような状況を鑑みて、在宅勤務を実施する企業も増えてきています。
一方で、多くのコールセンターでは在宅勤務へのシフトが行えず、感染リスクを抱えたままの運用になっているケースが目立ちます。コールセンターの環境は、「密閉」された空間に、多くのオペレーターが「密集」「密接」して配置されているケースが多く、極限の3密状態にあると言えます。
少しでもリスクを低減させるために、出勤者を減らしたり、受付時間を短縮したりして対応を行なっていますが、感染が拡大している状況下において、在宅コールセンターの必要性も高まってきています。
在宅コールセンター実現のハードルは?
新型コロナウイルス以前より、働き方改革などを背景として、「在宅コールセンター」については話題となっていましたが、なぜ、実現できないでいるのでしょうか。
以下より、在宅コールセンターの実現を妨げる3つのハードルについて解説します。
セキュリティ上の懸念
コールセンターでは顧客の契約情報や住所、電話番号といった個人情報を取り扱うケースが多く、情報漏洩のリスクを懸念して、在宅勤務に切り替えられないというケースが多く存在します。
出勤している状態であれば、私物の持ち込みを禁じたり、不要なエリアへの入室を管理できたりしますが、在宅勤務となるとこのようなことを徹底させることは難しく、どうしてもセキュリティのレベルが下がってしまうため、在宅コールセンターの実施に踏み切れずにいます。
電話設備の工事が必要
オンプレミス型のコールセンターシステムを利用している企業の場合、電話回線の工事や電話交換機・電話機の設置工事などが必要となります。各在宅勤務者にこれらの環境を整えようとすると、大掛かりな設備投資や費用が必要となります。
オペレーターをどのように監督するか?
コールセンターには顧客からの電話を受けるオペレーターと、オペレーターの管理・監督や高度な問合せに対応するスーパーバイザー(以下、SV)などがいます。同じ空間にいる場合、SVはオペレーターの出勤状況や勤務態度、応対品質といった情報を随時把握することができます。
しかし、在宅コールセンターを実施する場合、このように各オペレーターの様子を把握することが困難となり、管理・監督の難しさが出てきます。
オペレーター側からしても、急な質問やエスカレーション対応について、リアルタイムで対応してもらいにくくなるため、業務的にも精神的にも負担が増えてしまう恐れがあります。
在宅コールセンター実現のハードルを越えるには?
前章で触れたように「在宅コールセンター」の実現には大きく3つのハードルが存在します。
「在宅コールセンター」を実現するにはこれらのハードルをクリアする対策が必要です。
以降では、在宅コールセンター実現のハードルを越えるための対策・手法について解説します。
システム面・制度面からのセキュリティ対策
はじめにセキュリティ面についてです。システムやツールをはじめとしたテクノロジーの導入だけでは、情報漏洩などのリスクを最小化できていると言えません。運用・制度面からのアプローチも必須となっていきます。
テクノロジー関係で言えば、インターネットを経由した業務が中心となるため、各端末のセキュリティ対策は必須となります。また、コールセンターシステムの基幹部分についても、VPN接続・暗号化をはじめとした通信セキュリティの対策や、アカウントごとのアクセス制限を厳密に行う必要が出てきます。
運用・制度面で言えば、そもそもの採用基準を高くしたり、セキュリティや情報の取り扱いに関する導入教育を充実させたりしていくことが重要となります。
クラウド型コールセンターシステムの選定
在宅コールセンターを立ち上げるにあたっては、オンプレミス型のコールセンターシステムは不向きです。理由は先述した通りで、初期投資コストが大きくなりすぎてしまうからです。
クラウド型のコールセンターシステムを選定することで、オンプレミス型よりもスピーディーかつ低コストで初期運用を開始することが可能です。前項で触れたようなセキュリティ面はもちろんのこと、遠隔モニタリングやオペレーターへの指示のしやすさなども確認した上で導入することが重要です。
また、クラウド型コールセンターシステムの多くはIP電話機を用います。IP電話機を在宅勤務者に対して貸し出す場合、端末の準備やルール、端末に関わる契約書の策定なども行う必要があります。
ITツールの活用と就業規則の策定
コールセンターに限った話ではありませんが、在宅勤務の場合、質問や相談を気軽に行うことができないため、オペレーター同士やSVとオペレーターの情報共有や教育・指導のためのコミュニケーションが取りにくくなる傾向があります。
このような問題については、チャットツールをはじめとしたITツールを活用して対応していくことが重要となります。
勤怠管理や人事評価についても、ITツールの活用を進めると共に、在宅勤務向けの就業規則の策定も必要となります。例えば従来はノルマ制を敷いていた場合でも、出社しているため時間になれば退勤させることもできましたが、在宅勤務になるとノルマ達成のため、休み時間を削ったり残業を増やしたりして労働の長時間化が常態化する可能性もあります。
上記のような点はITツールの活用に加えて、ルール面での対応も必要となります。
思い切って従来と異なる運用方法を採用
コールセンターは顧客からの問合せに対して、リアルタイムに対応するのが一般的です。しかし、在宅コールセンターの場合、十分に対応していたとしても、従来よりも対応数が減ってしまうことも懸念されます。
そこで、従来のように顧客都合での対応ではなく、コールセンター都合での対応・運用方法に切り替えるという企業も徐々に出てきています。コールセンター都合になることで、回答すべき情報の整理を事前に行った上で顧客対応が可能なため、対応品質の維持・向上にも繋がることが期待できます。
具体的なステップとしては以下の通りです。
① 思い切って着信はすべて自動音声(IVR)で留守電対応にする
② 留守電の録音データをAIが音声認識してテキスト化したものをリアルタイムで在宅オペレーターにメール通知する
③ 通知を受け取ったオペレーターがすべて折り返し電話で対応
すべて折り返し電話対応に切り替えることで、電話業務の効率化や、営業時間外のコールによる機会損失の防止などに繋がると言われています。
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