コールセンターのDXとは?
背景・効果・流れ・システム選定ポイントをまとめて解説
UPDATE :
人手不足が深刻化するコールセンター業界では、DXの推進による業務効率化や顧客満足度向上を目指す取り組みが欠かせません。しかし、「コールセンターのDXとはどのようなものなのか」「どのように進めるべきなのか」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、コールセンターDXの必要性やDXを実現する機能、システム選定のポイントなど、コールセンターDXに必要な情報を網羅的にご紹介します。
目次
1.高まるコールセンターDX推進の必要性。その理由とは?
コールセンターにおけるDXとは、業務工程や顧客対応などをデジタル技術によって自動化することで、顧客満足度向上とオペレーターの業務効率化を実現することです。
近年、人材不足の問題が深刻化する中で、あらゆる業界でDX推進の動きが活発になり、コールセンター業界においてもDX推進は重要なキーワードとなっています。
以下では、コールセンターにおいてDXを推進すべき主な背景について解説します。
労働人口減少によるオペレーター人材不足と品質の低下
コールセンターでDXの推進が求められる背景のひとつに、労働人口減少による人手不足があります。近年、少子高齢化の影響により多くの業界で人材の確保が難しくなっていますが、コールセンターにおいても人手不足は深刻化しています。その理由として考えられるのは、コールセンター特有の労働環境の厳しさです。
コールセンターでは、商品やサービスに関する問い合わせへの応対だけでなく、クレーム対応も業務の一環であるため、オペレーターは感情的に振る舞う顧客にも落ち着いて対応する必要があります。このような強いストレスをもたらす業務は、オペレーターの離職を招きやすい原因と言えます。
コールセンターの人手が足りなくなると電話がつながりづらくなるため、放棄呼(あふれ呼)が増えたり、顧客を待たせる時間が長くなったりし、コールセンターの品質が低下してしまいます。また、離職率の恒常的な高さに起因する熟練オペレーターの不足も、応対品質が低下する一因です。
業務効率化や顧客・従業員満足度向上のための自動化
人手不足がもたらすコールセンターの品質低下を防ぐためには、少人数でも対応できる体制を構築する必要があります。そのためにはDX推進による業務の効率化・自動化が不可欠です。
ここで言う「DX推進」とは、単に従来業務を自動化するのではなく、組織やビジネスのあり方そのものを変革することを指します。つまり、DX推進による業務効率化や品質向上を目指す動きは、労働者にとって働きやすい環境を整備することでもあるのです。その意味で、コールセンターにおけるDX推進は顧客だけでなく従業員の満足度向上も図る取り組みと言えます。
当然、従業員満足度が向上すれば離職率が低下し、熟練したオペレーターを確保しやすくなります。これによってさらなるサービス向上が可能になるため、コールセンター全体で好循環が生まれるのです。
以上のような背景から、コールセンターDXの推進が求められています。
2.コールセンターDXにおける顧客対応のあり方とは?
コールセンターのDX化によって期待できるのは「人材不足に対応するための業務効率化」と「質の高い顧客対応の実現」です。こうしたDXの理想を実現するためには、顧客との接点をマルチチャネル化、またはオムニチャネル化することが求められます。
マルチチャネル化とは、電話だけでなく、メールやSNS、チャットボットなどの複数の手段で顧客からの問い合わせに対応できるようにすることです。
一方、オムニチャネル化とは、複数の手段を連携させることで顧客へのアプローチを強化する戦略手法です。そのため、マルチチャネルよりもさらに進んだ状態と言えます。
マルチチャネル化やオムニチャネル化を行うことで、コール数をコントロールできるようになり、多くのオペレーターを確保せずとも接続率が向上します。これによって放棄呼(あふれ呼)を削減できるため、結果的に顧客満足度の向上も期待できます。
マルチチャネル化をはじめとしたコールセンターDXであるべき顧客対応については以下でも紹介しています。
また、オムニチャネルについては以下で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
3.コールセンターDXで重要な3つのデジタル化
ここでは、DXの効果を最大限発揮するためのポイントを解説します。押さえておきたいのは、以下に示す「3つのデジタル化」です。
・業務工程のデジタル化
・顧客対応のデジタル化
・対応履歴のデジタル化
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
業務工程のデジタル化
コールセンターは特性上、1つの場所に集まって業務をする場合が多いです。しかし、このような場合、多様な働き方へ対応することができず、働き手を減少させるリスクもあります。そのため、コールセンターシステムをクラウド化するなど、遠隔地からでも業務ができるような環境整備をすることが必要です。
また、業務の効率化の観点からも、SVの感覚で行われていたオペレーターの稼働管理・在席管理をデジタル化し、システムで定量的に把握できるようにすることが重要です。
顧客対応のデジタル化
顧客対応・コミュニケーションのデジタル化も、コールセンターにおけるDX化の肝です。例えば、すべての入電をオペレーターが対応するのではなく、IVR(自動音声応答システム)やACD(着信呼自動分配装置)などを活用することで、簡易的な一次対応を自動化し、保留時間を軽減できます。これにより、顧客満足度を向上させることにつながります。
また、音声解析により顧客の声を分析することも、コールセンターの品質向上・顧客満足度向上を実現する方法として、今後はより重要になってくるでしょう。
顧客対応のデジタル化を推進する音声テックについては、以下で詳しく解説しています。
対応履歴のデジタル化
コールセンターではCRMとは別の手段で顧客情報を管理しているケースも多いですが、情報を一元管理できるように、コールセンターシステムとCRMは連携させるべきでしょう。そうすることで、より顧客に合わせた柔軟な対応を行うことが可能になります。
また、顧客対応履歴を蓄積・分析することで、オペレーターのスキルアップするべきポイントなどを早期に発見できるため、応対品質の向上にもつながります。
4.コールセンターDX を推進する4つの機能
コールセンターDXを実現するためには、前述した「3つのデジタル化」の中でどれから着手すべきかを判断する必要があります。そのためにはコールセンターの課題を整理し、導入すべき機能を選定することが重要です。
コールセンターの課題を解決し、コールセンターDX を実現する機能としては、以下の4つが挙げられます。
・ACD(着信呼自動分配装置)
・IVR(自動音声応答システム)
・CRM(顧客関係管理)
・チャットボット
以下、それぞれの機能についてご紹介します。
顧客からの入電を最適化する「ACD」
1つ目は、ACD(Automatic Call Distributor:着信呼自動分配装置)です。
ACDとは、あらかじめ設定したルーティングルールに沿って、顧客からの電話を自動で振り分ける機能のことです。
例えば、オペレーターの業務が過負荷になっていることから、顧客が長時間待たされた挙句たらい回しになってしまっているという課題があるとします。こうした状況において入電の振り分けが自動で最適化されるACDを活用することで、業務効率を改善できます。また、顧客が長時間待たされたり、たらい回しにされたりするリスクも減ることから、顧客満足度の向上も期待できます。
オペレーターの対応工数を削減する「IVR」
2つ目は、IVR(Interactive Voice Response:自動音声応答システム)です。
IVRとは、顧客から電話があった際に、自動の音声案内によって応答する機能のことです。顧客はあらかじめ録音した音声や音声合成で作成されたガイダンスに従って番号をプッシュし、希望する案内へと誘導されます。
例えば、顧客から似たような問い合わせが多く対応に手間がかかっているという課題があったとします。この状況に対してIVR(自動音声応答)を活用することで、顧客の問い合わせに自動音声で回答することが可能になるため、オペレーターが対応する業務を削減できます。さらに、自動音声なら24時間受付可能なため、顧客満足度も向上します。
もちろん、IVRで対応できない問い合わせにはオペレーターが応答するといった設定もできるため、少ない人数でもコールセンターを効率的に運用できるようになります。
対応履歴による顧客の負担を軽減する「CRM」
3つ目は、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)です。
CRMとは、顧客の購買履歴やコールセンターでの対応履歴など、顧客と企業の間でどのようなやり取りがあったかを把握・管理するシステムのことです。
例えば、顧客が問い合わせ内容をオペレーターが変わるたびに説明しなければならないために、顧客満足度が低下しているという課題があったとします。この状況に対してCRMとコールセンターシステムを連携することで、「当該顧客が過去にどういった問い合わせをしたのか」「それに対しどのように対応したのか」「過去にどういった契約を結んだのか」といった情報を迅速に確認できるようになります。顧客は過去の電話と同じ内容を説明する手間が省けて負担感が減るため、満足度の向上につながります。
顧客の疑問を不安なくスピーディーに解消する「チャットボット」
4つ目は、チャットボットです。
チャットボットとは、顧客の問い合わせに対して自動で応答するプログラムのことです。チャットボットを導入することで24時間受付が可能となるため、顧客はオペレーターの手が空くまで待たされることがなくなり、スムーズに疑問を解消できるようになります。
また、チャットボットが解決できない疑問や質問が寄せられた場合は適切な問い合わせ先を提示するように設定できるため、顧客がたらい回しになったり、それによってストレスを与えるリスクを低減できます。
コールセンターのDX推進を加速させる機能については、以下の記事でも紹介しています。
5.コールセンターDXを実現するためのシステム選定ポイント
コールセンターDXを実現するためには適切なコールセンターシステムを導入する必要がありますが、どのシステムが最適なのか悩まれる方も少なくありません。
そこで、ここではコールセンターシステムを選定する際のポイントとして、次の3点をご紹介します。
・事業成長・革新を視野に入れた「拡張性」があるか
・顧客満足度の向上に寄与する機能が備わっているか
・「業務効率」「生産性」を考慮したシステムであるか
それぞれ、具体的に見ていきましょう。
事業成長・革新を視野に入れた「拡張性」があるか
まずポイントとなるのは「拡張性」です。DXにより事業の成長や革新を目指すのであれば、それを前提として機能拡張が可能であるかを確認する必要があります。
特に、拡大期にある小中規模のコールセンターの場合、事業成長に伴うエージェント数や席数の増加、拠点の増設といった、さまざまな領域での拡張が考えられます。こうした拡張に素早く、かつ柔軟に対応できるシステムであるかが重要な選定ポイントとなります。
「複数のシチュエーションに対応できる構築が可能か」「利用形態に合わせて選べるか」といったことも確認しておきたい点です。
顧客満足度の向上に寄与する機能が備わっているか
コールセンターDXの推進においては、業務効率化による人手不足への対応と同時に、顧客満足度の向上も重要な目的となります。
コールセンターシステムに搭載された機能を確認し、それぞれがどのように顧客満足度向上に寄与するのか、社内で事前に検討したうえで選定しましょう。
もちろん、自社にとって必要不可欠な機能は何か、あらかじめ洗い出しておくことが重要です。
「業務効率」「生産性」を考慮したシステムであるか
たとえコールセンターシステムを導入したとしても、操作が複雑で、SVやオペレーターが対応に戸惑ってしまえば、コールセンターDXの実現は遠のきます。コールセンター業界は人の入れ替わりも頻繁にあるため、初心者でも操作しやすいシステムを選定することが大事です。
具体的には、「直感性」「一覧性」「操作性」の3要素が満たされており、かつ優れているかを確認したうえで選定しましょう。
コールセンターシステムの選び方については、以下の記事でも紹介しています。
さらに詳しいコールセンターシステムの選定方法については、下記の資料で解説しています。ご興味のある方は、ぜひダウンロードしてご活用ください。
6.コールセンターDXの進め方
ここからは、実際にコールセンターDXを推進する場合に踏むべき手順を、以下の4ステップに分けてご紹介します。
・STEP1:課題を洗い出す
・STEP2:デジタル化する業務を特定する
・STEP3:導入システムを検討する
・STEP4:DX化の計画を立てて実行する
STEP1:課題を洗い出す
まずは、自社のコールセンターが抱えている課題を洗い出します。部署が分かれていたり、「SV」「オペレーター」「マネージャー」などのように従業員によって役割が異なる場合は、それぞれの部署・役割ごとに具体的に課題を洗い出すのがポイントです。
STEP2:デジタル化する業務を特定する
洗い出した課題のうち、デジタル化によって解決できるものを特定します。もちろん、デジタル化せずに対応できるものや、デジタル化で対応すべきではないものが含まれる可能性もあるため、「デジタル化で解決できる/すべき課題」と「デジタル化以外の手段で解決できる/すべき課題」に分類するとよいでしょう。
STEP3:導入システムを検討する
デジタル化で解決する課題を特定したら、その解決に役立つコールセンターシステムの導入に向けて選定を行います。前述した内容の繰り返しになりますが、コールセンターシステムの選定ポイントは、以下に示す3点です。
・事業成長・革新を視野に入れた「拡張性」があるか
・顧客満足度の向上に寄与する機能が備わっているか
・「業務効率」「生産性」を考慮したシステムであるか
なお、すでにコールセンターシステムを導入している場合でも、上記のポイントを満たしているか必ず確認しましょう。仮に既存のシステムが条件から外れていた場合はDX推進の弊害になるため、リプレイスを検討すべきです。
STEP4:DX化の計画を立てて実行する
導入するコールセンターシステムの選定が完了したら、導入と移行の計画を立てます。このとき、応対品質が低下しないように計画を立てるのがポイントです。新たなシステムの導入・移行に際しては、従来の組織体制や業務プロセスを変更しなければならないケースも少なくありません。こうした整備を行うために品質が低下しては本末転倒ですから、導入・移行に伴う各種のアクションを織り込んだうえで、無理のない計画を立てましょう。
7.コールセンターのDX推進でよくある失敗
ここでは、コールセンターにおけるDXを推進するにあたって「起こりがちな失敗」をご紹介します。
業務効率化だけで終わってしまう
コールセンターにおけるDX推進によって期待できるのは「業務の効率化」と「顧客満足度の向上」の実現ですが、本来的な目的は、DX化による「売上の創出」や「顧客の獲得」です。たしかにDX推進には業務をデジタル化する取り組みも含まれますが、デジタル化は手段であって目的ではありません。
DXを試みたつもりでも、結果的に売上創出や顧客獲得に貢献できなければ、社内的に「意味のない取り組みだった」と評価されかねません。DXを推進する際は、単に業務効率化を図るだけの取り組みではないことに留意しましょう。
コスト削減に固執してしまう
コールセンターでのDX推進による業務効率化は、当然コストの削減につながる取り組みでもあります。例えば、「特定の業務を省人化することで人件費を削減する」といったことをDX化の目的のひとつとして据えることもあるでしょう。
より具体的には「IVRやチャットボットの導入によるオペレーターの削減」などが考えられますが、そうしたケースにおいて重要なのは、人にしか対応できない業務にも目を向けることです。DX化に取り組む際は、コストカットにこだわりすぎて応対品質を低下させてしまわないよう注意しましょう。
8.コールセンターDXの事例
ここでは、実際にコールセンターのDX化を行った事例を3つ紹介します。
事例1:IP-PBXへの切替で回線オペレーターの作業負担を軽減
とあるコールセンターでは、業務拡大に伴う使用回線数の増加のため、従来のPBXからインターネット回線を活用したIP-PBXへの切替を実施しました。
結果、回線数の上限がなくなり、柔軟な増設対応が可能になりました。それだけでなく、電話機を撤廃してソフトフォン(電話機ソフトウェア)への切り替えを行ったことで、PCの画面上での操作で架電ができるようになり、オペレーターの作業工数削減につながりました。また、通話記録がログとして残ることで、オペレーターごとの作業負担をデータ上で把握することもできるようになりました。
PBXのシステムや機能、選び方などについて詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
事例2:IVRの導入で顧客満足度を向上
とある人材派遣会社のコールセンターでは、架電が集中した際の「あふれ呼」の発生による、受電率の低下が課題となっていました。そこで、つながりやすいコールセンターを実現するために、IVRの導入を実施しました。
結果、問い合わせ内容によって効率的に転送先を制御できるようになり、受電率が向上。担当のオペレーターに直接つながるようになったため、顧客を待たせることもなくなり、顧客満足度も向上しました。
事例3:PBXとCRMの連携で応対品質を向上
とあるコールセンターでは、通話開始後に顧客情報を都度ヒアリングし、CRM検索するというオペレーションを行っていたため、業務が非効率でした。
そこでPBXとCRMを連携させることで、顧客情報を自動で取得し、PC上に画面表示させることか可能になりました。結果、工数削減だけではなく、架電時の会話がスムーズになり、顧客満足度と応対品質の向上につながりました。
9.コールセンターDXを実現するコールセンターシステム「MediaCalls」
最後に、コールセンターDXを実現するコールセンターシステムとして、「MediaCalls」をご紹介します。
圧倒的低コストでコールセンターDXに必要な機能を網羅
MediaCallsの魅力の1つは、圧倒的な低コストでコールセンターDXに必要な要素を網羅している点です。従来型のPBXとMediaCallsを比較した場合、100席のコールセンターなら2,500万円のコストを削減できます。 このように低コストでありながらも、ACDやIVRなどのコールセンターDXを少数精鋭で実現可能できる自動化機能が揃っており、コールセンターDXに必要な機能を備えています(一部オプションの機能もあります)。
機能について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
他システムとの連携など拡張性が高く、直感的な操作が可能
エージェント数や席数の増加、拠点増設など、事業拡大に柔軟に対応でき、多種多様な外部サービスとの連携が可能な拡張性の高さも魅力です。
また、直感的に操作できる見やすい画面を実現しており、対応状況のリアルタイムでの把握や、管理項目・レポート項目の整理も容易です。
このように、MediaCallsは難しい専門知識不要で誰でも簡単に利用できます。
導入実績13,000席以上かつ高い継続率
MediaCallsは13,000席以上のシリーズ製品導入実績を持ち、かつ高い継続利用率を誇っています。大手から中小ベンチャーまであらゆる規模に対応し、多種多様な業界・業種の企業様のニーズにも応えられるコールセンターシステムです。
コールセンターDXを実現するMediaCallsにご興味のある方は、以下のページよりお気軽にお問い合わせください。
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