コールセンターの応答率向上!改善のカギは「見える化」にあり
コールセンターにおいて応答率とは、電話のつながりやすさを示す数値であり、まず押さえておきたい指標です。応対品質の維持や、顧客満足度の維持、問い合わせ対応の遅延防止などの課題を常に抱えているコールセンターが、応答率を向上させるにはどうしたらよいのでしょうか。
今回は、コールセンターの応答率を左右する要因、応答率を改善する方法について紹介します。
目次
コールセンターの応答率向上はオペレーターにかかっている
コールセンターの応答率とは
応答率とは、入電に対してオペレーターが応答できたコール数の割合のことです。応答率は、顧客からの入電に対して対応できた数がそのまま反映されてしまうため、顧客満足度に直結する重要な指標です。
● 応答率(%)=対応件数/着信件数×100
現在の企業では、応答率は90%が目標となっているケースが一般的です。入電のピーク時でも95%を維持しようとすると、人件費の面での問題が出てくるからです。
病院などの緊急性が高い場所では、可能な限り100%に近付ける努力が必要とされます。
しかし、一般の企業で応答率が100%の状態が続いている場合は、オペレーターの数が多すぎる可能性が高いです。人件費とのバランスを見て適正値を設定し、その数値へ近づけることが重要です。
コールセンターにおいて管理すべきその他の指標は以下で解説しております。
応答率向上はオペレーターにかかっている?その理由とは
応答率を2倍にするためには、単純にオペレーターの人員を2倍にするか、オペレーター1人あたりの問い合わせ処理時間を半分にすることが必要です。しかし、前者の場合、人件費が2倍になるだけでなく教育コストも上乗せされてしまいます。後者の場合は人件費・教育コストをかけずに実現することができると考えられますが、工夫をしなければ対応品質の低下を招く可能性をはらんでいます。
コールセンターのオペレーター1人あたりの問い合わせ処理時間を削減し、応対品質を下げずに応答率を向上させる工夫の一歩として、応答率を左右する問い合わせ処理に時間がかかってしまう理由をしっかりと理解する必要があります。
なぜコールセンターの問い合わせ処理には時間がかかるのか
コールセンターの応答率が低下する主な要因は、問い合わせ処理に時間がかかることです。オペレーターの問い合わせ処理に時間がかかる理由としては、大きく分けて以下の2つがあります。
通話に時間がかかる
応答率が下がってしまう要因の1つは、平均通話時間(ATT)が長くなってしまうことだといえます。問い合わせ処理時間(AHT)は、平均通話時間(ATT)と平均後処理時間(ACW)の和で算出することができます。
そのため、平均通話時間が増えると、問い合わせ処理にかかる時間も長くなってしまいます。
「クレーム入電が増えている」「新人オペレーターは長電話になる傾向がある」など、通話時間が長くなる事象は様々ありますが、まずは全体でどれくらい通話に時間がかかっているか定量的に計測することが必要です。
後処理に時間がかかる
通話時間と同様に、後処理時間も応答率を下げる要因の1つとなります。
むしろ、通話時間より後処理時間の方がより重要だと言えます。
なぜならコールセンターの至上命題は顧客満足度を向上させることであり、応答率を向上させるのはあくまでそのための手段である以上、通話時には時間をかけてでも真摯に対応すべき状況が時として存在するからです。同時に、このような状況での電話対応はオペレーターが行うべきものであり、仕組みによって代替できるものではありません。
しかし、後処理の場合は処理に時間をかけても顧客満足度につながることはありません。
平均通話時間と後処理時間に時間がかかってしまうため、結果的に問い合わせ処理にかかる時間も長くなります。応答率を向上させるためには、現状どのくらいの処理時間がかかっているのかを定量的に把握し、限られた人員で、かつ応対品質を維持しながら、なるべく処理時間を短縮することが重要です。
応答率向上のカギは業務の「見える化」にあり
コールセンターの応答率向上には、システム導入による業務の「見える化」がカギとなってきます。
その中で初めに可視化すべきは「平均通話時間」「平均後処理時間」の2つです。
それぞれ具体的に何を見える化すべきなのかを紹介します。
ATT(平均通話時間)の見える化
オペレーターが通話時に時間がかかる要因は、以下の3つだと言われております。
確認事項を電話で行っていないか
インバウンド型コールセンターにおける窓口対応では、以下のステップが存在します。
・用件の確認
・本人確認
・担当窓口への転送
これらの業務は従来「人」が対応していましたが、デジタル技術によって自動化し効率化できる部分です。
本来的に、オペレーターの価値は難易度の高いコミュニケーションに集中することであり、いわゆる「作業」を迅速に遂行することではありません。
これらの業務は、入電数の分だけ工数が発生してしまうため仕組み化と省人化により効率化し、オペレーターが本来の業務であるコミュニケーションに専念できる環境を整備することが必要です。
スクリプト通りに話しているか
コールセンターで、慢性的に通話時間が長いオペレーターがいる場合、多くの原因は、自己流で話してしまっていることにあります。
そもそもトークスクリプトとは、対話内容を平準化することで、オペレーターの経験・スキルを問わず一定の効率・応対品質を担保するためのものです。
しかし、いざオペレーターが対応するとなると新人の頃はスクリプト通りに話していたとしても、お客様との対話を重ねるごとに以下のようなことを感じ、自己流の説明になり通話時間がかかってしまうケースがあります。
・スクリプトにある説明が伝わりづらい
・回りくどく、聞き返されることが多い
・表現が固く、話しづらい
言うまでもなく、コールセンターでの応対は顧客との対話になります。
そのため、トークスクリプトは「作って終わり」ではなく、直接顧客と対話しているオペレーターの意見を都度ヒアリングしながら、継続的に更新し続けることで通話時間の短縮が可能になります。
クレーム対応に戸惑って時間がかかっていないか
コールセンターには、クレーム入電への対応が必要なこともあります。
クレーム入電の際は、相手に聞く姿勢が無いこともあります。感情が収まらない限り、延々と一方的な主張が続いてしまうこともあります。
基本的にクレーム対応は、以下を意識した対応が定石ですが、これにはスキルと経験を要するため新人オペレーターや経験の浅いオペレーターには難しいことかもしれません。
・相手に共感を示す
・結論を急がない
・クッション言葉を使う
しかし、タイミングやオペレーターと顧客の相性によっては些細なきっかけで顧客の感情を逆なでしてしまい、通話時間が長くなってしまうこともあります。
このようなことを防ぐためには、スキル・経験のあるSVや管理者がフォローに入る仕組みづくりが必要です。
たとえば、通話時間が長い傾向にある新人をマークしておき、クレーム入電が入ったときに適切な対応を出すことで、顧客の感情を抑え最小限の時間で通話を終え、通話時間の短縮を図ることができます。
業務を効率化したうえで通話時間も短縮する方法は以下もご覧ください。
ACW(平均後処理時間)の見える化
コールセンターでオペレーターが後処理にかける時間を短縮するためには、以下3つをウォッチする必要があります。
オペレーターへのフォロー体制は十分か
引用元:CCAJ 一般社団法人 日本コールセンター協会
そのような状況では、SVがオペレーターを同時にマネジメントするには時間的制約があります。
そこで検討すべきは以下2つです。
・経験のあるオペレーターをラウンダー(フォロワー)に登用する
・チャットを活用し、自席・リモート環境からオペレーターとコミュニケーションを取る
前者にあるラウンダー(フォロワー)とは、ミドルマネジメント層として、オペレーターのフォローに徹する役割です。
具体的には、通話中に不明点があり保留を取ったオペレーターの質問への回答や、後処理に時間がかかっているオペレーターにわからないことがないか聞きに行くことで、より綿密にオペレーターの実務をサポートすることが求められます。
SVとしての他の業務で手一杯になり、オペレーター1人ひとりの状況把握まで追いつかないという場合は、ラウンダー制の導入を検討も有効といえます。
後者について、例えば、挙手があったときに都度SVや管理者が駆けつけて回答しているコールセンターは、SVや管理者のオペレーターのもとへ駆けつけるまでの「移動時間」が何度も発生してしまいます。
オペレーターとのコミュニケーション手法としてチャットを利用すれば、SVや管理者の「移動時間」を削減し時間や工数のロスを削減することができます。
後処理時間を短縮する上で、時間のかかっているオペレーターのサポートに入ることは重要です。
しかし、移動時間自体は長くなくとも、SVや管理者の人数分移動時間という時間的ロスが発生すると考えた場合、長期的に見ると応答率に与えるインパクトは決して小さくありません。
研修によるオペレーション業務の教育は十分か
研修を実施する方で、デビュー後のフォロー体制を築けていないことから以下のような課題が発生し、研修期間を終えてもオペレーターが育っていないという事象が発生してしまいます。
・新人研修で教えたきりになっている
・あとから見返せる資料や情報が用意されていない
・十分に座学研修したが、いざデビューすると教えたことを忘れている
実際にオペレーターがひとり立ちするまでの新人研修に入念に予習したとしても、実際に業務をやってみると分からないといったことは往々にして起こります。
そのため、新人オペレーターが研修や業務をやってみたあとに「復習」できる環境を用意することが重要です。
具体的には、次のような取り組みが考えられます。
・ナレッジマネジメントツールの活用
・フォロー研修の実施
・面談による業務課題の洗い出し
・マニュアル動画の作成
これらに取り組むことで、新人オペレーターの即戦力化を図ることができます。
オペレーターの教育で重要なポイントを知りたい方は下記記事もご覧ください。
扱いづらいシステムになっていないか
オペレーターにとって、システムの扱いづらさは後処理時間に大きく影響を与えます。
具体的には以下のようなことが挙げられます。
・ステータス変更や発信ボタンが別々の場所にある
・内線発信時、どの部門に発信知ればよいか調べるのに時間がかかる
上記のような使いづらさは、「慣れてしまえば大丈夫」という声もありますが熟練オペレーターが離職してしまうことや、新人オペレーターが研修を終え業務に参加し戦力として活躍するまでの時間的ロスにつながっていることを考えれば、オペレーターの処理時間の長時間化への影響は無視できません。
基盤となる環境を変えない限りは、慣れるまで時間がかかってしまう状況を打破することはできません。
そのためには、特に新人オペレーターを中心に後処理時間をウォッチし、システムで操作に困る部分はないかこまめにヒアリングし把握することが重要です。
コールセンターの見える化に必要なシステムの機能とは
以下では、実際にコールセンターの業務を見える化するために求められるコールセンターシステムの機能を3つ紹介します。
オペレーター別、スキル別に稼働状況をレポーティング
前述の通り、コールセンターの応答率向上はオペレーターにかかっており、通話時間・後処理時間それぞれによってウォッチすべき事項は異なってきます。
そして、重要なのはオペレーターごとに「どこに時間がかかっているか」を個別に見える化し、改善すべき方策を練ることです。
オールインワン型コールセンターシステムMediaCallsのレポート機能では、オペレーター別・スキル別に受可・後処理・通話中などのステータスを色分けでサマリー表示し、時間超過等のアラートを色分けすることで、オペレーターごとの通話・後処理状況を一目で把握することが可能です。
オペレーター管理を効率化し、応答率を向上するレポート機能については以下でご確認ください。
IVRにより確認事項を省人化
IVR(自動音声応答システム)を活用すれば、窓口対応業務を省人化し、コールセンターの応答率を向上させることが可能です。
MediaCallsのIVR機能では、Web管理画面での簡単なマウス操作でIVRメニューの作成が可能で、応答・切断・転送・プッシュボタン受付・音声再生・音声録音などの窓口業務を仕組み化することができるため、以下のような作業的な業務を削減することができます。
・用件の確認
・本人確認
・担当窓口への転送
IVRでの業務効率化については以下でも詳しく紹介しております。
オペレーターの操作をシンプルに
MediaCallsでは、オペレーターの通話時間・後処理時間を短縮
するため、以下のような操作性を持ちあわせています。
・CTIツールバー上でステータス変更・発信などの操作が可能
・転送または内線発信時にオペレーターの所属グループや待ち呼状況を確認・発信できる
・クリックでスキル/エージェント選択リストを表示
他にも通話時間の短縮や業務の効率化を促進する機能が備わっておりますので、以下よりご確認ください。
コールセンターの応答率を向上したい方、在宅コールセンターを検討している方は、ぜひ以下よりお問い合わせください。