沖縄県本部町でリゾートホテルを運営するオリオンホテル モトブ リゾート&スパ様。同ホテルでは、近隣で開業したテーマパーク「ジャングリア沖縄」のオフィシャルホテルとして多くのゲストを迎えていますが、その開業に伴い電話での問い合わせが急増し、月3,000件以上の受電に対応する状況となっていました。
特に夜間のフロント業務では、3名体制で電話に対応しながらチェックイン業務や内線対応も行わなければならず、目の前のゲスト様への対面接客に支障をきたしていたといいます。そうした課題を解決すべく導入したのが「DXでんわ」でした。
今回は、同館の宿泊部リザベーション課の池村様と、フロントスタッフの安里様に、導入前の課題やDXでんわを選んだ経緯、さらに導入後の成果について伺いました。

「DXでんわ」導入前の課題
- 近隣テーマパークの開業によって月3,000件以上の電話が殺到し、業務が逼迫していた
- ホテルとは直接関係のない問い合わせも多く、すべての電話に有人で対応していた
- フロントスタッフが電話対応に追われ、滞在中ゲストへの対面接客の品質が低下する恐れがあった
「DXでんわ」導入後の成果
- 約800件の電話対応を完全に自動化し、スタッフの負担が大幅に軽減された
- テーマパーク関連の問い合わせも完全自動化され、スタッフが一切対応する必要がなくなった
- チェックイン時の待ち時間やゲストへ提供するサービスの遅延が解消され、対面接客の品質が向上した
DXでんわ導入前の課題:
近隣テーマパークの開業に伴い、電話件数が急増
当館における受電体制は時間帯によって分かれており、日中のお電話については宿泊予約課が3名体制で、18時以降は夜勤のフロントスタッフが3名で対応しています。
もともと受電件数は多かったのですが、当館が近隣で開業したジャングリアのオフィシャルホテルということもあり、昼夜を問わず、テーマパークに関するお問い合わせが殺到している状況でした。直近1か月のデータにはなりますが、現在も月あたり3,700件以上のお電話をいただいています。
テーマパーク開業直後は、パークのアトラクションの利用方法やバスでの行き方、駐車場の情報など、ホテルとは直接関係のないお問い合わせも非常に多く寄せられる状況でした。
電話対応に追われ、夜間のフロント業務が逼迫
特に深刻だったのは、夜間のフロント業務への影響です。当時は電話がひっきりなしに鳴り、ひと晩で100件を超える電話に夜勤3名で対応しなければならないこともあり、すべての電話を取り切るのが難しい状況にありました。また、電話対応に追われることによる対面接客への悪影響も大きな問題でした。
夜間のフロント業務ではご宿泊客様からの内線電話も多くいただきます。例えば、館内レストランの空き状況確認やアメニティの追加といったご依頼ですが、後者についてはお部屋までデリバリーする業務も含まれます。もちろん、これからご宿泊される方のチェックイン業務にも対応しなければなりません。
そうした対応はいずれも「人が行うべき業務」ですが、電話件数の多さから対応が追いつかず、内線電話に出られなかったり、チェックイン時にお待たせしてしまったりと、滞在中のゲスト様にご不便をおかけする場面もあり、早急な改善が求められていました。
DXでんわ導入の決め手:
電話代行ではなく、スタッフがコントロールできる「IVR」を選択
電話対応業務の効率化にあたり、当初は外部の電話代行サービスへの委託も社内で検討しました。しかし、外部への情報共有のタイムラグや、現地事情への対応力への懸念が拭いきれませんでした。
また、お問い合わせいただく内容の中には、お客様自身で解決できる「アクセス情報」のようなものも多く含まれます。実際ほんの数秒で解決するお電話も多いため、電話を受け付けて取り次いでくれる電話サービスよりも、音声ガイダンスのカスタマイズやSMS送信機能などで電話対応を完結することもできるIVR(自動音声応答システム)が適していると判断しました。
他社製品との比較で「料金プランの明朗さ」が決め手に
IVRサービスの検討にあたっては、メディアリンクの「DXでんわ」と他社のサービスの2つを比較しました。沖縄県内の数施設にお話を伺ったところ、その2サービスを利用しているケースが圧倒的に多かったためです。
まずは他社のお話を伺ったのですが、残念ながら料金体系がわかりづらく導入を断念しました。基本料金に複数のオプションが付くような形式だったため、当館で利用した場合に「結局いくらになるのか」が明確にわからなかったのです。
一方、「DXでんわ」は料金プランが非常にわかりやすく、当館の受電件数に対して適切なプランを明確に提示していただけました。そのため社内での検討も進めやすく、ありがたかったです。
「シェラトン沖縄サンマリーナリゾート」での評価も決断材料に
導入の決め手としては、すでに「DXでんわ」を導入されているシェラトン沖縄サンマリーナリゾート様からご所感を伺えたことも大きかったです。担当者様の視点で「すごく助かっている」「この機能が良い」というお声をお聞きでき、非常に参考になりました。
さらに、シェラトン様でも当館と同じ2製品を検討し、どちらも実際にテスト運用をされたとのことでした。その後の社内アンケートで、9割を超えるスタッフ様が「DXでんわを入れてよかった」と回答されたと知り、当館でも前向きに検討することができました。
※シェラトン沖縄サンマリーナリゾート様の導入事例はこちらからご覧いただけます。
「宿泊業界に寄り添った提案」も導入を後押し
メディアリンクの担当者からは、宿泊施設における「DXでんわ」の導入事例や活用法を細かく教えていただくことができ、導入後のイメージがしやすかったことも大きなポイントとなりました。例えば、当館のように近隣テーマパークに関するお問い合わせが多いホテルの事例や、自動応答で完結させるためのSMS送信機能の活用方法など、宿泊施設ならではのリアルなアドバイスをいただくことができました。
また、社内の事情で急を要していたこともあり、スピード感を持って導入できる点も決め手となりました。導入にあたっては初期設定代行サービスを利用しましたが、素案をお渡しするだけで音声ガイダンスの作成や分岐設定などを代わりに行っていただけて、わずか10日程度で運用を開始できました。
DXでんわの導入成果:

3,000件超ある電話のうち、約800件の完全自動対応を実現
DXでんわに電話の一次対応を任せ、必要に応じてSMS送信機能を活用することで、月3,000件以上ある電話のうち、約800件はスタッフがまったく対応しなくてよい環境を実現できました。
例えば、アクセス情報などのよくあるお問い合わせについては、当館ホームページ上の該当URLをSMSで送信しています。また、課題だったジャングリアのお問い合わせに関しても、コールセンターの電話番号を音声で伝えて切電したのち、SMSでジャングリアの公式ホームページをご案内しています。
こうした対応によって、現在はスタッフを介すことなく「DXでんわ」のみで対応を完結できています。
フロントスタッフが「目の前のゲスト対応」に集中できるように
スタッフが対応すべき各種のご予約に関するお電話についても、それぞれの管轄部門に転送できるようになりました。例えば、レストランやアクティビティ、観光情報などに関するお問い合わせは各担当部署に直接転送されるため、宿泊予約課やフロントが電話を取り次ぐ必要も原則ありません。
対応すべき電話が減ったことで、課題だった夜間のフロント業務も大きく改善されました。以前のようにチェックインをお待たせすることがなくなったほか、当日宿泊されているお客様からのリクエストにも細かやかにお応えできるようになり、現場対応をスムーズかつ丁寧に行えるようになりました。ご来館いただくゲスト様へ個別に提供する対面接客の品質が向上したことは、大きな成果だと感じています。
柔軟な転送機能が「取りこぼし防止」や「業務効率化」に効果を発揮
現在、翌日以降のご宿泊に関するお電話については、日中は宿泊予約課に有人転送しており、18時以降はおかけ直しを依頼するアナウンスをご案内しています。当日のご予約についてはフロントへつながりますが、フロントスタッフが電話に出られない場合は、「順次転送」という機能で宿泊予約課に転送先が切り替わる設定にしています。これによって宿泊予約に関するお電話の取りこぼしも防げています。
転送機能については、転送先となる電話番号を管理画面から簡単に変えられる点も重宝しています。例えば、ある部署でスタッフの欠員が出て電話対応ができなくなった場合、以前はその部署まで物理的に行かなければなりませんでした。それが現在は、転送先を別部署にいるスタッフの携帯電話番号などに変えるだけなので、非常に便利です。
受電時に用件を把握でき、電話対応の初動がスムーズに
ご用件に応じて電話が転送されるようになったことで、受電するスタッフも「どのような問い合わせが来るのか」がわかるようになり、準備がしやすくなりました。
中には複数の問い合わせを一箇所で受けているものもありますが、「DXでんわ」にはどの分岐をたどったお電話なのかを担当者に伝える機能があるので助かっています。
例えば「個人予約を選択したお客様です」「英語対応のお客様です」のようなアナウンスが受電前に流れるため、スタッフは心の準備ができますし、初動の発言も用件に即したかたちに変えられるので、スムーズに電話対応を開始できています。
AI要約機能で「忘れ物対応」も効率化
当館にはチェックアウト後のお客様からいただく「忘れ物」のお問い合わせも多くあり、ハウスキーピング担当に直接転送しています。忘れ物に関するお電話は午前中に集中する傾向にあるのですが、その日のチェックインの清掃指示などでバタバタしている時間帯になるため、電話に出られないことも多いのです。
そのシーンで重宝しているのが、用件録音・AI要約機能です。自動応答時にお客様に吹き込んでいただいたご用件は文字に起こされるので、内容を確認してから折り返せます。用件は録音データとしても残りますが、基本的にはAIがまとめてくれた要点を確認するだけで済むため効率的です。現場からも「非常に良い機能」という声があがっています。

「英語版の自動音声」でインバウンド顧客にも対応
当館では海外のお客様用に、基本的に日本語と同じ分岐の「英語版音声ガイダンス」も用意しています。ただし、吹き込まれた英語を聞き取るのは難しいという意見から、英語版の分岐については自動応答で完結させず、英語対応可能なフロントスタッフに有人転送しています。
「DXでんわ」は英語音声もテキスト入力で作成可能なので、導入時の設定や文言変更もスムーズに行えました。これは日本語音声についても同じことが言えますが、音声に修正が必要な場合も施設側ですぐに対応できるので、改善もスピーディに実行できます。
社内からは「導入してよかった」と高評価
DXでんわを導入してから一定期間経過後、各部署に継続希望のアンケートを実施しました。その結果、多くの部署で継続希望の回答がありました。
電話対応件数が激減したことで、宿泊予約課のスタッフからは「もっと早く導入したかった。今まで対応していた時間が惜しい」という声があがったほか、フロントスタッフからも「落ち着いてゲスト対応できるようになり、業務改善につながった」といった声が寄せられました。
DXでんわ活用の展望:

Web予約への誘導を検討中
現在、宿泊予約やレストラン予約については有人転送していますが、今後はWeb予約に誘導できるようなご案内に変更し、さらに有人転送の件数を抑えたいと考えています。
当館のホームページ上には予約フォームがあるため、DXでんわの自動音声ガイダンスとSMS送信機能を活用して、そのページのURLをご案内するイメージです。お客様ご自身でWeb予約を完結していただくことで、スタッフの対応工数をさらに削減できると考えています。
人手不足に対応するため、デジタル化をさらに推進
現在、宿泊・観光業界全体で人手不足の状況が続いています。当館の場合は土地柄もあり、求人を出しても応募が少ない状況です。そのため、AIなどを活用したデジタル化により、さらなる業務効率化を図っていく必要があると考えています。
対面でしか実現できない業務や、個々のお客様に寄り添った対応に注力するために、必ずしも人が対応する必要のない業務については、今後も積極的にデジタル化を推進していきたいと考えています。
オリオンホテル モトブ リゾート&スパの概要

- ホテル名:オリオンホテル モトブ リゾート&スパ(https://www.okinawaresort-orion.com/)
- 所在地 :沖縄県国頭郡本部町備瀬148番地1
- 代表者 :総支配人 藤井 幸
DXでんわのご紹介
企業の電話業務をDXすることで、対応の効率化・省力化を推進するサービス「DXでんわ」は、メディアリンクが提供するIVR(自動音声応答システム)です。
企業にかかってきた電話の一次受付と転送を自動化することで、電話業務の大幅な効率化に貢献。また、電話相手が吹き込んだ内容を自動でテキスト化し、関係者に通知する機能も標準搭載。さらに、より柔軟な自動応答を可能にするSMS送信機能も備えています。
音声案内フローは自由に分岐を設定できるため、状況に応じた最適な設定が可能。英語をはじめ、中国語や韓国語、フランス語など、約40言語に対応しており、不動産・ホテル・クリニック・ITなど、幅広い業界で活用されています。


