しつこい電話は業務妨害になる?
犯罪になる基準と迷惑電話の対処法

しつこい電話は、状況によっては業務妨害罪などの刑法上の犯罪に当たる可能性があります。

 

本記事では、迷惑電話が犯罪になる基準と、上手な断り方・証拠の残し方・企業としての対策まで、ビジネスの現場で実践できる対応方法をまとめました。

1. しつこい電話は業務妨害になる可能性がある

近年、顧客や取引先からの過度な要求や威圧的な言動、いわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ)が社会問題として注目されています。しつこい電話はその典型的な行為のひとつであり、対応に困っている企業も少なくありません。

こうしたカスハラに当たる行為は、単なるマナー違反にとどまらず、刑法上の犯罪に当たる可能性があります。迷惑電話が法的問題に発展するケースでは、主に以下の罪に問われることがあります。それぞれ成立要件が異なるため、状況に応じて該当する罪名が変わります。

しつこい電話が問われる可能性のある罪

  • 威力業務妨害罪
  • 偽計業務妨害罪
  • 脅迫罪・恐喝罪

威力業務妨害罪

威力業務妨害罪(刑法234条)は、「威力」を用いて他人の業務を妨害した場合に成立する可能性がある犯罪です。

「威力」とは、人の意思を制圧するような勢力のことを指し、電話による行為では主に次のようなケースが該当しうると考えられています。

  • 電話を繰り返す:短時間のうちに何度も電話をかけ続け、業務の遂行を困難にする行為です。回数だけで判断されるわけではありませんが、業務への支障が生じるほど執拗に繰り返した場合、威力業務妨害に当たると判断される可能性があります。
  • 怒号や威圧:大声で怒鳴る、脅すような口調で話し続けるなど、相手の意思を制圧するような態度を伴う電話が該当しうるケースです。担当者が対応を強いられることで、他の業務が止まるような状況が生じた場合には、特に問題になりやすいと言えます。

偽計業務妨害罪

偽計業務妨害罪(刑法233条)は、虚偽の事実を用いたり、人を欺いたりする手段(偽計)によって業務を妨害した場合に成立しうる犯罪です。

威力を用いない点が威力業務妨害罪との違いで、以下のようなケースが該当する可能性があります。

  • 虚偽の予約:実際には来店や利用の意思がないにもかかわらず、大量の予約を入れて業務を圧迫する行為などです。飲食店や宿泊施設などで問題になるケースがあります。
  • 虚偽の問い合わせ:存在しないクレームや事実と異なる内容を繰り返し、不要な対応業務を発生させる行為も、偽計業務妨害にあたりうるとされています。

脅迫罪・恐喝罪

脅迫罪(刑法222条)は、相手や家族の生命・身体・自由・名誉・財産に対して危害を加えると告知することで成立しうる犯罪です。

一方、恐喝罪(刑法249条)は、脅迫や暴力によって相手を怖がらせ、金品を交付させた場合に成立しうる犯罪で、財産的な被害を伴う点が脅迫罪との主な違いです。

電話による行為では、主に次のようなケースが該当しうると考えられています。

  • 金銭要求:「金を払わなければ悪い評判を広める」などと告げながら金銭を要求する行為は、恐喝罪に当たる可能性があります。
  • 脅し:「お前のところに乗り込む」「ただでは済まさない」といった言動は、脅迫罪の構成要件を満たす可能性があります。

脅迫罪・恐喝罪は業務妨害罪とは別の罪ですが、しつこい電話の内容によっては、業務妨害罪に加えてこれらの罪に問われる可能性もあります。電話対応の中で脅しや金銭要求があった場合は、業務妨害だけでなく別の犯罪にも該当しうることを念頭に置いておきましょう。

2. しつこい電話は何回で業務妨害になる?

「何回かければ業務妨害になるのか」は、しつこい電話に悩む方がよく抱く疑問のひとつです。結論から言うと、法律上に明確な回数の基準はありません。ただし、どのような状況が問題になりやすいかは整理できます。

法律上「回数の基準」はない

刑法には「◯回以上の電話で業務妨害が成立する」といった規定は存在しません。警察や裁判所が判断する際も、回数そのものではなく、その行為が業務にどのような影響を与えたかが重視されます。

判断されるのは回数より「影響」

業務妨害として問題になるかどうかは、主に以下の観点から総合的に判断されます。

  • 業務が実際に停止・遅延したか
  • 担当者が他の対応をできない状態になったか
  • 電話の頻度・時間帯・継続期間

つまり、1日に数十回の着信があっても業務への実害が軽微であれば成立しないケースもあれば、回数が少なくても業務を著しく妨げたと認められれば問題になるケースもあります。

実際に問題になりやすいケース

回数の基準はないものの、実務上トラブルに発展しやすいパターンはあります。以下のようなケースでは、証拠を残しつつ対応を検討することをおすすめします。

  • 数十回以上の電話:短時間に集中して着信が続き、業務対応が困難になるケース
  • 数時間に及ぶクレーム電話:1回の通話が長時間にわたり、担当者が拘束される状態が続くケース
  • 毎日繰り返される電話:断っても連日かかってくるケースで、担当者の負担が蓄積しやすい

3. しつこい電話の上手な断り方

しつこい電話への対応に悩む方は多いですが、対応の仕方によっては相手をさらに引き留めてしまうことがあります。基本は「明確に断り、長引かせない」ことです。

しつこい電話を断るときのポイントをまとめた図

はっきりと対応できないことを伝える

曖昧な返答は、相手に「まだ可能性がある」と受け取られるリスクがあります。「検討します」「また今度」といった言い回しは避け、「対応いたしかねます」「お断りします」と明確に伝えることが重要です。一度はっきり断ることで、その後の対応もしやすくなります。

同じ説明を繰り返さない

相手が食い下がってきても、同じ説明を何度も繰り返す必要はありません。追加の説明をするほど会話が長引き、相手につけ入る隙を与えることになります。「先ほどお伝えした通りです」と一言添えるだけで十分です。

必要に応じて通話を終了する

明確に断った後も相手が話し続ける場合は、通話を終了することも選択肢のひとつです。「これ以上の対応はいたしかねます。失礼いたします」と告げて電話を切ることは、ビジネス上の対応として問題ありません。一方的に切るのではなく、一言添えてから終了するとトラブルになりにくいです。

悪質な場合は記録を残す

断っても繰り返しかかってくる場合は、通話録音やメモなどで記録を残すことをおすすめします。着信日時・対応内容・通話の概要を記録しておくと、後述する警察への相談や法的対応の際に役立ちます。

以下の記事では、特にセールス目的の電話がしつこくかかってくる理由を解説しています。電話相手の心理を理解して対応に臨みたい方は、あわせてご覧ください。

なお、「悪質」とまでは言えないものの、不要な営業電話を早めに切り上げたいと考えている方は、以下の記事も参考にしてみてください。

4. 悪質な迷惑電話は警察に相談できる

断っても電話が止まらない、脅迫めいた言動がある、といった場合は警察への相談を検討してください。「犯罪になるかどうかわからない」という段階でも、相談窓口として活用できます。

警察に相談すべきケース

以下のようなケースでは、早めに警察へ相談することをおすすめします。

  • 脅迫・恐喝に当たる言動を伴う電話がある
  • 断っても同じ相手から繰り返し電話がかかってくる
  • 電話の頻度や内容が業務に支障をきたすレベルに達している
  • 担当者が強いストレスや恐怖を感じている

「これくらいで相談してよいのか」と躊躇する方も多いですが、被害が深刻化する前に相談することが重要です。

相談する際に準備する情報

警察に相談する際は、以下の情報を事前に整理しておくとスムーズです。

  • 着信履歴(日時・電話番号)
  • 通話内容のメモまたは録音データ
  • 相手の氏名・会社名(判明している場合)
  • これまでの対応経緯

証拠が十分でない段階でも相談は可能ですが、記録が多いほど警察も状況を把握しやすくなります。次のセクションでは、証拠の残し方を具体的に解説します。

5. 迷惑電話の証拠を残す方法

警察への相談や法的対応を進める際、証拠の有無は対応の実効性に直結します。「記録しておけばよかった」とならないよう、問題が深刻化する前から記録を習慣にしておくことをおすすめします。

証拠を残す主な方法は、以下の3つです。

  • 通話録音を保存する
  • 着信履歴を保存する
  • 通話内容をメモする(録音できない場合)

通話録音を保存する

通話内容の録音は、証拠として有効性が高い記録手段のひとつです。脅迫・恐喝に当たる発言や、執拗な繰り返しの様子を記録できるため、警察への相談や法的対応の場面で役立ちます。

録音する際は、相手に録音していることを告知する義務は法律上ありませんが、社内ルールや運用方針に沿って対応するのが望ましいです。また、録音データは日時がわかる形で保存・管理しておくと整理しやすいです。

着信履歴を保存する

着信履歴は、電話の頻度や時間帯を客観的に示す記録になります。電話の履歴をパソコンの画面から確認できる場合はスクリーンショットを、履歴を取得できない場合は管理シートに記録して保存しておくとよいでしょう。

記録する際は、以下の情報を残しておくと後の対応に役立ちます。

  • 着信日時
  • 発信元の電話番号
  • 対応した担当者名
  • 通話時間

通話内容をメモする

録音環境が整っていない場合でも、通話後すぐに内容をメモとして記録しておくことが有効です。時間が経つと記憶が薄れるため、通話直後に以下の内容を書き留める習慣をつけておくとよいでしょう。

  • 相手が述べた主な内容
  • 使用した具体的な言葉(脅迫・恐喝に当たる発言は一字一句できるだけ正確に)
  • こちらの対応内容
  • 通話終了の経緯

メモは手書きでも電子データでも構いませんが、作成日時が残る形式(メール・チャットツールへの記録など)にしておくと信頼性が高まります。

6. 企業ができる迷惑電話対策

個人の対応スキルだけに頼るのは限界があります。担当者が一人で抱え込まないためにも、会社として仕組みで対処できる環境を整えることが重要です。

企業ができる迷惑電話対策をまとめた図

着信拒否でブロックする

特定の番号からの着信を繰り返し受けている場合、その番号を着信拒否に設定することで物理的に電話を遮断できます。ビジネスフォンや電話交換機(PBX)の設定で対応できるケースが多く、悪質な発信元を特定できている場合に有効な手段です。

ただし、番号を変えてかけ直してくるケースもあるため、着信拒否だけで完全に解決できるとは限りません。他の対策と組み合わせて運用することをおすすめします。

通話録音で証拠を残す

組織として通話録音の仕組みを整備しておくことで、証拠の収集と担当者の保護を同時に実現できます。録音が行われていることを自動音声でアナウンスする設定にしておくと、悪質な電話の抑止にもつながります。

加えて、録音データを一定期間保存・管理する体制を整えておくと、後から問題が発生した際にも対応しやすくなります。

IVRで電話受付を自動化する

IVR(Interactive Voice Response)は、電話の一次対応を自動音声で行うシステムです。着信時にあらかじめ設定したガイダンスを流し、用件に応じて担当部署へ振り分けることができます。

迷惑電話対策の観点では、主に以下の効果が期待できます。

  • 対応機会の削減:用件ごとに自動で振り分けを行うため、担当者が直接電話を受ける機会を減らせます。目的のない電話や執拗な繰り返し電話が担当者に直接つながりにくくなるため、対応負担の軽減に効果的です。
  • カスハラの抑止:一次対応が自動音声になることで、感情的な発言や威圧的な態度が担当者に直接向かう機会を減らせます。「録音している」旨をガイダンスで案内することで、過激な言動の抑止にもつながります。
  • 業務効率の向上:不要な電話対応にかかっていた時間を、本来の業務に充てられるようになります。担当者の負担が下がることで、本当に注力すべき業務の効率化にもつながります。

なお、通話録音機能や通話内容を文字起こしする機能を備えたIVRを導入すれば、万が一の場合の証拠として役立ちます

7. しつこい電話をブロックするなら「DXでんわ」

ここまで紹介してきた迷惑電話対策を、ひとつのシステムでまとめて実現できるのが「DXでんわ」です。

DXでんわは、電話の一次対応を自動化するIVRサービスです。着信時に自動音声ガイダンスで用件を確認し、必要な電話だけを人につなげられるため、担当者が迷惑電話に直接対応する機会を減らせます。加えて、通話録音やAIによる文字起こし・要約にも対応しており、万が一の際の証拠収集にも役立ちます。

DXでんわは初期費用0円で、14日間の無料トライアルも利用できるため、実際の効果・使用感を確認した後で本格導入するかどうかを判断できます。迷惑電話への対応に課題を感じている方は、ぜひ以下のページからサービスの詳細をご確認ください。

よくある質問

しつこい電話は威力業務妨害になる?

しつこい電話は威力業務妨害になる可能性があります。威力業務妨害罪(刑法234条)は、威力を用いて業務を妨害した場合に成立しうる犯罪です。電話の回数・頻度・内容によって業務への支障が生じたと判断される場合、該当する可能性があります。成立するかどうかは状況によって異なります。

しつこい営業電話はどこに通報すればよいですか?

内容に応じて相談先が異なります。勧誘・販売に関するトラブルであれば消費者ホットライン(188)、脅迫や業務への支障が生じている場合は警察相談専用電話(#9110)または最寄りの警察署が窓口です。いずれの場合も、着信履歴や録音などの記録を事前に整理しておくとスムーズです。

業務妨害となるクレーム電話の例は?

短時間に何度も繰り返しかけてくる、数時間にわたって担当者を拘束する、毎日連続してかけてくるといったケースが該当しうる例として挙げられます。回数の基準は法律上ありませんが、業務が実際に停止・遅延したかどうかが判断の重要な要素になります。

お役立ち資料

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