人材不足時代のコールセンターが
選ぶべきIT戦略とは
人手不足が深刻化しているコールセンター。オペレーターの採用が困難となっている現在、コールセンターではIT技術の活用によって業務効率化を図り、オペレーター1人あたりの生産性を高めていくことが命題となっています。今回はこうした現状に直面するコールセンターが取り組むべきIT戦略についてご紹介します。
目次
今後も深刻化するコールセンターの人材不足
近年、人材不足に悩まされるコールセンターが増えてきました。クレーム対応業務などもあるオペレーターの仕事は精神的なストレスも多いことから、パート・アルバイトや派遣スタッフでは離職率が高く、人材が定着せず入れ替わりが多いという問題も抱えています。なかには、1年間での離職率が30%近くにまで昇るコールセンターもあるようです。
コールセンターのオペレーターは顧客の声に臨機応変に対応できるスキル・知識・経験などが求められることから誰でもできる仕事ではありません。人材の入れ替わりが激しいと、コールセンター内のスキル・知識・経験のレベルが安定せず、サービス品質も安定しません。
今後ますます採用難が続き、人材不足が深刻化すると予測されています。
そこで、コールセンターは人材不足を補うための新たな戦略を取るべき時代になりました。
次の章から詳しく解説します。
人材不足を補うためにコールセンターがすべき「業務効率化」とは
今後も人材不足が加速すると懸念される状況で、従来のように「より多くのコールに応対するために、オペレーターの採用数を増やす」といった戦略は難しくなります。また、オペレーター数の増員は単純に掛かる人件費=「固定費コスト」も増大してしまうため、現実的ではありません。
「オペレーターの個々の生産性を上げる」だけでは限界
そこで、次世代のコールセンターが本当に取るべき戦略が「少ないオペレーターで、いかに効率的に多くのコールに応対できるか」という業務効率化に他ならないのです。
ただし、多くのコールセンターが実感しているように、オペレーターを教育して個々の生産性を高めるといったような細かな施策では全体の業務効率化におけるインパクトは小さく、また人員の入れ替わりが多いコールセンターではこうした属人的な施策はコストの掛け捨てになってしまうのが現実です。では、一体コールセンターはどのようにして業務効率を計ればよいのでしょうか。
コールセンターシステムの見直しによる全体の業務効率化が必要
その答えが、コールセンターシステムに備わった機能を使い倒し業務効率化を行うこと=IT技術の活用です。
近年のコールセンターシステムには、IP-PBXやCTIなどの基本的な機能に加えて業務効率を改善する「仕組み」を構築してくれる様々な機能が備わっており、オペレーターの人員が入れ替わっても安定的に高い業務効率を実現することができます。また、業務効率が向上することで、コールセンター全体のコスト削減に繋がるのもIT技術を活用するメリットです。そこで、次の章ではコールセンターが業務効率を改善して生産性を上げるために、どのような機能が必要かを改めて整理しました。
業務効率化を促進する「コールセンターシステム」の機能
多機能化して様々な機能を持つコールセンターシステム。
そのなかでも、業務効率化を促進する機能をピックアップすると以下のようになります。
なお、今度コールセンターシステムの新規導入やリプレイスを考えている方は、これらの機能が備わった製品を選ぶことをおすすめします。
ACD 機能(自動振り分け)
いまやコールセンターシステムの中でも基本機能となった機能の1つです。オペレーターの稼働状況などの情報をもとにして、あらかじめ設定されたルールに従って着信した電話を自動的に振り分けます。ACD機能によって、例えば着信があった時点で手が空いているオペレーターに自動的に着信を振り分けたり、着信応答数(顧客との通話回数)が少ないオペレーターから順に着信を振り分けたりといったことが可能です。
設定可能な着信呼の振り分けルール(=ルーティングルール)には様々なものがあり、製品にもよりますが例えば次のような機能があります。
最大待機優先ルーティング
問合せに応対していない、待機時間が長いオペレーターから順に着信呼を振り分けるルーティングルールです。最も手が空いているオペレーターから着信呼を振り分けるので、人員コストを最適化できます。多くのインバウンド型コールセンターで使用されているルーティングルールです。
最小着信ルーティング
着信応答数(顧客との通話回数)が少ないオペレーターから優先的に着信呼を振り分けます。主に、オペレーター一人あたりの一日の着信応答数が多いコールセンターで使われるルーティングルールです。
スキルルーティング
オペレーターごとのスキルレベルをコールセンターシステムにあらかじめ設定しておき、応対に必要なスキルをもったオペレーターへ自動的に着信呼を振り分けるルーティングルール。IVR(※)で入力された情報や着信呼の発信番号などの情報をもとにしてそれぞれの着信呼への応対に必要なスキルを自動的に判断します。
※IVR・・・自動音声ナビゲーション機能。詳細は後述。
ラストエージェント(データベースルーティング)
着信呼の発信番号をもとにして、着信してきた顧客を推定し前回対応したことがあるオペレーターへ優先して着信を振り分けます。前回の問合せ内容を知らないと充分に応対できない場合や、顧客毎に専任の担当者が決まっている場合などに取次業務の手間を省くことができます。こちらは、顧客にとっても取次業務で待たされたり、毎回違う担当者に繋がることで同じ説明を何度も繰り返す必要が発生したりするストレスが無くなるため、顧客満足度向上のメリットもあります。
順番ルーティング
オペレーターの待機時間や着信応答数などに限らず、一定の順番でオペレーターに着信を振り分けるルーティングルールです。
※ACD・・・Automatic Call Distributorの略。「着信呼自動分配装置」とも呼ばれる。
自動音声ナビゲーション(IVR)機能
顧客からの電話に自動的に応える、音声ガイダンスを設定する機能です。顧客への設問内容と回答の選択肢はコールセンターシステムの管理画面からあらかじめ設定しておきます。
例えば、カスタマーサポートやテクニカルサポートなどの顧客の課題を解決するタイプのコールセンターであれば、1問目に顧客が問合せしたい商品・サービスの種類を問う設問を設置し、2問目に想定される課題の種類を、3問目に想定される具体的な症状を…とチャート式に設問と回答の選択肢を設定していくことで、自動音声内で顧客の課題が解決されるように問答を設定します。設定してある問答では対応できないイレギュラーな問合せの場合は、オペレーターへ電話が繋がるようにします。
こうすることで、よくある問合せについては顧客が自動音声内で課題を解決してくれるためオペレーターの対応が不要になり、オペレーターの省人化が可能です。また、IVRで入力された情報をもとに、そのお問合せへの応対に必要なスキルレベルを判別して、適切なオペレーターへ電話を自動的に振り分ける(スキルルーティング)こともできるので、業務効率化を実現することができます。
他にも、IVRは宅配便の再配達日時指定の受付や、病院の通院予約日時の受付などでも活用されており、省人化・業務効率化を実現しています。
レポート機能
オペレーターやオペレーターのスキル、外線番号などごとにコールセンターのパフォーマンスに関する統計データを集計する機能です。集計する項目は、オペレーターの稼働状況や1コール当たりの平均応対時間、1日の累計通話時間、待ち呼数、放棄呼数など様々です。
コールセンターのSVは、集計されたレポートを分析して業務効率改善のスタックポイントになっている個所を発見したり、重点的にマネジメントする必要があるオペレーターの優先順位を設定したりといったことが可能になります。具体的には、例えば時間帯ごとのオペレーターの稼働率を集計してオペレーターのシフトの組み方を最適化したり、1コール当たりの平均応対時間を短縮するためにルーティングルールや応対マニュアルの見直しを行ったりなど、業務効率改善やコスト削減などに役立てることが可能です。
コールセンターのDXについては以下の記事で解説しております。
業務効率化を実現する機能をオールインワンで搭載。コールセンターシステム「MediaCalls」とは
以上のような機能を持つコールセンターシステムを用いることで、コールセンターの業務効率を改善して人件費などのコストを最適化することが可能です。ここでご紹介した機能を全て備えており、加えて顧客満足度・応答率向上などに役立つ機能も合わせ持ったコールセンターシステム「MediaCalls」を弊社ではご提供しておりますので、ご興味がありましたら是非以下のリンクから詳細をご覧になってください。
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